2020年02月09日 08時40分

ネットで話題「全裸散歩で逮捕、そのまま取り調べも全裸」 これってアリ?

ネットで話題「全裸散歩で逮捕、そのまま取り調べも全裸」 これってアリ?
画像はイメージです(mits / PIXTA)

全裸露出で逮捕されたら、全裸のまま取り調べされたーー。こんなはてな匿名ダイアリーが話題になった。

筆者は公園を全裸で散歩していたところ、現行犯逮捕されたそうだ。路上や公園で全裸になる行為は、刑法174条の公然わいせつ罪にあたる。全裸のまま警察署に連行され、服も毛布も与えられないまま、4時間ほど取り調べされたという。

男性は「普通は毛布をかけたりして体を隠して連行すると聞いていたのでちょっとびっくりしました」と驚いた様子。勾留期間中は全裸ではなかったそうだ。

真偽は定かではないが、全裸のまま取り調べすることに、法的な問題はないのか。大川一夫弁護士に聞いた。

●違法取調べの立証にハードル

ーー全裸で取り調べされたという話を聞いたことはありますか

こんな話は聞いたことがありません。そもそも刑事訴訟法第196条は「検察官、検察事務官及び司法警察職員並びに弁護人その他職務上捜査に関係のある者は、被疑者その他の者の名誉を害しないように注意し、且つ、捜査の妨げとならないように注意しなければならない」と定めています。

全裸の取調べとは被疑者の名誉を侵害するものです。

ーー匿名ブログですので、信憑性は定かではありませんが、実際にこうした事態が起こっていたとしたら、どう考えますか

全裸のままの取調べというのは被疑者の名誉権、人格権などの人権に対する配慮に欠けた捜査ですし、前述の刑事訴訟法に違反するものと考えます。

ーーこうした取り調べを受けた場合、警察を訴えられるのでしょうか

取調べは、「密室」で行われています。そのために、過去に違法取調べを訴えた事件をみても実際に警察官が取調べの違法を認めることはまずありません。

その意味で、訴えることは出来ても違法取調べを立証することが大変なのです。

現在、日弁連は会を上げて取調べに弁護人の立会権を認めるように取り組んでいます。違法な取調べをなくすためにも、弁護人立会権を認めることが重要です。

取材協力弁護士

大川 一夫弁護士
大阪弁護士会所属、元同会副会長。現在、同会労働問題特別委員会委員、刑事弁護委員会委員。龍谷大非常勤講師、日本労働法学会会員、連合大阪法曹団代表幹事、大阪労働者弁護団幹事など。
事務所名:大川法律事務所

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