「少し愛して、長ァーく愛して」大原麗子さんのあの声が忘れられなくて

「死ぬまで可愛い女でいたい」
週刊現代 プロフィール

守ってあげたくなる人

彼女がヒロインとして出演した映画『網走番外地』シリーズでチーフ助監督を務め、『不良番長』シリーズではメガホンを取った内藤誠監督が語る。

「彼女と初めて出会ったのは'65年頃。梅宮辰夫と緑魔子がダブル主演した『夜の青春』('66年)の撮影現場でした。売り出し中の若手女優として現場に姿を現した麗子は、10代とは思えないほど堂々としていました。

彼女は自分の考えをあけすけに言うタイプで、最初は生意気な小娘だと思っていました。ですが、作品に対する捉え方は的を射ているんです。

たしかに作品の脚本を書いているのは、もう大人になってしまった人たち。10代の若者の感覚から遠ざかってしまい、作品にリアリティが出なくなってしまう。その点、彼女は青春時代真っただ中。それだけに、彼女の存在は作品に新しい風を吹き込んでくれました」

 

大原は10代の頃から「六本木野獣会」のメンバーに名を連ねていた。この「野獣会」は井上順に峰岸徹、中尾彬などの芸能界黎明期から活躍するスターたちが集まっていた遊び人グループ。

その「とっぽい」空気を纏わせたまま撮影現場に現れる大原に、制作スタッフは面食らい、同時に新鮮さを感じたことだろう。

この頃の大原は撮影後に六本木へと繰り出し、朝まで過ごす日々を謳歌していた。だが、翌日はどんなに早い撮影でも遅刻せず、台詞も完璧に覚えてきた。「野獣」と自認しながらも、演技はどこまでも真面目だった。

「彼女がスクリーンに映っただけで、パッと絵が明るくなる。それは麗子の生まれついての『華』がなせる業でしょう。それに、彼女にはどこか守ってあげたいと思わせる魅力がありました。

私が監督を務めた『不良番長』シリーズでも、濡れ場のシーンがありました。ですが、彼女が犯されるようなシーンは、監督の私自身も想像したくないんです。だから濡れ場の場面になるとカメラをパンさせ、情事を暗示させて直接的な絡みのシーンは撮らないようにしました。