アルバム『LEO』家入レオ
UP DATE 20121029

●今週は特別編として、家入レオさんのインタビューを元に10月24日に発表されたばかりの1stアルバム『LEO』をライナーノーツしていきます。
福岡出身の家入レオさんは、大人が築く世界に馴染めず、かと言って自分の居場所を定めることも叶わない少女時代を送っていました。そんな心の痛みや不安を浄化してくれる唯一の手段が音楽でした。家入さんにとって音楽は心許せる友であり、自分を映す双子の姉妹であったわけですが、今では家入さんの音楽を聴く人が同じようなことを感じています。
そんなふうに、元々自分のイノセンスを歌っていた家入さんが、イノセンスを共有する聴く人たちと繋がり、かつて疑っていたはずの大人たちと多く出会うエクスペリエンスを経て、今思うこととは…。

〜音楽に救われ、音楽に愛されるまでの長い助走〜
●シンガーソングライターの家入さんを知って頂くため、まずは家入さんにとっての歌うことの原体験について伺ってみました。
家入レオ「小さい頃に、顔に表情が出なかったというか、喜怒哀楽がうまく表せなくって、『出しちゃいけない』というふうにも思っていたんですよ。大人の表情とか気にしていると、出さない方が楽だったんですけど、歌を歌っていると、自由で、誰にも邪魔されないから、自分の感情を出すことができて…。だから歌しか自分の表情を出せる場所がなかったというのがありますね」
●歌のみに自由を感じていた家入さんが、詩を書き、メロディをつけ、自分の言葉で歌うようになったのはいつ頃だったのでしょう。
家入レオ「本格的に始めたのは13才の時です。当時学校と家でうまくいっていなくて、常に『明るい自分じゃないと嫌われる』と思っていたんですよ。『弱い自分をどこにさらけ出せばいいんだろう』とずっと思っていて、その時に尾崎豊さんの『15の夜』という曲を、母のCD棚からとって聴いたんですけど、涙が止まらなくて…。それまで学校でも教育的に『お行儀よくしていなければいけない』と教わっていたんですけど、尾崎さんが『心のひとつも解りあえない大人達をにらむ』と歌っていて、『あ!私もこんなふうに弱さを誰にも邪魔されず叫びたい』と思い、曲作りを始めました」
●曲作りの始まりは詩を書くことだったようです。
家入レオ「そうですね。小さい頃から、あまり自由に感情を出さなかったので、歌詞にポエム的なことを書いていました。あと『なんで?』が多い子だったので、いっぱい疑問とか書いていましたね」
●答えの見つからない疑問や自分の弱さを書き綴ることは、心の浄化へ繋がっていったようです。
家入レオ「歌にすることによって自由になれたし、しっかりと向き合うことが出来たから、曲作りは私にとって支えでした」
●曲作りに必要なギターを持つようになったのも13才の時で、そのきっかけを与えてくれたのも尾崎豊さんとのことです。
家入レオ「ギターをかき鳴らしながら歌っている尾崎豊さんの後ろ姿というのが大きくて、私もアコースティック・ギターで曲を作りたいと思い、地元の音楽スクールに通い始め、そこでギターを学びました」
●では福岡時代の家入さんはどこに向かって歌っていたのでしょうか。
家入レオ「大人に対してはかなり歌っていたと思いますね。『なんでそんなにずるいの?』とか『なんでそんな矛盾したことばかり言うの?』とか、直接それを大人には言えないから、歌にして伝えていた部分はあると思います」
♪シンガーソングライター、家入レオさんにとってすべての始まりの曲です。お送りしますのは尾崎豊さんで「15の夜」。


〜私小説としてのデビュー・アルバム『LEO』〜
●家入さんが、後にデビュー曲として発表される「サブリナ」を書いたのは15才の時でした。その「サブリナ」を書けたことで、家入さんの中で歌のあり方に変化はあったのでしょうか。
家入レオ「ありました。『いつだって本当の愛を求めて』という歌詞なんですけど、当時、『私ばっかり、こういう確かなものとか、愛を求めているんだ』と思っていたんですよ。でも、実は(学校の)クラスを見回したら、皆、そういう居場所とか求めていたんですよね。正直、かなり衝撃を受けました。私だけでなく皆が求めている。そういうやりきれない思いを架空の女性の『サブリナ』に託したので、私だけでなくて皆感じている——それに気づけたのがかなり大きかったんじゃないかなと思います」
●元々自分の心の葛藤を歌っていたのが、歌を通して感情を、聴く人を共有したいと、自分の中で歌のあり方が変化した時、家入さんは歌で生きていくことを、上京を決意します。とは言ってもまだ15才。当時の家入さんにとって上京は相当勇気のある決断だったようです。
家入レオ「実は上京前にお話を頂いた時、凄く迷ったんですよ。両親とか周りの人たちも凄く反対していて、自分の中で分からなくなってしまったんです。厳しい世界だということも知っていましたし…で、ひとりで冷静に考えようと街に出た時、知らず知らずに街角で流れている音楽を口ずさんでいる自分がいて、『ああ、私って音楽しかないんだな』とそこでハッキリと確認というか確信を得たので、両親とは半ば勘当状態だったんですけど、上京するという道を選びました」
●上京しデビューを果たしたことで、作る楽曲にも変化が生まれたのでしょうか。
家入レオ「福岡にいる頃は『なんで私って私なんだろう』と思うことがたくさんあったんですよ。でもデビューして『そのままのレオでいていいよ』とか、『救われているよ』というメッセージをもらい、初めて『私って私でよかったんだな』と思うことが出来ました。そういう部分では『少しは自分を認められたかな』と思えたので、作るメロディや歌詞もちょっとずつ優しくなっているんじゃないかなって。全部が優しいわけじゃないですけど、でも優しいメロディも作れるようになったと思いますね」
●今回のアルバムでいうと「明日また晴れますように」に優しいメロディを感じましたと伝えたところ…
家入レオ「そうなんです。『ミスター』とか『明日また晴れますように』とか、あとは『キミだけ』という曲を自分で書けたというのが嬉しくて。『Bless You』という曲があって、そこから自分を解放できたので、『Bless You』はかなり大きかったんじゃないかなというふうに思いますね」
●3rdシングルとしても発表された「Bless You」が書かれるにあたっては、何か特別なきっかけがあったのでしょうか。
家入レオ「ありました。これ実は最近なんですけど、2ndシングルの『Shine』が元になっていて、『高い壁だって 乗り越えられる 君ならできるから』という歌詞を書いたんですけど、『それに励まされました』って、色んな方からメッセージを頂いて、『ちゃんと届いているんだな』と嬉しくなったんですよ。でも『自分にとっての高い壁って何かな』と考えた時に、小さい頃の思い出…それに今回向き合おうと思って書きました」
●痛みや怯えなどを伴った記憶と向き合うことの厳しさは相当あったのではないでしょうか。
家入レオ「ひとりじゃ絶対に書けなかったなと思うし、書けたのは『ひとりじゃないよ』と教えてくれたファンの人たちがいるからだと自分でも思っています。それでも記憶と向き合うのが怖くて、レコーディングの時も泣いちゃったりしたんですけど…だから今回収録されている部分も、泣き声とか「はっ」って息を吸い込む感じも収録されているんですけど、敢えてリアル感が伝えわるように、それを選んだので皆さんに聴いてもらいたいなと思います」
●家入さんも、家入さんの楽曲を聴く人も、元々は孤独だったのかもしれませんが、今では音楽を通して互いに励まし合うような関係を築いているのではないでしょうか。
家入レオ「自分にとっての怖さとかを、自分のためだけに歌ってきた部分がデビュー前はあったんですけど、今は聴いてくれる人たちがいて、そこから曲を作るきっかけをもらったりとか、本当に幸せのキャッチボールだと思うんですよ。私が『ひとりじゃない』と教えてもらって、それを温かく、また曲にして皆さんに伝えることができる。それで『何かもらったよ』とか『元気が出たよ』とか、また返してもらって、そこからまた曲ができるという、本当にそれはデビューして変わったところなんじゃないかなと思います」
●ラブソングのように聴けるような曲でも、例えば家入さんと同世代の人が聴くと、別の物語として読むことも可能なのではないでしょうか。
家入レオ「そうですね。今回ラブソングの設定で書いたものもあるんですけど、例えば『Fake Love』の軸になっているのは、大人の人に心を開こうとしながらも開けない葛藤が危険な恋心にも似ているんじゃないかなと思って書きました。自分の気持ちとしては…変に大人ぶらずに17才らしい私がこの1枚に詰まっているんじゃないかなと思っています」
●今のお話からはアルバム・タイトルがセルフ・タイトルの『LEO』になった理由も見えてきます。
家入レオ「そうなんです。本当に1曲、1曲が私小説なので『LEO』ってつけましたし、『これから歌い続けていくんだ』という決意を込めてこのタイトルにしました」
●一方で、先ほどのお話にも出てきた『サブリナ』も含め、アルバムには『Lady Mary』、『Linda』と、特定のキャラクターに何かが託されている曲も存在しています。一人称で語られる曲と自分の距離感の違いが、そんなキャラクターへ繋がっているのでしょうか。
家入レオ「自分のことを客観的に見ることで書ける曲もあるので、今回そういうふうに第三者を設定したんですけど、本当にひとつ、ひとつ意味合いが違っているんですよ。『サブリナ』はやりきれない思いを架空の女性に託していて、『Lady Mary』という曲は、海外の女優さんのエリザベス・テイラーさんに向けて捧げた曲なんです。13曲目の『Linda』という曲は、学校で皆に流されそうになっても逆らう強い心を“Linda”という女の子の名前に託していて、『辛くなったLindaになりきって頑張ろう』という思いを込めているので、それぞれの意味合いが違うんですよね。決して自分と向き合うのが怖くて第三者にしているわけじゃなくて、いい意味で、客観的にその方が見られるかなと思って、今回はこういう形をとりました。でも正直迷いました(笑)。『1枚に3人の女の子が出てきていいのかな』って。でも自分なりに、本当によかったなと思っています」
●登場する3人の女の子もそうですが、家入さんの豊かな歌の表情に、それぞれの曲に息づく登場人物は見事なまでに描き分けられています。
家入レオ「例えば、その子がどういう傷を負っていて、どういう髪型をしていて、どんな目をしているのかというところまで決めて私は書いていくので、レコーディングする時は家入レオじゃないんですよね。その子とか、その男の子とかになりきっているから、ひとつひとつ声色というのも変わってくるのかなと思います」
●個人的な感想で恐縮なのですが、中でも「ミスター」の中の家入さんの歌には、心の温度が上がるような高揚感をおぼえました。
家入レオ「これはある友人がきっかけになって書いた曲です。学校に来ると『お父さん嫌い』とか『洗濯物を別にしている』とか(笑)、いつもその子が言っていたんですよね。で、ある時、凄くぶっきらぼうな顔をして学校に来たので、『どうしたの?』って聞いたら、『お父さんに元気がない』って言うんですよ。その光景を見た時に凄く心が温かくなって、私も小さい頃は、父が夢を語っているのを聞くのが好きだったんですけど、背が伸びるにつれて、なんとなく話かけづらかったりとか、構ってほしくて、わざと刺々した言葉を言ったりとかするようになって…。でもその刺々した言葉を投げつけても動じない父が凄く心の中では『かっこいいな』と思っていて、そんな父が仕事とかで落ち込んで帰ってくると何とも言えない気分になるんですよね。切ない…『憧れのお父さんのままでいて』という思いと、『お父さん頑張って』という思い。だから17才らしい不器用な応援歌ではあるんですけど、『私たちの前では憧れの父でい続けてよ かっこつけてよ Mr.』という意味でこの曲は書き下ろしたので、“ミスター世代”にそっと何かを伝えられたらいいなと思います」
♪ “ミスター世代”には是非私と同じ高揚感を感じて頂ければと思います。お送りしますのは家入レオさんで「ミスター」。

〜曲作りとレコーディングの現場から〜
●家入さんの楽曲作りは曲と歌詞はどちらが先に生まれるのでしょうか。
家入レオ「私は曲が絶対先です。言葉って凄く脆いなと思うのは、心の中に感謝の気持ちがあっても『ありがとう』に繋がるし、感謝の気持ちがなくても『ありがとう』と言えてしまうじゃないですか。凄く脆いところがあるので、溢れる気持ちを言葉だと100%伝わらないところがあるので、メロディにしてそのメロディにカチッと合う言葉を書いていく感じです」
●メロディに言葉が呼ばれる感じなのでしょうか。
家入レオ「そうですね。もちろん煮詰まって『ここのあと何文字が』という時もあるんですけど、それがパチッと合った時の歓びが凄くあるので、これからも妥協せずに書いていきたいなと思います」
●通学途中、また夜ひとりになった時など、どんなシーンで歌詞は書かれるのでしょうか。
家入レオ「私は普段から感じたことをメモしていて、こういうふうにお話している時にも色んな感情が生まれてくるので、とにかくメモをとっています。で、お家に帰ってそれを広げると、「あ!こういう気持ちだったんだ」とか蘇ってくるので、それから本格的に歌詞を書いていくという感じです」
●今回初めてのアルバムのレコーディングということで試行錯誤も相当あったのでではないでしょうか。
家入レオ「私はレコーディングする時に部屋を真っ暗にして集中して歌うんですよ。それは表情を見られたくなかったりするからなんですけど。一旦曲が一段落しても、外へ出てしまうと集中が切れてしまうので、本当に曲が全部録り終わるまで、(レコーディング・ブースのある)部屋にずっと籠っていました。3時間とか居る時もあったので、それは結構辛かったりはしましたけど、結果的に集中して歌うことが出来たのでよかったのかなとは思っています」
●曲ごとに具体的な人物像が設定されているだけあって、レコーディングで歌い終わっても、しばらくその人物が抜けない感じはあったのではないでしょうか。
家入レオ「ありました。もう放心状態だったりとか、曲によってはハイテンションで笑いが止まらなくなっちゃって(笑)、スタッフさんが引いていたりとか(笑)。逆にヘヴィな曲では涙が止まらなくなっちゃって、その後は何も出来なかったりとかありました。入り込み過ぎていたというのは確かにあったと思います」
●1曲、1曲が私小説という楽曲をアルバムという物語の流れに落とし込む時、どんなところにこだわったのでしょうか。
家入レオ「1曲目から13曲目まで1回聴いていいだけじゃなくて、『何度も繰り返して聴きたいな』と思ってもらえるようなアルバムにしたかったので、『サブリナ』から始まって『Linda』で終わるという、『Linda』を聴き終わった時にもう一回『サブリナ』を聴いてもらいたいなと思ってもらえるように心がけましたね。『Linda』もある意味生々しい・刺々しい感じというか…なので(ラストの)13曲目は『Linda』にしたんですけど、最初は『キミだけ』という曲を最後に持ってきていたんですよ。でもあまりにもそれだと完結し過ぎちゃうなというのがあったので、私なりに納得のいく曲順になったと思っています」
●「Linda」を最後に持ってきたのには、刺々しいまま終わる感覚と、ある歌詞のフレーズで終わりたかったという思いがあったようです。
家入レオ「そうなんですよ。『サブリナ』から刺々しく始まって優しさで終わると、何か『ん?』というのが自分なりにあったので、刺々した感じから行って、優しい曲もあり、最後は『全て 無駄で終わる強がりでもいい』と、私らしい歌詞で終わる『Linda』をセレクトしました」
♪この曲がラストに来ることで、アルバムは完結することなく、聴く人のひとり、ひとりにその後の物語を語らせるようです。お送りしますのは家入レオさんで「Linda」。

〜音楽のルーツをライナーノーツ〜
●尾崎豊さんの「15の夜」で心模様が一変したという家入さんですが、その他に音楽の力や共感を覚えたアーティストや作品ついて伺ってみました。
家入レオ「そうですね、たくさんあるんですけど、やっぱり小さい頃から聴いていた中森明菜さんとかビートルズとかを聴くと、『もっともっと私も音楽を頑張ろう』と思いますね。中森明菜さんの『1/2の神話』は、『半分だけよ 大人の真似』というサビで始まるんですけど、丁度私が17才で、大人でもなく子供でもないという、揺らいでしまう年齢なので、その曲には共感しますし、私もそういう皆さんから『分かる、分かる、この気持ち』と言ってもらえるような音楽を綴っていきたいなと思います」
●ビートルズに関しては色々と学ぶこともあったようです。
家入レオ「(自分で)初めてギターを弾いた曲が『レット・イット・ビー』だったんですけど、結構、シンプルなコードで出来ているんですよね。なのに、なんでこんなにメロディが際立って聴こえるんだと、一番初めに勉強して、かなりビックリしたのを覚えています」
●ビートルズは曲作りにも影響を与えているようです。
家入レオ「同じメロディが続く時はコードを変えて世界観を変えてみたりとか、逆にコードを変え過ぎると世界観も崩れちゃうから、一定のコードでというのもあるし、メロディの刻みが少なかったら、その分、コードでカバーするとか、本当に色んなことを教わったのはビートルズだったと思います」
♪家入レオさんの音楽の履歴書の中から、お送りしますのは中森明菜さんで「1/2の神話」です。

〜合唱が奏でる歌の力〜
●現在FMぐんま主催のコーラス隊プロジェクト『シングアウト!ロッカーズ』では、その歌い手さんを応募中なのですが(10月31日締切)、小学校時代に合唱部で歌っていた家入さんに合唱の魅力や、合唱での経験がアルバムにどう生かされているかについて伺ってみました。
家入レオ「合唱はやっぱりハーモニーが凄く気持ちがいいというか、ソプラノ、アルト、メゾ…その3部が重なり合った時の気持ちよさというのは、『音楽をやりたい』、『もっと歌いたい』という私自身の小学生の時の思いに繋がっていたと思います。今回のアルバムでもコーラスにはこだわっていて、3部でハモっているところとか、もっともっと厚みを出したいという時は5部にしているところもありますし、そういうところは合唱で学んだものだと思いますね。あと、ひとりだけが目立ったら合唱にならないんですよ。皆の声と心がピタッと重ならないと、素晴らしいハーモニーというのは生まれないので、心をひとつにして、歌っていましたね」
●2ndシングル「Shine」が合唱をテーマにしたテレビドラマ『カエルの王女さま』の主題歌として起用されたのも、合唱経験のある家入さんにとって、運命的な出会いだったと思うのですが、それが縁で家入さんは番組プレゼンツの「ショークワイアコンテスト」の審査員を務められました。客観的に合唱を見る側になってみて、合唱する皆さんの姿は家入さんにどう映ったのでしょうか。
家入レオ「煌めいているなというのを、かなり感じました。グループによっては、世代も年齢も性別も違ったりするんですけど、それでも音楽の力というか、そこに音楽があると、そんなことを超えて心を合わせることが出来るんだと思いましたね。歌っているキラキラした横顔とか印象的でしたし、あとは普通に会ってお話させて頂くと、私と同じで結構人見知りだったりとか、目をちょっとそらしたりとかする方もいらっしゃったんですけど、歌を伝える時だけは、じっと(こちらの)目を見られているんですよ。そんな皆さんの楽しみながら歌っている姿を見ていると、『ああ、私も歌いたいな』と思うし、かなり巨大なパワーを頂きましたね」
♪『シングアウト!ロッカーズ』の応募は31日までですが、家入さんの言葉で背中を押される方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ハーモニーにも注目しながらお聴きください。お送りしますのは家入レオさんで「Hello」。


〜高校卒業を前にして…17才の素顔〜
●現在高校3年生の家入さんにとって、高校生活は既に半年を切ってしまったわけですが、学生でなくなる自分はどう想像されているのでしょうか?
家入レオ「多分もっともっとパワフルに色んなところへ行って色んな経験をして、もっともっとパワフルな音楽が生まれてくるんじゃないかなと思います。どうしても学校があると動きとかも制限されちゃうので、『うん〜』ってなる時もあるんですけど、でも逆に学校へ行くことによって、『あ、周りの子ってこういうふうに考えているんだ』と思ったり、曲作りのきっかけになったりします。あと、このお仕事をさせて頂いていると、上の世代の方とお話させて頂いたりとか、一緒にお仕事をやらせて頂くことが多いんですけど、やっぱり17才じゃないですか…背伸びしても、人生の先輩方には追いつけなくて『うっ!』ってなる時もあるんですけど、学校に行くと17才らしい私でいられるというのは、ある気がしています。なので、学校を早く卒業したいですけど、バランスをかなり保っていられる場所でもありますね。ただ、もう卒業なので、来年からは社会人の一歩目としてもっと素敵な音楽を綴っていきたいなと思います」
●以前は疑問を投げかけていた大人だったわけですが、お仕事などを通して沢山の大人の方と出会ううちに、大人への見方も変わってきたのでしょうか。
家入レオ「変わりました。これが多分、凄く変わったと自分でも思うんですけど、福岡にいる時は、その場によって言うことが違ったりとか、『ずるいな』と思っていたんですよ。でも、東京へ来て自分の人生に保険をかけずに真っ直ぐに頑張っている人たちを見て、『ああ、大人の人って、こんなに素敵な人もいたんだ。私もこんなふうにいつかなりたいな』って感じた自分が、自分でも驚きで、大人になることへの抵抗感が少しずつ薄らいでいるように思えます。こんな私を受け止めてくれる人たちがいるので、ありがたいなと思いますね」
●ブログでは度々本の話題も登場する家入さんですが、本はかなり読まれているのでしょうか。
家入レオ「本は結構読みます。大好きなので。今も本棚、読みたい本だらけなんですけど、ちょっと落ち着いたら読もうかなと思っています。(大部分の本って)書いている方が大人の方じゃないですか。自分の人生の色んな経験を通じて一生懸命書いているというのは、会ってもいないのに、その人の人生を知ることができるということですよね。私がまだ踏み込んだことのない未知の世界を知っている人たちだから、1冊読むだけで凄く勉強になるし、『私だったらこうだろうな』という思いも出てきて、凄く刺激になりますね」
●読書が歌詞を書くきっかけになったりはするのでしょうか。
家入レオ「します。著者の方に対してのさらなる質問とか、『私はこう思う』とか、逆に『ここは共感しました』というところが歌詞になったり、インスピレーションを凄く受けます」
●「愛なんて残酷で もう 祈る価値もないよ」と言い切りながらも、見えない真実を求めて揺れ続けている17才の「僕」や「私」。そこに自分の似姿を見る——つまり聴く人にとって個人的な鏡としてアルバム『LEO』は長く愛されるのではないでしょうか。
家入レオ「本当に今回のアルバムは同世代の方に聴いて頂きたいのはもちろんなんですけど、上の世代の方にも聴いて頂きたいですね。大人の人たちも、私と同じ17才を経験していて色んな葛藤があったと思うので、そのヒリヒリ感というものを、『あ、こんな気持ちだったな』と思い出してもらう1枚にもなっているんじゃないかなと思っています」
♪ アルバム『LEO』の中に生きる17才の「僕」や「私」は皆さんにとってどんな自分を見るのでしょうか。お送りしますのは家入レオさんで「Bless You」です。


●2013年の1月と3月には初のワンマンツアー〜LEO〜が予定されています。幸せのキャッチボールが直接体験できるライヴで、家入さんはオーディエンスにどんなボールを投げてかけてくるのでしょうか。
家入レオ「色んな私を見せていけたらいいなと思っていて、シングルの3枚だと、どうしても強めの私が多かったなと思うので、『実はこんな明るい私もいますよ』ということをライヴでも感じてもらえたらと思います。あとは、人って笑っていても、心の中は切なかったりとか、苦しい気持ちってあると思うので、それを思い切りぶつけられるようなライヴにしたいなと思います」
●では観る側で印象的だったライヴは?
家入レオ「やっぱり尾崎豊さんのライヴですね。もちろんDVDでしか観ていないんですけど、衝撃を受けましたね。時間を経ても伝わる思いというのがあるんですよね」

〜outro〜
●お送りしましたのは
尾崎豊で「15の夜」
家入レオで「ミスター」、「Linda」
中森明菜で「1/2の神話」
家入レオで「Hello」、「Bless You」でした。