買い占められる北海道 “中国サイト”で「空港付近」49億円
外国人観光客に大人気の北海道で広がる、中国人による土地の買い占め。
その場所は、重要施設の近くにまで及んでいました。
中国人観光客に大人気の「北海道」。
かつては“爆買い”が話題になった外国人観光客だが、今、最も関心を集めているのは、北海道の不動産。
時価数億円、ニセコの豪華別荘に、自然豊かな北の大地。
さらに、中国系のショッピングサイトでは、空港そばの土地が堂々と売られる事態まで起きていた。
北海道の中でも世界的スキーリゾートとして知られる「ニセコ」地域。
道路の両側には、完成したばかりの豪華別荘がズラリ。
そのオーナーのほとんどが、外国人の富裕層。
時価数億円はくだらないという超高級別荘。
その内部は...。
広々とした吹き抜けのリビングには、高級家具。
そして、機能的なシステムキッチンのほか、大画面テレビを備えた「メディアルーム」まで。
バルコニーからは、羊蹄山の雄大な景色が望める。
別荘のオーナーは、外国人観光客に部屋を貸すことで利益を確保。
今、こうした別荘に目をつける中国人富裕層が増えているという。
株式会社ザニセコカンパニーリミテッドの小林直美さんは、「(オーナーの国籍は?)中国の方もいらっしゃいます。(町の変貌については?)地元民でもびっくりですよね。まさかこうなるとは...」と話した。
日本では、外国人でも不動産の購入が可能で、それを規制する法律はない。
中国人に物件を紹介する不動産業者は、「北海道の物件に投資する中国人は多い。土地が安いから」と話した。
こうした北海道での「土地あさり」の裏には、どのような思惑があるのか。
拓殖大学の富坂 聰教授は、「日本人にとっては価値のない場所も、中国人にとっては価値になるというのが、北海道の1番大きいところだと思いますね。観光客向けのリゾートをつくって、そこに多くの観光客が来れば、その土地を回していく利益が、すごく大きくなるということですから、それはもう十分投資に見合う」と話した。
北海道・登別市では、中国風テーマパークの跡地に、中国資本による大規模な太陽光発電所が建設され、2018年6月から売電を開始する動きも出ている。
中国資本の土地取得に危機感を持ち、長年調査を続ける小野寺 まさる氏は、「実際に中国の方が買っても、日本の国民の生命や財産を守れる、そういう仕組みを作ったうえで、中国の方たちと交流をしていく、商売をしていくということが大切なのではないか」と語った。
林野庁によると、2017年の1年間に外国の法人、または個人が北海道で買収した森林面積は、東京ドームおよそ11個分(53ha)。
うち、およそ半分(25.43ha)は、香港などを含む中国系資本が買収したもの。
中国資本による北海道の土地買収。
それは、日本の安全保障上、重要な場所にも及ぼうとしていた。
北海道の表玄関、新千歳空港。
2018年3月、航空自衛隊の基地と隣接する、この空港近くの土地およそ52haが、中国の大手ネットショッピングサイト「アリババ」に、およそ49億円の売値で出品された。
出品者は、「この土地を外国人が所有すれば、北海道で国際会議が開けなくなる」とうたい、日本人が高値で買い戻すことに期待をにじませていた。
地元の人は、「転売目的で買っている方もいて、ちょっと怖いのは怖いですよね」、「他国の方に土地を所有されるのは、テロとか、そういう話になってきたら、ちょっと不安は大きくなる」などと話した。
こうした中国資本による土地買収に対し、町をあげて防衛する動きも。
人口およそ6,000人の町、新得町。
2017年、施設の老朽化などで閉鎖された東京ドームおよそ81個分(約370ha)の牧場地をめぐり、中国を含む外国資本による買収話が浮上したという。
そこで、町は先手を打つ形で、2億円の費用を投じ、この土地を取得。
土地については現在、地元の農協に貸し出す話が進んでいる。
新得町の浜田正利町長は、「(農業など)1次産業の土地は、地元の人が持つべきだと。外国資本を意識しないわけではないけどね」、「土地の管理って、絶対必要だと思っているので。これからも積極的に対応していきたい」などと述べた。