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♪~
高校に入ってすぐ 喜美子は 武志から陶芸を教わりたいと言われました。
♪~
(武志)売れる?(喜美子)フッ。100万で売れる?
それ 100万で売れたら世の陶芸家 みんな やる気なくすわ。
アッハハ…。
あ~ 何で壊すん。
お母ちゃん。うん?楽しい。
陶芸 楽しいな。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ 赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
陶芸やりたい思てんの?
う~ん…。
ほんま?
陶芸家になりたいん?
なりたいいうて なれるもんやないやろ。
子どもの頃から見てて分かってる。そんな甘い世界やないって。
そやから言わんかったん?
陶芸家になってほしいん?
お母ちゃん 大学行ってほしいんやろ?
お母ちゃんの気持ちは関係あるか?大学行ってほしいんちゃうの?
やりたいことあるんやったらやったらええ。
それが陶芸いうんやったら やったらええ。
やりたいことやってうまいこといくかどうか…。
そんなん やってみな分からへんやん。やりたいんやろ?
分からん。うん?
ほんまは… 分からん。
まだ どうしてええか…。そうか…。
自分の人生や 自分で決めぇ。
なあ テレビジョンが来た日のことや。
うん? 買うたんが うちに届いた日ぃな?
日曜日やった。あ~ そやったか。
俺 寝ててん。そのころ まだ離れで寝ててん。
うん。ほしたら お母ちゃんが来て「来たで!」 寝てる俺を起こして「来たで 武志来たで やっと来たで」って。
俺 飛び起きてん。うん 飛び起きたな。
はだしで駆けてった。ハハッ 茶の間に駆け込んだな。
「やっと来たかあ お父ちゃん」。
お父ちゃんやと思たんや。
お父ちゃんが… やっとお父ちゃんが帰ってきたんや思た…。
言わんかったけど…俺 子どもやったし…。
ほやけど テレビジョンかてうれしかったんやで?
欲しかったし すっごい うれしかった。
ほやけど… ほやけどなそのあとも帰ってきぃひん。
お父ちゃん なかなか帰ってきぃひん…。
知らん間に 離婚してた…。
今やったら言える。 もう高校生や。
今やったら 分かるわあれが どういうことやったんか。
テレビジョンとお父ちゃん 言えるで。
ええよ 言うて。
お母ちゃんは 陶芸家としてやりたいことをやって成功した代わりに大事なもんを失った。
大事なもんを失ったんや。
そこまでして陶芸やっていけるか 分からん…。
分からんのや…。
♪~
あの日 穴窯から取り出した作品を八郎が見に来ました。
2週間たき続けて 成功した作品です。
何も言わず いつまでも そこにいました。
声をかけることはしませんでした。
♪~
八郎は ノートを残していきました。
めおとノートです。
「すごいなすごいな」。
「すごいな 喜美子」。
それを機に 八郎は信楽から京都へ移りました。
その後 四国の愛媛へ渡ったと聞いたのは何回目かの個展会場です。
離れて暮らして 2年が過ぎていました。
回想 (柴田)ハチさんがようやっと出した結論や。
いつですか?京都 引き払たんは 1週間ぐらい前かな。
武志には…?
大野さんとこの 信作さんが連絡してるはずや。
一から出直す言うてたわ。出直す?
すいません… あの 握手して頂けますぅ?あっ はい。
アハッ。ありがとうございます。ずっとファンなんですぅ。
ありがとうございます。お若いのに すばらしいわあ。いえいえ。
ごゆっくり ご覧下さいね。あっ はい。
相変わらず盛況やな。 おめでとう。
ありがとうございます。
お預かりします。
今日は女性客が多くて。ふ~ん…。
先生がお見えになる前は半々くらいやったんですけどねえ。
八郎の名前を見つけました。
「十代田八郎」と書かれてありました。
一から出直すという意味を考えました。
あの~。
あ… あのお写真 ご一緒に撮って頂けますぅ?
ああ はい。あ~! いいって言うてはるわ。
撮りますよ。はい チーズ。(シャッター音)
アハッ もう一枚 もう一枚 もう一枚。すいません。
はい チーズ。(シャッター音)
あ… ありがとうございます。
このしばらくあと喜美子から離婚届を送りました。
(2人)ピンクフィーバーズ!
もうええて。
(大輔)落ち込んでるし励ましてやってんねんや。
ピンクフィーバーズで励まされてもな。
(学)ほんま 武志ピンクフィーバーズ乗ってこんなあ。
どこがええの? 歌 下手やん。(大輔)アホか お前。
アイドルが 歌うまかったらアイドルやないやろ ただの歌手やで。
もうええて ピンクフィーバーズは。
(3人)よけといてぇ。
そもそも 何で落ち込んでんねん。
まあ 落ち込んでるわけやないけどな。
落ち込んどるやろ。
言わんでもいいことを言うてしもたんや。
(学)誰に 何を。進路の話 しててな…。
「大事なものを失った」なんて青臭いことを。
青臭いこと言いたなる年頃やあ。誰に言うたん。
1 お母ちゃん。 2 お母ちゃん。3 お母ちゃん。
難しい問題やなあ。あっ!
いらっしゃい。
いるぅ?いないなあ。
いやらへんわ。ほな ここやないんやね。
行こ。(2人)うん。
(3人)ああ…! はあ はあ…。
ええ匂いしたな。
俺のこと チラッて見てたで。俺のことも チラッと見てたで。
ちゃう。 俺を見てたんや。
(3人)よけといてぇ。
なあ もう決めたん?
名古屋大学 教育学部。俺は 大阪大学 経済学部。
まあ 滑り止めも受けるけどな。
俺は 気合い入れて1本。絶対 合格目指すぅ。
俺かて気合い入れるでな。アホなこと言うてられんのも今のうちや。
1年なんて すぐやでえ。
俺はな おふくろがキイキイ言いよるし。
どこの大学がええかはおやじに相談した。
俺も進路のことは最終的には お父ちゃんと話した。
(大輔)小学校の頃野球教えてもろて以来やおやじと差しで 話 したんは。
武志も相談 乗ってもらえや。
(大輔)手紙 やり取りしてんのやろ?
♪~
あ… 中部セラミックですか?
そちらに 十代田八郎さん いはりますか?
・(武志)川原と申します。 はい。はい…。
あ…。
5年ぶりに聞いた 父 八郎の声でした。
川原です。
お父ちゃん。 武志やで。