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デザイナー・裁量労働制 団体交渉報告【株式会社dig(ディグ)】 〜同僚が血を吐いて倒れても、会社は売上重視のまま。疑問を感じ、団体交渉することに決めました!〜

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 株式会社digの従業員のみなさん、その他デザイン業界で働くみなさん、お仕事お疲れさまです。
 digで働くデザイナーのAさんが、ユニオンに加入し、11月半ばに会社に対して団体交渉の申し入れを行いました。

*株式会社digとは?  

 東京都内にあるデザイン制作会社です。digが取り組んでいる主な仕事には、『宣伝会議』の新規リニューアルデザインのブランディング、『国境なき医師団』のホームページ作成、宅配寿司チェーンの『銀のさら』の店舗ブランディング(チラシ作成から店舗の内装のデザインまで担当)、などがあります。

○社員が血を吐いて倒れても、「売上重視」

 digで働くデザイナーの多くには、裁量労働制が適用されており、組合員のAさんにも適用されていました。裁量労働制では、1日のみなし時間が決められており(digでは10時間)、それ以上働いても残業代はつきません。いわゆる「定額働かせ放題」などと言われている制度です。
 裁量労働制のもとで、長時間労働が当たり前となり、残業だけで月80時間近く働くことが常態化し、長い時は月100時間を超えて働くこともありました。また、裁量労働制にも関わらず、実際の働き方に裁量はありませんでした。「明日までにやって」というように、急な締め切りで仕事が振られることも多く、自分で仕事の進め方を決めることはできませんでした。このように、実際には裁量のない働き方であったことが、長時間労働の一因になっていました。このような働き方の中、昨年は血を吐いて倒れた同僚の方もいました。Aさん自身も、体調が悪い時にも病院にいけず、仕事を優先するよう言われました。
 それでも会社は売上重視を言うばかりで、働き方が改善することはありませんでした。おかしいと思い、Aさんはユニオンに加入することを決め、団体交渉することになりました。
 12月に会社と第1回目の団体交渉を行ってきたのでご報告です。

○「ノー残業デー」は、「違法」だが「社員のために」頑張って導入?? 

 digでは、「ノー残業デー」という日が設けられています。裁量労働制ではありますが、「社員のことを思って」、社長が考案し導入したそうです。社長いわく、残業を規制するのは「裁量労働制なので本来は違法」だが、社員のために「ノー残業デー」を導入したとのことです。「違法だが社員のために」と、強く思いを語っていたのですが、「そもそも労働時間が普段から長くなっているのが問題なのでは?」という疑問が浮かんできます。団体交渉ではそのことを尋ねると、「遅くなるのは能力の問題」と回答が返ってきました。
 本当にそうでしょうか?本当に社員のことを思うなら、能力の問題などと社員のせいにする前に、長時間労働の原因をしっかり究明し、改善に力を注いでほしいと思います。社長が力強く語った「ノー残業デー」も、もちろん意味がないとは言いません。しかし、実態は顧客の締め切りが優先され、「ノー残業デー」であっても残業をしなくてはいけないのが現状です。
 「ノー残業デー」に限らず、普段から長時間労働が当たり前になっていました。団交でも会社側は、「20時に帰れたら早い、21時くらいに帰るのが普通」という発言をしてきました。digでは裁量労働制にも関わらず、定時が決められており、19時が定時となっていました。

○試用期間の延長理由は、「早く帰った」から 

 Aさんは、入社して半年は契約社員、その後正社員になるという約束で入社しました。さらに、契約社員の期間の最初の3ヶ月は試用期間とされていました。
 しかし、3ヶ月経った時に、試用期間の一ヶ月の延長を伝えられました。その理由の一つには「他のチームのメンバーが残っているのに、早く帰ったこと」が、挙げられました。契約社員の時点ですでに裁量労働制が適用されていたので、いつ帰っても問題ないはずです。それでも会社は、早く帰ったことを評価を下げる理由として挙げてきました。裁量労働制なのだからいつ帰っても問題ないのではないかと問うと、「一般的な社会人としての常識。裁量労働制とは別の問題」と言った回答をしてきました。
 一方で裁量があるとしながら、もう一方で早く帰ることにマイナスの評価をする。こんな矛盾した形で裁量労働制を適用するのは、不適切であるとしか言いようがありません。

○これもデザイン?業務の5割が雑用であっても裁量労働制?

 最後に、Aさんの業務内容について、会社の認識を確認しました。
専門業務型裁量労働制の対象業務は19個に限定されています。そのうち、デザイン業務は以下のように定義されています。

(4)衣服、室内装飾、工業製品、広告等の新たなデザインの考案の業務
 「広告」には、商品のパッケージ、ディスプレイ等広く宣伝を目的としたものも含まれるものであること。
 考案されたデザインに基づき、単に図面の作成、製品の制作等の業務を行う者は含まれないものであること。
(厚生労働省HPより)

 「考案されたデザインに基づき、単に図面の作成、製品の制作等の業務を行う者は含まれないものであること。」とありますが、実際Aさんはデザインがすでに決まったものを指示通り制作したり、あるいは修正のみ行ったり、単に図面やグラフを作成する業務も多く行っていました。自分でデザインを考案できるものはほとんどなく、顧客の指示通りにデザインするもの、単なるテキストの流し込みなどが多く、さらにはデザイン業務ではない雑用を任されることも多くありました。
 会社は事前に送ってきた回答では、Aさんの主な業務は「自らがデザイン立案し、デザインを表現する」というものであり、「第三者が考案したデザインに基づき、単に図面の作成、製品の制作等の業務」は主なものではないと主張してきました。さらに、団交では、「自らがデザイン立案し、デザインを表現する」業務が5割以上あれば裁量労働制を適用しても問題ないと主張してきました。つまり、業務のうち5割が雑用であっても、裁量労働制が適用できる「裁量を持った労働者」、と会社は考えているということです。

○今後の団体交渉で求めていくこと

 ユニオンでは、裁量労働制の適用は不適切だったとして、働き方の改善、長時間労働是正、過去の未払い残業代の支払いなどを求めて、引き続き交渉を続けていきます!
 
 同じような状況にあるデザイナーの方や、裁量労働制や働き方に疑問を持っている方など、ぜひユニオンにご相談ください。

相談無料・秘密厳守です。

ブラック企業ユニオン

TEL:03-6804-7650

MAIL:soudan@bku.jp

HP:http://bku.jp/


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