雑談が「面白い人」「つまらない人」の決定的な差

何を言っても「雑談が続かない人」の共通点

どうすれば雑談をおもしろくすることができるのでしょうか(写真:Rawpixel/iStock)
突然ですが、「雑談のおもしろさ」は何が決め手になるのでしょうか? 「話の内容」「口のうまさ」……いろいろな意見があると思いますが、放送作家で即興力(インプロ)養成講師としても活躍する渡辺龍太氏によれば、「相手と無理なく楽しく話すことができれば、話の内容や口のうまさに関係なく、会話は盛り上がる」と言います。そこで今回は、「雑談がつまらない人がやりがちなNG行動」について、渡辺氏著『雑談がおもしろい人、つまらない人』から解説します。

雑談の意義を、「価値ある情報のやり取り」だと思っていると、雑談は決して盛り上がりません。それどころか、面倒なやつと思われてしまうことがあります。

次のやり取りを見てください。

A 「食器洗いって、めんどくさいよね」
B 「だったら、食器洗い機が便利だよ」
A 「え? でもキッチン狭いし、値段も高そうだし、それは無理かな」
B 「最近は小さいのもあるし、数万円で買えるタイプもあるよ」
A 「でも、私の家マンションだから、音がうるさいと困るな」
B 「そんなにうるさくないよ。じゃあ、紙のお皿と割り箸を使えば? これで解決!」
A 「いやいや、お金かかりそうだし、食事しても味気ないじゃん。ゴミも増えるし」
B 「うーん、じゃあAさんにとって、何がよりいいソリューションなんだろうな?」
A 「ソリューション……?」

この場合、AさんとBさんの間には、雑談に対する完全な認識の違いがあります。Aさんは、単純に「食器洗いがめんどくさいね」という話をして、「そうだね!」とか、「わかる! その気持ち!」と言われて感情を共有し、お互いのキャラクターを認め合いたいのです。

一方、Bさんは「食器洗いがめんどくさい」という問題に対する解決策を示そうとしています。つまり、この話題に対して、最終的にどうするべきかという「結論」を出そうとしているのです。

確かに、文字通りの意味に捉えればその通りなのですが、Aさんのつれない反応を見るに、「ありがた迷惑」であることは明白です。一般的に、男性は結論を出そうとする人が多く、ただ共感して、自分というキャラクターの思考パターンを理解し、認めてほしいだけの女性と会話が嚙み合わないなどと言いますが、まさにこの例のパターンといえるでしょう。

「わかる!」は定番の共感フレーズ

では、こんな場合はどうすればいいのでしょうか。

一番シンプルな方法は「相手の感情を表す言葉に反応する」ことです。つまり、相手が「嬉しい」「悲しい」「楽しい」「イライラした」といった自分の感情について説明し始めた場合、示された感情に共感するのです。さらに、そんなときに役立つ魔法のフレーズがあります。それが「わかる!」という言葉です。先ほどの会話例で見てみましょう。

A 「食器洗いって、めんどくさいよね」
B 「ああ、わかる! めんどくさいよね!」
A 「そうそう! 食べ終わった後って、何もしたくないじゃん。だからといって、次の日までシンクに食器を放っておくと、翌朝見たとき、すごく嫌な気分になるし」
B 「わかるわー! 本当に嫌だよね。だから私、食器洗い機買っちゃった。すごく便利!」
A 「そうなんだ! でも私の家、キッチン狭いんだけど、置けたりするのかな?」
B 「うちのキッチンも狭いよ。2人分の食器洗い機だから、これぐらいの大きさ」
A 「へー! それならいけるかも。でも、音とか、うるさくない?」
B 「それが、そうでもないんだよ。寝る前にスイッチ入れても、全然気にならない」
A 「いいねー! じゃあ、私も買ってみようかな……」
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  • 時間ですよ2d49c9c9ca8e
    これは「雑談」の本質を突いているなあ、と感じました。
    プレゼンや弁論と違い、雑談は「談」にこそ本質があるため、正しさや真っ当さではなく「盛り上がるか」「続くか」が全てですからね。
    ただ、「相手に共感を示してれば盛り上がる」だけでは「相手任せで、仕掛けられない」ので、「仕掛けるためには何が必要か」という、一歩進んだテクニックがあるような気もする、そんな期待も起こさせるエントリでした。
    up27
    down8
    2020/2/8 10:56
  • AJRAbdebf3631e11
    面白いことを企てようとするときに、外からものを連れてくるっていう部分。要するに観察です。スマフォなんか見ないで、世の中を見回して、心に余裕を持って発見したものが面白い。面白さって、自分の中からなんて湧いてこないじゃないです。みんな、そういうのがどこかから降ってくると思いがちなんですけど、そう簡単に降ってはこない。どこかで見たものを思い出したり、ニュースで見たものからヒントを得たりしながら、面白さを探していく。そういう意味で、いろいろと情報を持っている人のほうが面白いことを言えるのかな、とは思う。
    だから、やっぱり面白いことには、ある程度の知識や教養は必要。そういう意味では、面白いことが言えない人は、不注意っていうのもある。誰かの発言にしたって何にしたって、いろんなところに面白いことを言うためのネタは転がっているのに、それに全く気付かないわけだから。
    up21
    down14
    2020/2/8 10:55
  • 589a4dabace4416ff8d98
    単純なこと。お堅すぎる人、真面目すぎる人は雑談ができない。「こんなことを言っては失礼だ」とか「そんなに親しくないのに」とか考えすぎると何も話せない。
    もちろん失礼はダメだが、雑談の面白さはそのギリギリのラインを狙うところにあり、それが出来なければ、いつまでも当たり障りのない、形式的な会話しかできない。
    up17
    down34
    2020/2/8 08:13
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