足りないところは勉強します!ということだったし、面接やメールのやり取りも普通だったので、入社後に新人と同等か、それ以上の指導が必要だとは思ってもみなかった。
能力不足だけなら、心の底で「できなくて困ったな」と思うだけでよかったんだけど、ひょんなことから、成果物の中に公序良俗に反する行為が発見され、困ったなーで済まされなくなった。
聞き取りした結果、「できない」事実に集中してしまい、善悪の判断がつかなくなって、その苦痛から抜け出すために、容易に公序良俗に反する行為を行なってしまう人だということがわかった。
かなりヤバイ心理の持ち主だし、これを許したら、将来大ごとに発展する可能性が十分考えられる。
そこで、本人に通告することにした。
入社以降の指導の結果、将来的にも高度な仕事を担当できるまでは成長できないと判断し、それが心理的な負担になりそうだと考えた事。
今回の事件の発端になった心理状態を本人と確認した上で、心理的に負担になる仕事を取り除くことを決めた事。
…すなわち、客観的に見て負担になっている、本人が希望する仕事の担当を全て外し、アシスタント業務に仕事が変更になるという説明をした。
アシスタントになるので、今後の査定で給与は下がる可能性もある。
本人は、ここまでの話に発展すると思ってなかったんだろう。
「将来的に希望する仕事を担当できる可能性はありますか?」って聞いてきたけど、仕事のレベルが低いだけじゃなく、善悪判断がガバガバで信用を失った結果なのだ。将来においても、担当できる可能性は絶対にない。
それを聞いて「考えてみます」という話になったので、こちらからは「退職」の2文字を出さずに済んだ。
正直、チーム内の負担が大きくなりすぎて、特に直接指導していた役職者のストレスは酷い物だった。
このまま、こちらがやせ我慢すると崩壊しかねないところだったのだが、卑怯なことを平気でする人間だとわかったので、通告することにした。
でも、いい気分はしない。
希望する仕事が担当できない、将来も暗い…とはっきり言われてしまったら、絶望以外の何者でもない。
しかし、今回の事件の場合、公序良俗に反する行動に移る前にできたことがいっぱいあったのだ。
何度も指導していたし、相談せず勝手に進めて失敗したときでさえ、怒りをぐっと我慢して、本人に合わせた相談の仕方ができるように工夫した。
だから、自分勝手に作り出した苦痛から逃れるためなら、善悪判断もやめてしまう卑怯さにがっかりしたし、怒りも沸いた。
それに、今回の事件が判明した時、直接指導していた役職者に対しての謝罪がひとこともないことも、さらに怒りを増幅させた。
指導していた役職者も知らなかった事とはいえ、その責任は免れないからだ。
今まで何があっても厳しい口調で問い詰めた事はなかったんだが、流石に今回はダメだった。
仕事ができない奴も嫌いだよ。でも、最も嫌いなのは、卑怯な真似を平気でできる人間だ。
自分は、そう言う奴だけはどうしても許せない。仕事できない奴の方が1億倍マシ。
世の中的に「不当に戦力外通告された、退職勧奨を受けた」って話が多いと思うんだ。
でも、それだけじゃないよ。
通告する方もパワーがいる。
悩みの種だった部下だったとしても、やっぱり気分の良い話じゃない。
あー…なんか疲れた。
創作は短めに頼む
つまりお前は不当労働行為をしたわけか。