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【社会】

「嫡出否認は夫のみ」合憲 最高裁、妻子側の権利認めず

 生まれた子との父子関係を法的に否定する「嫡出否認」の訴えを起こす権利を夫だけに認めた民法の規定は、男女平等を定めた憲法に違反するかどうかが争われた訴訟で、最高裁第二小法廷(岡村和美裁判長)は原告側の上告を退ける決定をした。五日付。規定を「合憲」とした一、二審判決が確定した。最高裁は具体的な判断理由を示さなかった。

 民法は、結婚中に妻が妊娠した場合は夫の子と推定し、これを覆す嫡出否認の訴えは夫だけができると規定。ドメスティックバイオレンス(DV)などの事情で、離婚成立前に別の男性との間で子どもを産んだ母親が、夫の子になるのを避けるために出生届を出さず、子が無戸籍となる要因とされている。法制審議会は妻や子も否認の訴えを起こせる案を含め、規定見直しを検討中だ。

 原告は神戸市の女性と娘、孫二人の計四人。女性は暴力が原因で夫と別居し、離婚が成立しないまま別の男性との間に娘をもうけた。夫が法律上の父となることを避けるため出生届は出さず、娘と、娘が産んだ孫二人が無戸籍となった。「民法の規定が原因で不利益を受けた」として、国に計二百二十万円の損害賠償を求めていた。

 二〇一七年十一月の一審神戸地裁判決は嫡出否認の規定について、要件を厳格に制限することで婚姻中の夫婦に生まれた子の身分を早期に安定させ、利益確保を図る目的があり、合理性が認められると判断した。

 一八年八月の二審大阪高裁判決も「子との間で扶養義務や相続関係が生じる夫にのみ与えた制度には一定の合理性がある」とした。一方で、妻や子に嫡出否認権を認めることも不合理ではないとし「どのような制度とするかは国の伝統や国民感情を踏まえ、国会の立法裁量に委ねられるべき問題だ」と指摘していた。

 

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