冬の山は初心者にはハードルが高く最初の一歩が踏み出しにくいと思います。しかし一度雪山を知ってしまったら毎シーズン通うようになるもの。そこでおすすめなのが上高地とスキー場 のスノーシュートッキング。
今回フリー写真素材サイトのぱくたそさんのすしぱくさんたち撮影クルー、gori.meのg.O.R.iさんが北アルプスの山々とその麓にある山岳温泉郷平湯温泉に興味を持っていただけたこともあり、ぱくたそさんでも活躍しているモデルの茜さやさんの写真撮影ガイドとして上高地やスキー場の案内をしてきました。
しかし撮影クルーのほとんどが登山初心者。厳冬期の上高地や北アルプスのスノーフィールドを安全かつ快適に楽しむためにはどのように準備や案内をすればいいのか考えました。
結果、今回はfinetrackのフルレイヤリングという形で着地しました。finetrackで固めたときの機能性やデザイン性やコーディネート、シルエットなどを知りたい方には参考になるかと思います。
登山経験がある人ははじめて雪山に挑戦する初心者の方を連れて山に入る人も多いと思いますので、私なりの考え方をまとめてみます。
冬山登山経験者として事故リスクから考える
プロの山岳ガイドとして仕事をしているわけではありませんが、ヒマラヤ登山のメンターを務めることもあるので、そこそこに山の知識はあると思います。
現在は日本の北アルプスがメインフィールド。事故のパターンを見てよく思うのが装備の不足。登山は経験値による事故予測がとても大事で、それができないと何を準備して登山に挑めばいいのかわかりません。
冬山がはじめての人は「寒いから防寒具をたくさん着込んでいこう」という発想のみで行動中の発汗は考慮しないかもしれません。結果として低体温症につながり危険な山行になります。
ですのでこ初心者の方はこのような予測ができる経験者と一緒に登った方がよいという意見には賛成のスタンスです。
万が一に備えてウェアやギアなどの装備は妥協しない
撮影クルーにもキチンとした登山用のウェアを着て頂きました。gori.meのg.O.R.iさんも完璧なレイヤリングでそのまま冬山登山に挑める装備です。
冬山登山は好天と悪天で、身体と精神の負担の大きさがまったく違います。好天のときはタウンユースの服装でも快適に行動することができますが、吹雪いてホワイトアウトすれば死亡事故につながる危険があります。
冬山に長時間滞在するのであれば最悪天候に対応できる装備を準備して挑むべきです。命に関わることなのでお金の面で妥協した装備を使用するのはオススメしかねます。
もっとも重要なハードシェルはメーカーによって3万〜15万と幅があり、どれを買えばいいのかわからない人も多いかもしれません。レインウェアとハードシェルは機能がまったく異なりますので、不安な方はアウトドアショップの店員さんに質問したり、経験者と一緒に購入することをおすすめします。
finetrackのレイヤリングってなんだろう?っていうアウトドア初心者の方は、同じく初心者であるgori.meのg.O.R.iさんのレビューが参考になると思います。
https://gori.me/travel/nagano/95432
機能性の異なるウェアを5枚着重ねて、リンクベントと呼ばれるベンチレーション(外気を入れるファスナー)を開けて体温と蒸れのコントロールを行います。防寒具の上に更に2枚ウェアを着ることのはなかなか馴染みがないかと思いますが、これが一番重要!まずはg.O.R.iさんが厳冬期上高地で半裸からレイヤリングしていく動画をご覧ください。
冬山での写真撮影で気をつけたいのは防寒と汗冷え
今回は冬山でのモデルさんの撮影という特殊な環境。山に登って写真撮影する私の専門分野でもあります。
経験としては汗冷えが一番怖いです。特にカメラマンの方はかなりの機材を背負って行動し、走ったり寝転がったりとアクティブに動いて撮影します。バカにできない運動量です。
そしてモデルさんのメイク直しや休憩中はライティングの調整をしたりと低負荷の運動強度です。結果として汗をかいた状態で長時間の待機になります。それがスキー場のようなところでも低体温症になる可能性があります。
これはモデルさんに同じことで撮影するジャンルによってはポーズ取ったり傾斜を登ったりした汗をかいてしまうことが考えられます。
個人的には冬山での最低限の装備は汗の処理をうまく行えるウェアの選択だと思っています。それを初心者の方に分かりやすく説明しやすいのがfinetrack。
汗処理とレイヤリング機能が秀逸なfinetrack
finetrackのウェアは透湿性が高く、インナーを除くすべてのウェアにベンチレーションが搭載されています。それが連動するリンクベントによって体温のオーバーヒートを防ぐと同時に内部の蒸れを一気に解消することができます。
今のところ分かる人にしかわからないガチなアウトドアブランドとしての認知ですが、経験者が初心者にウェアを提案するのにはとても分かりやすいと感じました。理由としては「ウェアの選択肢が少ない」ということと、防寒と汗冷対策のバランスがとてもいいこと。
最近になって女性用カラーも増えてきてようやくライトユーザーにも手が出しやすくなってきたイメージがあります。
今回は「はじめての冬山に行く人がいるんだけれども、どういったウェアがいいんだろう」ということをfinetrackさんに相談させてもらいました。
幾度かの意見交換の末、スノーフィールドがはじめてのモデルやカメラマンでも、厳冬期の上高地やスキー場での長時間撮影を快適に行えるレイヤリングができあがりました。
雪山がはじめての女性モデルの着用ウェア
finetrackのフルレイヤリングに興味がある人が多いと思います。今回の撮影ではグラドルの茜さやさんにL1〜L5を着ていただき、平湯温泉スキー場で撮影しました。
finetrackのウェアは細いシルエットのものが多い印象です。例えばニュウモラップフーディは袖口がものすごくタイトだけれど、部分的にストレッチ素材を使用しているため着心地がいい。雨風の内部への侵入を防ぐための機能ですが、全体のシルエットが細くタイトになり着こなしがカッコイイです。
「全身finetrackでフルレイヤリングするとどうなのか」という情報はあまり見ることがないので、機能性と同時に5枚のウェアを重ねたときのシルエットなどのファッション性はどうなのだろうか?
茜さやさんが実際に着用したウェアとその機能性をご紹介します。これから購入を検討する方や全身finetrackで固めようと考えている人にも参考になると思います。
L1:finetrack スキンメッシュロングスリーブ
登山をやっている身からすれば定番のインナー。汗を外に出し外からの水分を撥水するので常に肌がさらさら。この価格で低体温症のリスクを抑えられるのは素晴らしいことだと思います。夏でも汗の臭いが付着しないので体臭がだいぶ少なくなります。
初心者には使用時のイメージや効果がわかりにくいため購入されることは少ないかもしれませんが、個人的には真っ先に買って欲しいウェアの1つです。
L2:finetrack メリノスピンサーモジップネック
ドライレイヤーを着ていてもその上に速乾性のシャツを着ておかないと効果は発揮されにくいです。安全で快適な登山はいかに汗や蒸れを素早く蒸散させるかになります。
その上で冬山だと速乾性シャツ自体にも保温性が求められるので吸湿発熱素材であるメリノウールを使用したものがオススメです。水分を含んで発熱する素材ですが長時間それを維持できるわけでないので、速乾性と両立してこそ長時間の保温性が保たれます。
finetrackのメリノスピンサーモはポリエステルを織り込んでメリノウールの保温性と速乾性ウェアとしての機能を両立しています。
L3:finetrack ドラウトポリゴン3フーディ
水分を含むとロフトが潰れて保温性が激減してしまうダウンジャケットの弱点を克服したfinetrackのファインポリゴンを使用した防寒具。単純な防寒具としての機能ならばダウンジャケットの方が温かいのですが、ファインポリゴンの良さは通気性による使いやすさ。
汗によるムレを開放できる通気性ベンチレーション、水分を含んでも保温性の低下が少なファインポリゴンは行動中に着ることができる行動保温着です。その上にシェルを着ることで厳冬期北アルプスの山行でも充分すぎる保温力を発揮します。
L4:finetrack ニュウモラップフーディ
ソフトシェルとハードシェルを重ねて着るというfinetrackの提案の特徴とも言えるウェア。ハードシェルの下に着るミッドレイヤーのポジションです。ニュウモラップフーディ単体でも防風性に優れて着心地がいいため使い勝手よく、タウンユースにも最適です。
ニュウモラップの登山での役割は、とっさに出せして雨風を凌ぐ使い方と、ハードシェル単体ではカバー仕切れない浸水や雪、風を阻止する役割です。特に吹雪になると袖口や襟から雪が侵入してくることが多かったですが、ニュウモラップフーディを1枚中に着るだけでほぼ完璧に侵入を阻止できるようになりました。
https://yamasha.net/climb/pneumowrap
2017年にニュウモラップフーディの正統後継のフロウラップフーディがリリースれました。ライトな使い方で賛否両論ですが冬山や岩場などのハードな使い方ではこちらの方が機能面では圧倒的に優れます。
L5:finetrack エバーブレスアルマジャケット
finetrackの独自素材のエバーブレスメンブレンを使用したハードシェル。特徴は何と言ってもストレッチ性。ハードシェルのツッパリは体力の消耗につながります。特にザックを背負ったまま身体を捻ったり、ラッセルをしたりすると気になります。
エバーブレスメンブレンを使用したウェアはそのストレスが少なく。アクティブな行動に向いています。
L1:finetrack スキンメッシュボクサーショーツ
下半身は汗をかく感覚があまりないので、気を抜いてしまいがちです。しかし運動強度の高い登山では汗を書きます。上半身は汗冷えは気づきやすいためドライレイヤーを着用する人も多いですが下半身の汗対策も同じくらい大事です。特に冬山になると1つの装備の不足が重大な事故につながることがあるため、メッシュ系のインナーを使うことをおすすめします。
L2:finetrack メリノスピンサーモタイツ
下半身の保温ウェアは人によって使うかの判断は分れるところですが、待機時間の長いモデルやカメラマンのことを考えると純粋に保温用具としての必要を感じました。写真撮影を目的として冬山登山をするのであれば、身体を冷やさないために履いておきたいタイツです。
L3:finetrack ソラノパンツ
防風性が高い高密度の編み込みをされていて、強風の状況下でも足が冷えることがありません。またパンツの内側はリングパイル化されており空気の層が作られるようになっています。この仕組みにより保温性も高い冬山に最適なパンツです。
オールシーズンで使える定番のストームゴージュアルパインパンツよりも保温性が高いモデルです。
L5:finetrack エバーブレスシビロパンツ
エバーブレスメンブレンのストレッチ性と、4WAY異次元ストレッチを兼ね備えた動きやすいハードシェルパンツ。太もも部分に大きいポケットがあるため行動が制限されることの多い雪山では便利です。
インナースパッツ搭載で雪の侵入を防ぐ機能も充分。無駄がないシルエットでシルエットがカッコイイのもポイントです。
finetrack エバーブレススノーグローブ
フラッドラッシュサーモとセットになっているグローブ。2枚のグローブをレイヤリングすることで、汗をかいてもフラッシュドラッシュが吸水し快適な状態を維持。雪や風はエバーブレスを使用したスノーグローブがガードしてくれます。
グローブは保温性とシェルとしての役割ばかりに目が行きやすいですが、冬山での快適性を求めるなら蒸れ対策も必要です。より安全に、パフォーマンスを上げたい人にはオススメのグローブです。
Columbia ヌースネックパースニットキャップ
命を守るための装備ということを大前提に、冬山登山のウェアをファッションとして考えたときに個性が出るのが帽子だと思います。一番目を引きますし、色々なアウトドアメーカーから販売されているので、こだわりを持つ人も多いと思います。
冬山登山の難易度が上がるとバラクバラのような機能性の固まりのようなギアにならざるを得ませんが、今回はスキー場や上高地での撮影。機能性が充分ならばスノーフィールドを楽しめオシャレをするのも、山の楽しみ方の1つです。
Columbiaさんからスノーシュー・スキーで最適なニット帽をお借りしてました。
http://www.columbiasports.co.jp/
SOREL カリブー
登山ではなく、ゲレンデなどを楽しむためのスノーブーツであるSORELのカリブー。マイナス40度まで対応することができます。今回の撮影では北アルプスの標高2000m付近の稜線ではありましたが、ガッツリ登るわけではなくスノーシューで周辺のフィールドを楽しむのがメインだったため、つま先まで温かいカリブーを選択しました。
スノーブーツは無骨な冬山用登山靴とは違いおしゃれなものも多いので、「雪を楽しむ」ことに限定してしまえば上高地スノーシュツアーやゲレンデ散策などでパフォーマンスを発揮してくれます。
これが今回冬山に初めて入る撮影スタッフのみなさんが安全に、楽しく撮影できるために用意したウェアです。
茜さやさんのfinetrackフルレイヤリングの着こなしをもっと見たい方はぱくたその冬を生き抜く活力に!ウィンター茜さやを要チェック!高画質・高画素の彼女の写真をフリー素材としてダウンロードできます。
https://www.pakutaso.com/wintersaya.html
初心者の方は経験者にアドバイスを受けながら雪山を目指そう
今回は北アルプスの冬山のアテンドといういうことで、finetrackさんやColumbiaさんのご協力を得て初心者の方へのアテンドを行いまいた。問題無く冬山の行動ができたと思いますが、その中で思ったことが初心者の方々はウェアの使い方からわからないことが多いということ。
ダウンジャケットの上にハードシェルを着るというのは山の中では基本的な知識ですが、タウンユースでは一番外側に着ることが多いものです。
そういったお互いの常識をすり合わせて危険がないように最適なレイヤリングを教えてあげたり、汗を描くことの危険性を教えてあげたりと、経験者として初心者に教えるべきことが明確になりました。
経験者の方は初心者の方に丁寧にウェアや山の知識を教えること。初心者の方は独りで雪山に入らないこと。当たり前のようですがとても大事なことだと経験として勉強になりました。
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