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(武志)ただいま。(喜美子)お帰り。 早かったな。
ちょっと出かけてくるわ。どこに? あっ あっ…これ! これ頂いてん。
ごはん いらんし。 ほな。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
制服で行くん? どないしたん。
何で?ごはん いらんなんて 珍しいし…。
ほうけ?
なあ どこ行くん?
大輔んとこ。(マツ)お米屋さんや。
それは 学君や。大輔君とこで ごちそうなんの?うん。
ほやったら これ 持っていき。ええよ。
ごちそうなるんやったら持っていきぃ。要らんて。
手土産に。要らん言うてるやろ。
気ぃ付けてな。うん。
行ってきます。行ってらっしゃい。うん。
(マツ)お早うお帰り。うん。
(大野)それは その… 何や あれやんな。(陽子)うん。 あれや 思春期いうやつやん。
信作ん時もあったやんなあ 親の前では「あっ」「うっ」「やっ」しか言わへんやつ。
今はな そっとしといた方がええんちゃうか?
ほやほや もう そっとしときぃ。う~ん…。
信作が 時々 届け物 持ってくるんですよ。知ってはりますよね?
ふ~ん…。うん…。
5年… 5年は続いてますね。
何やの言うて聞いてもふざけてばっかりで。
この前も…。
回想 (信作)信楽のブルース・リーが来たでえ。 ワア~!
ハッハッ! そりゃあ ふざけ過ぎやいくつや思てんねん なあ?
それなあ 実は わしが助言してん。離れとっても父親として…何? あ… ちゃう ちゃうわ。え~ 父親代わりとして信作は 面白おじさんやなかったらあかんでえ言うて。
面白おじさん…。(大野)ああ ああ。 なっ。
♪~
ただいま。
遅いな。 もう11時やで高校生が帰る時間ちゃうやろ。
高校生でも これくらいの時間…。ありえへん。
文化祭の時の方が遅かったやん。こんな遅うないわ。
美術部で描かなあかんポスターぎょうさん頼まれて家着いたん 夜中過ぎてた。
あ… お母ちゃん 窯たいてたから気ぃ付かへんかったんや。
ほな 今日は文化祭か。
美術部で残ってたんか。ポスター描いてくれ頼まれたんか。
いや…。
電話くらいしなさい。
すいませんでした。
もう歯ぁ磨いて寝え。
なあ 話 してええ?
決めたで 高校卒業後の進路。
武志 誰と会うてきた?
誰と話してきた。
決めたんは 誰や。
決めたんは 俺や。
お母ちゃんが 「自分の人生や自分で決めぇ」言うてくれたから。
考えて… よ~く考えていろいろ あれして…最後に決めたんは 俺や。
大学に行きます。
京都の美術大学を受験します。
そこは公立やし 私立ほどかからんし。
そこの陶磁器学科で学んで陶芸家 目指します。
死に物狂いで勉強して絶対… 絶対 合格したるで!
その日から 本当に死に物狂いで勉強を始めました。
武志が目指している大学は学力だけでなく美術の実技試験も行います。
武志 置いとくな。ありがとう。
♪~
「コントラスト コントラスト…何々を…」 え~「何々と対照する」。
♪~
う~んと…。
暑っ…。
「1614 大坂冬の陣」。 「1615 大坂夏の陣」。
「1614 大坂冬の陣」… うん? 夏… 冬…?
冬… 冬の陣。
♪~
(住田)関西百貨店からもお話 頂いてますねんけど。
もう展示会だけで 手ぇいっぱいですぅ。
(住田)百貨店は断ったら大損しまっせ。
なんとか うまいこと日程の調整しましょうや。
住田さん追われるようなことしたくないねん。
うちは もう白いごはんに みそ汁におかず1品あれば もう十分 ぜいたくや。
う~ん…。 いや ステーキ食べとなる時かてありますやろ。
先生やのうても 息子さんが…。あっ 今日?
お赤飯? もし 落ちてたら…!
もう 絶対 合格する言うてるんやし…。
この1年 受験のこと以外にもいろいろありましたが受験のこと以外全ての記憶が色あせていました。
あとは 結果を待つだけです。
帰ったんちゃう?
桜…咲きました! やったで!
おめでとう!
(マツ)でかした!
ようやった! ようやった!
あ~ ようやった!あ~!
でかした~!よかった~。
あ~ 食うた食うた。
腹いっぱいや。
腹いっぱい 胸いっぱいや。
おばあちゃん もう寝てもうたな。緊張の糸が切れて ほっとしたんや。
心配かけたしなあ…。ううん ほんま ようやった。
よう頑張った。
おめでとう。うん。
すごいな。
来月から京都や。 学生寮 入るで。
準備せんとな。寂しいな。
寂しないわ うれしいで。ほんま?
楽しみや。ほんま?
俺 陶芸家 目指すで。
まずは 大学生活 有意義に過ごしぃ。陶芸家は そのあとや。
お母ちゃんは 信楽で待ってるで。うん。
報告したん?進路の相談 乗ってもろてたやろ。
受験勉強の時も 時々 電話してたやろ。
助言してもろたん?
お父ちゃんと おんなじ大学やから…。そやな。
会いに行った。
まあ 進路の相談いうか 話 聞いてもろた。うん。
うん? 四国から わざわざ?あ… 今は 名古屋におる。
そうなん。
5年ぶりやった…。5年になるか…。
ずっとな 手紙もろてた。
信作おじさんが届けてくれた。
持ってきてたん やっぱり手紙か。ヘヘっ…。
5年間で風呂沸かせるほどぎょうさんの手紙もろたで。
あ… ほんま 大したことない手紙や。
いちいち言うことない思て何や 言いそびれたら…言いにくうなった…。ええよ 別に。
武志にとってお父ちゃんは お父ちゃんや。
どんな手紙?ほんま 大したことないで。
たあいない手紙や。
「今 勤めてる名古屋の会社で 今日新しい釉薬の配合が どうした こうした」。
ほんま 大したことない手紙や。
武志も書いたん?たま~にな。
何 書いたん?俺も大したことないで。
「美術部 入りました」。「文化祭ありました」。
あと… あっ 「試験 終わりました」。
味気ないな。ヘヘッ そういうもんや。
まあ でも… 5年ぶりに会うた時は最初は ちょっと緊張したけど顔見た途端 「おう」「おう」。で 飯屋 入って たぬきそばや。
「おう」「おう」 たぬきそば…?
うん 2人で たぬきそば食うた。黙~ってな ほんで 食い終わって話した。
昔と 何も変わらん。 よう話したで。
何で?
「何で」…?
5年も離れて暮らしてて何で 昔と変わらんでいられるの。
そういうもん?
そういうもんちゃうで。
風呂沸かせるほど ぎょうさんの手紙にな必ず最後は おんなじこと書いてあった。
いつの手紙にも どんな手紙にも必ず最後は おんなじや。
「会いたい」。
「いつか会いたい」。
5年間 お父ちゃんは書き続けた。
ほやから ほやから…「おう」「おう」 たぬきそばや。
ハハ…。
大事なものを失ったのだと思いました。
ピンクフィーバーズ!
サイン頂戴!うん。うん。
ええ子に育ててくれて…。いらっしゃいませ!
丸熊さんとこの長男坊な高校やめたらしいで。
え~!立候補したかいがあったわ。
スキャンダル女優や。
久しぶりに そろたもん寝んのんもったいないわ。