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地球環境基金20年の軌跡・そして未来へ
1992年、リオデジャネイロで開催された地球サミットにおいて、わが国は「環境保全活動への民間部門の積極的な参画を図るために資金的な枠組みをつくる」という意思表明を行いました。地球環境基金は、これを受けて翌93年に創設され、おかげさまで本年5月に20周年を迎えることができました。これもひとえに、皆様のご支援ご厚情の賜物と深く感謝申し上げます。
地球サミット以降、わが国においても「環境基本法」をはじめとする法整備が進んだのと同時に、地方自治体や企業、市民社会の各セクターにおいても環境意識が高まり、環境問題の解決に向けて積極的な取組みが行われてきました。
日本の環境NGO・NPOも地球サミット以降、団体数が着実に増加し、2012年に開催された「リオ+20」には、20年前と比べはるかに多くの団体が参加。また、個々の団体の成長も著しく、本誌でもご紹介しているように、世界自然遺産登録への貢献や各種審議会での提言といった国内での活動に加え、国際的な枠組みづくりへの参画や途上国での自然保護活動等、海外でも幅広く活躍しています。いまや環境NGO・NPOは環境保全活動を推進する上でなくてはならない存在となっています。
地球環境基金は、これまでの20年間に延べ3825件、総額約131億円の助成を行ってまいりました。この間、国の環境政策や環境NGO・NPOの動向を踏まえ、その時々で必要とされる活動については特別枠を設ける等、より効果的な助成に努めています。11年度以降実施している東日本大震災・原発事故関連への助成もその一つです。また、研修・調査研究・情報提供等の振興事業にも力を注ぎ、日本の環境保全活動をリードする人材の育成、環境NGO・NPOの組織力の強化、一般市民・子どもたちへの啓発等に取り組み、一定の成果を上げたと考えています。
一方、気候変動や生物多様性等の地球規模での課題や、新興国・途上国において深刻化する環境問題については、まだ解決への道筋が見えていないことも事実です。また、少子高齢化が進む日本で地域の環境をどう保全していくかも緊喫の課題であり、こうした問題に対応する環境NGO・NPOの役割は、今後ますます大きくなっていくと思われます。
当基金は、助成事業や振興事業で、また環境NGO・NPOと他セクターとの連携強化において今後どのような貢献・支援ができるか、皆様方よりご意見をいただきながら、基金のさらなる充実に向けて検討していきたいと考えております。
最後になりましたが、本誌の発行にあたり、ご寄稿・ご協力いただきました皆様に厚く御礼申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
1993年に地球環境基金が創設されてから今年で20年になります。92年にブラジルのリオデジャネイロで地球サミットが開催されましたが、深刻な産業公害を経験したわが国は、80年代後半から、環境問題について発展途上国を支援することによって平和的な国際貢献をしようとしていました。92年、積極的に推進するとしています。基金の創設は、環境基本法に規定された理念を具体化するものでした。
このような背景の下にできた基金は、わが国には先例のないものでした。第一に、基金による資金助成の目的は、国内外の環境NGOの草の根的な環境保全活動を支援することです。国が拠出する大型の助成制度は、おおむね科学技術の研究開発振興に限られていました。国内外のNGOの実践的な活動、しかも環境保全活動に対する助成制度は、これが初めてと言えます。第二に、基金は、国の出資と企業や個人、それに地方自治体等の寄付をあわせた141億円余の資金が運用されています。このように基金は、環境基本法4条にいう「すべての者」によって支えられています。第三に、NGOに対する助成プロセスの透明性と公正性です。基金では、外部の識者・専門家からなる第三者機関としての運営委員会があらかじめ助成の方針や基準を定め、それに基づいて専門委員会が公募のNGOの中から助成対象となるNGOを選定し、最終的に運営委員会が決定します。
私は、環境基本法を策定した中央環境審議会の委員であったことから、基金発足時から運営委員として関わってきました。国から環境NGOに対する助成はわが国に先例のないものであり、しかも国民の税金を使うものですから、いい加減な助成は許されません。運営委員会では、毎年、環境NGOに対する資金助成がNGOにとってより利用しやすく、より有効に環境保全活動ができるよう工夫を凝らしてきました。
2004年の機構改革によって、基金は「環境再生保全機構」に置かれることになりましたが、その使命は変りません。この20年間に基金が環境NGOの活動支援に果たした役割は少なくありません。地球環境に対する社会の関心の低下が憂慮される今こそ、基金の重要な役割は再評価されるべきです。基金の今後の発展を祈ります。
最後になりましたが、本誌の発行にあたり、ご寄稿・ご協力いただきました皆様に厚く御礼申し上げ、ご挨拶とさせていただきます。
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日本の環境政策と環境NGO・NPOの変遷。地球環境基金の原点を見つめるとともに次の20年に向けて、あるべき姿を探る。
地球の課題、地域の問題。
地球環境基金の運営に関わった人たちから
環境NGO・NPOの皆さんから