新型コロナウイルスによる肺炎が広がる中、マスク不足が顕在化している。医療現場では患者治療に直結する問題であり事態は深刻だ。国は安定供給に向けた増産態勢を全力で支える必要がある。
政府は極端な品薄状態が続くマスクについて、各メーカーに増産するよう呼びかけている。各社は生産ラインをフル稼働させて増産しているが、店頭では依然、品不足が続いている。
まず優先すべきは医療現場への供給だろう。医師、看護師など医療従事者が治療にあたる際、マスクの着用は必須である。供給が滞れば治療行為に重大な支障をきたす。もちろん一般消費者向けも大事だが、医療用マスクの増産や流通経路の確保については特段の配慮を国やメーカーに要望したい。
政府の資料によると、二〇一八年のマスク(一般用)の月ベースの生産は海外分が国内分の約三倍だ。海外のうち中国での生産がかなりの部分を占めた。
ただマスクに限らず日中間の物流はすでに混乱状態にある。今後、中国側が自国内での供給を優先させるため、持ち出しを一層規制する可能性も否定できない。政府も中国からのマスク輸入の停滞を強く警戒している。
当面は国内での増産強化をメーカーに要請するしか方法はない。だが今回の肺炎が終息した場合、メーカーが大量の在庫を抱え経営に影響を及ぼす事態は容易に想像できる。国や都道府県が余剰在庫の買い取りを約束するなど、メーカーが不安なく増産できるよう環境整備を急ぐべきだろう。
さらに指摘したいのは、ネット通販などでマスクの価格が高騰している点だ。急激な需要増の中、商品を出している一部事業者が価格を引き上げている可能性が高い。消費者が、手に入れたマスクをネット上で高価格で転売するケースも出ている。
こうした疑問を持たざるを得ない行為に対してはやめるよう求めたい。ネット通販を運営する事業者にも不当な値上げには適切に対応してもらいたい。同時にネット以外の店頭でも売り惜しみがないよう監視を強化すべきだ。
マスクは、せきやくしゃみによる病原体の飛散を防ぐ効果が高い。自らの感染を防ぐ方法の一つでもある。新型肺炎の終息まで需要は高まり続けるだろう。国やメーカーの努力だけでなく、消費者にも買い占めなどを行わないよう冷静な対応を期待したい。
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