「ひきこもり」の9割が外出できるという真実

もっと大変な問題は別のところにある

社会学者の関水徹平さん。家族以外に頼れるところがない「家族の孤立」が、ひきこもり問題や日本社会の息苦しさにつながっているという(写真:不登校新聞)
ひきこもりをめぐる問題とはなんなのか。ひきこもりの研究を続ける社会学者・関水徹平さんに執筆いただいた。関水さんは今号と次号で掲載予定。

ひきこもりの人や経験者は400万人以上

学校では、先生や同級生との人間関係に気をつかうし、いじめも普通にある。仕事も、自分に合う職場に巡り合えるとは限らない。そこでも人間関係はついてまわる。

今の日本社会で生きていたら、学校へ行きづらくなったり、仕事へ行きづらくなったりすることは、いくらでもあると思う。

当記事は不登校新聞の提供記事です

人よりも繊細だったり、曲げられない主張を持っていたりしたら、なおさらだろう。

内閣府の調査によれば、ひきこもり状態の人は15歳から64歳の年齢層で、推計100万人以上いる。さらに、その3倍ほどの人たちが、過去にひきこもり状態を経験している。

現にひきこもり状態にある人、過去にひきこもった経験のある人は、合わせて400万人以上いるという計算になる。

とはいえ、そのほとんど(9割)は、自宅や部屋に閉じこもっているわけではなくて、趣味の用事やコンビニには出かけるという。

また、過去にひきこもり状態を経験した人たちも、その多くは、家の外とつながるきっかけをつかんでいるようだ。

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  • ダイナミクスd2e78adfce4e
    現代社会におけるコミュニティ(例えば家族、学校、会社、趣味の仲間など...と大小関係なく)それぞれの孤立性を問題としているのだな、と感じました。
    隣人は無関係の人で、声を掛ければ不審者扱いされ、会社の人とは仕事の会話のみ、という話すら、聞かされても何ら不思議では無いこんにちです。今所属していないコミュニティとつながるきっかけが得にくい...コミュニティが孤立している。これはもはや「引きこもり」の問題ではなく、「大変な社会問題」なのだと考えさせられました。
    up12
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    2020/2/9 19:13
  • あたり前田のハッカーceb9fae790cb
    2校が合併したところ、教師たちが元居た学校別に、校長派、副校長派でことあるごとに対立している。そんなの見せられたら学校行くの嫌になっっちゃうよね。
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    2020/2/9 21:04
  • くっきー9230b57ac94f
    実家という逃げる場所がある特権階級だよな。
    引きこもりたくても、引きこもれない人は沢山いる。

    この記事が問題なのは、「趣味の用事やコンビニには出かける」実質的にただのニートと、問題を抱えて引きこもらざるを得ない人を、ゴッチャに混ぜて議論している。

    学者なのだから、定義ぐらいきちんとして議論するべきだ。
    up13
    down14
    2020/2/9 19:20
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