【警戒】『中国で原因不明の肺炎患者相次ぐ 武漢、政府が調査』
病院は患者の隔離措置を取った。中国のネット上では、03年に大流行したSARSが発生したとの情報が出回ったが、当局は「現時点で原因は不明」と否定http://bit.ly/2SFMogs
去年の大晦日以来、新型コロナウイルス肺炎の件についてずっと追っかけてますけど、「どこから情報を得ているのですか?」という質問を何度かいただきました。
別に隠すようなことでもないし、ツイッターを見ていると、日本での情報は何かとデマやら不確かなことが多いみたいなので、こちらの「ソース」を公開します。
【目次】
(1)日本の情報はいつも一歩遅い
日本のメディアが出してくる情報はいつも少し遅いです。日本国内でのことなら早いのかも知れませんが、海外のことになると、記事を作って公開するまでのタイムラグが大きい。新型コロナウイルス肺炎のような、最新情報が気になる件になると、1秒でも早く正確な情報にアクセスしたいものです。だから、主に海外の情報を見ることになります。
「英語も中国語もわからないんですけど…」
という人が、ここでこの記事を読むのを断念するかも知れませんが、英語能力が中学生レベルでも、中国語能力が皆無でも、ある程度なら理解できる内容も少なくないので、ちょっとガマンして読み続けて下さい。
(2)海外系のニュースサイト
海外系報道機関の日本語ニュースサイトは原文から日本語への翻訳に時間がかかるものの、日本のメディアより早いことも少なくありません。たまに日本よりも遅い時もありますけど、日本のメディアではそもそも扱わない…でも日本人も興味深い…という記事も少なくない。なので、海外系のニュースサイトをチェックするのは手堅い情報源になります。
AFP通信社(フランス通信社)
▲世界三大通信者の1つであるAFP。なぜか新型コロナウイルス肺炎系の情報は早い…という印象ありますね。ただ、AFPの問題として、RSSリーダーに入れた時に、中国関連だけで引っ張れない…海外のニュース全般をひっぱて来ることになる欠点はあります。それと、AFPは新華社通信とも提携しているので、中国関連記事の中に、新華社ソースのものが含まれます。それをわかってない人が読むと、「AFPって中国の国営通信社かよ!中共に忖度したような内容が多いなw」となるのでしょうけど、それとは別の独自記事になると、かなり辛口の中国批判もあったりする。トータルで見た時にバランスが取れてるのがAFPの特徴です。
BBC(英国放送協会)
▲元々、11年前に黒色中国が始まった当初、BBC中国語版をソースにするのがメインでした。中国で何かあったらBBC。日本メディアの動きを見てても、BBCを参考にして記事を出しているところは少なくないんじゃないかな…と思います。BBCで出ると、後追いするように日本でも…というケースを何度も見ました。何年か前から日本語版も用意されたので、これは要チェック。中国語版が分かる人は中国語版もチェックした方が良いでしょう。
ロイター
ロイターの記事は日本語版が出るのはちょっと遅い感じですが、少々遅くても全然大丈夫…みたいな内容が少なくないので気になりません。私はいつもRSSリーダーに入れて、特にどのメディアかは気にせず片っ端にニュースを読むのですが、読んでいて「あれ?これってどこの記事だろ?有料記事なのかな?ものすごく内容が深いんだけど…」と思うことが多い…というのがロイターの特徴です。
香港BS
香港デモの時にもお世話になりましたけど、香港BSの速報性とバランス感覚はスゴイです。内容的には香港の情報がメインですけど、香港は中国に隣接している上、「報道の自由」がある。それを政治的に偏ることなく、ポンポン素早く、日本語で出してくれるのが香港BSの特徴です。これが無料なんだからスゴイ。
▲ツイッターアカウントもあるので、これも要チェックです。私はいつもリストに入れて見てます。
中央社フォーカス台湾
台湾の国営通信社「中央社」の日本語サイトになります。一応頭に入れて置かなければいけないのは、あくまでも「台湾の国営通信社」ということです。そういう立場に基づいて書かれているニュースなんだ…ということを意識していれば、重要なソースの1つになるでしょう。
RFA(ラジオ・フリー・アジア)
昔はガセが多い、デマが多いと言われたRFA。確かにちょっと怪しかったw。でも今は産経は元より、NHKもソースにしてますね。
▲こちらを見ればわかりますけど、手っ取り早く言えば「米国の反中プロパガンダ機関」ですよね。だから、何らかの方向に誘導されているような気がしないでもない。でも、情報の早さでいえばピカイチ。信頼性と合わせて2で割っても、やっぱり要チェックだな…というのがRFAです。問題は日本語版がないこと。
ただ、英語か中国語の記事を自動翻訳で読めば大体の内容がわかると思います。わからない人は黒色中国のツイッターを見てて下さい。私もRFAから引っ張ってきて、日本語に翻訳したツイートは結構やってますので。
(3)中国の情報
「中国のニュースなんか全部ウソに決まってるだろ!」という人もいるとは思いますが、一応は当事国の情報に目を通すのがスジってもんじゃないかと思うのです。それに、頭から決めつけるんじゃなくて、中国のニュースの中にウソを見つけられたら、それ自体がニュースになりますしね。ウソを暴いてツイートすれば、それでRTも伸びる…みんなが中国のウソを認識できるじゃないですか。
中国の情報は大量すぎるので、今回の新型肺炎で読むべき情報…となると、次のようになります。
新型冠状病毒肺炎 疫情実時追踪
▲私が今回中国にいる時、毎朝友人とこのページの話題から話しておりました。新型コロナウイルス肺炎の中国の動向が気になる人なら必見のページ。リアルタイムで新型コロナウイルス肺炎の感染状況が把握できる内容です。
クリックしていけばわかりますけど、中国全体での数、各地域での数、各都市での数、時系列での数の増減…などがグラフィカルにわかります。たとえば…
▲こちらを見ると、湖北省での感染者が多いのは当然として、隣接する省にも感染者が多い。全体的に見ると東高西低で、なぜか黒龍江省が飛び地的に多い。そして広東省と浙江省は湖北省に次いで多い…というのがわかります。
黒龍江省がなぜ飛び地になってるのかは不明ですが、この図を見る限り、基本的に感染者が多いのは、経済活動が活発な地域だと思うのですね。
貴州省は山深くて経済的にも「最貧困省」と呼ばれるので仕方ないとして、浙江省・広東省に挟まれ、湖北省とさほど離れてもないし、出稼ぎが多いと言われる福建省も感染者は低めだったりします。
ただ、あくまでもこれは感染者の比較でして、それぞれの省・自治区の人口比も入れて考えるべきとは思いますけど、この図を見ていると、「中国」「中国人」というヒトククリで見るのがバカバカしいことで、地域で見る重要性がわかる。そして、いまは湖北省だけが危険視されてますけど、浙江省・広東省も感染者が多いのを忘れちゃいけない…と思うわけです。
▲広東省の各都市データを引っ張ってくると、初期の頃は広州市の感染者がトップだったのが、今は深センがトップになってます。こういうのを見ると、香港人が拡大を恐れてイミグレ封鎖を政府に要求するのもわかるし、香港政府が深セン湾以外の深センと隣接するイミグレを封鎖した…せざるを得なかったのも理解できる。
そして、敢えてこの時に広東省へ行かねばならなくなった人がいても、これを見れば「オレが行く汕頭は少ないから…」みたいな判断ができるわけです。
ちなみに、こちらのサイトは、Wechatの「看一看」でもトップに固定されてまして
▲アプリの「発見」から「看一看」をクリックすれば
▲この画面に飛ぶことができます。関連ニュースなども出てますので、中国語が出来る人なら、これは必見。ようするに、新型コロナウイルス肺炎専門の総合ポータルサイトみたいになってるわけです。
Wechatのチャットグループ
これは別に私が教えなくても、Wechatをやってる人ならもうすでに利用されているでしょうけど、私は友人たちのグループチャットが重要なニュースソースになってますね。みんな気になっているから、普段は無駄話ばかりやってるグループチャットで、新型コロナウイルス肺炎の最新情報を見つけ次第に投稿するようになっています。私の場合、香港・広東省・上海とのつながりが大きいので、それらの地域に即した情報が多くなる。現地情報ももらえるので、非常に役立っております。
中国・香港のテレビニュースを見る
CCTV13(中国中央電視台ニュース専門チャンネル)
▲「中国のプロパガンダなんか見やがって!」と激怒される人もいるでしょうけど、CCTV13は今、「戦疫情」という特番を連日やってまして、ほぼ24時間体制で最新ニュースを流してます。中国政府の取り組み、公式情報系はこちらで満遍なくカバーできます。
TVB(香港)
▲「TVBなんか見やがって!」と激怒する人もいると思いますが(こんなことばかり書いてますけど、ツイッターってそういう人ばっかりなんですw)、TVBは中国政府寄りだからですね。でもそういう特徴をわかっていれば、別に問題ない。フグの何処を食べたらアウトなのか分かっていれば、毒に当たらないのと同じ理屈です。
私がTVBを見るのは、テレビとしては情報が早いのと、ニュース番組のフォーマットが全然変わらないので見やすいのと(私が知る限り15年以上は変わってない)、RTHKのニュースもたまにやってくれることです。そして、「TVBなんか見やがって!」と激怒される人は、事情がよくわかっている人だから、自分が信頼できるメディアを選べば良いわけです。
【おまけ】情報源選びのポイント
私が新型コロナウイルス肺炎関連で見ているソースは、主にこんな感じですね。あと、突っ込んで深く知りたくなったら、ツイッターで検索するなり、百度や微博・微信で調べたり、現地の友達に聞くようにしています。
でも、こういうのって、新型肺炎に限らず他のニュースでも同じなんですよね。
ポイントをまとめると、
- 党派とかレッテルでメディアを選ばない
親中メディアでも、中共プロパガンダでも、それと理解して読み解けば、得られるものは多いのです。安易なレッテル貼りで「アレルギー」を持って、食わず嫌いになることで、重要な情報ソースを自ら遠ざける必要はないのです。むしろ、「敵」の情報だからこそ、しっかり頭に叩き込んでおく必要がある。 - 各メディアの特徴をつかんでおく
AFPにはフランスの外交姿勢とか、フランス人の関心が反映されやすい。BBC、RFAも自国に対して似たような傾向がある。台湾中央社に至っては、台湾政府の広報機関みたいなものです。
それぞれの立場を理解して読めば、中国報道を通じて、各国の対中姿勢も見えてくる。こういうのを複合的に重ねて見ておくと、視野がグッと広がるわけです。 - 現地の人からの情報を重んじる
現地にいるから何でも知ってる、正確にわかってる…ということはないけど、現地の人でないと知り得ない情報があります。それと、現地の人は当事者として緊張感を持って情報のアンテナを貼ってるから、スピードが早いです。
今回の香港政府のイミグレ閉鎖の件も、香港人の友人からいち早く聞きましたし、羅湖の閉鎖は実際にイミグレを通ろうとして入れなかった知人から教えてもらいました。
加えて、現地の人から情報を得られるほどの関係を持っておけば、その人から現地の人の政治的な意見…政府の評価なんかも聞ける。こういう生の声をヒアリングできるのは重要なことです。
以上、ご参考になれば幸いです。