Wikipediaを信じちゃダメ!―「アジア」の由来
たまには古代を専門にしているアジア文明学科の教員らしいことを。
アジア - Wikipedia(リンクは執筆時の現行バージョン 2014年6月27日 (金) 06:32版)の冒頭にはこんなことが書いてあります:
このような説が無い訳では無いのですが、支持する研究者はまず存在しません。少なくともまともな研究者の間では。
ギリシア語ラテン語の「アシア」は、そもそもは現在のトルコの中西部あたりを指していました。そこに異論はないはずです。そうすると、アッシリア、メソポタミア地域から見て遥か「西」に位置するトルコ中西部に対して「東」を意味する言葉をあてるのはおかしい、とこの項目を更新してきた人たちは考えなかったのでしょうか?
ちなみに、アッシリア、メソポタミアから見て東はイラン高原、とりわけてもエラムが意識されています。
ヨーロッパの元となったエウロパは、セム系言語の「日が沈む」という語に由来するように考えられていますが、アジアの場合はまったく違います。
こんな記述を信用してはいけません。
なお、「アシア」については、ヒッタイトのトゥドハリヤ4世の碑文に出てくる「アスワ Assuwa」の方が相対的には可能性が高そう、と考えられています:
もちろんヒッタイトの時代とギリシア・ローマ史料との間にはかなりのギャップがあり、確実とまでは言えません。
ともかく、このような広い意味を持ち、かつ頻繁に更新されている項目でも、でたらめに近い記述が残っているのがWikipediaとくに日本語版の現状です。
(アジア - Wikipedia:なお、これが一般的なリンクです。)
アジア - Wikipedia(リンクは執筆時の現行バージョン 2014年6月27日 (金) 06:32版)の冒頭にはこんなことが書いてあります:
調べてみると2006年8月18日 (金) 17:47版以来、延々と受け継がれてきた記述です。アッシリア語で東を意味する「アス」に語源をもつ。
このような説が無い訳では無いのですが、支持する研究者はまず存在しません。少なくともまともな研究者の間では。
ギリシア語ラテン語の「アシア」は、そもそもは現在のトルコの中西部あたりを指していました。そこに異論はないはずです。そうすると、アッシリア、メソポタミア地域から見て遥か「西」に位置するトルコ中西部に対して「東」を意味する言葉をあてるのはおかしい、とこの項目を更新してきた人たちは考えなかったのでしょうか?
ちなみに、アッシリア、メソポタミアから見て東はイラン高原、とりわけてもエラムが意識されています。
ヨーロッパの元となったエウロパは、セム系言語の「日が沈む」という語に由来するように考えられていますが、アジアの場合はまったく違います。
こんな記述を信用してはいけません。
なお、「アシア」については、ヒッタイトのトゥドハリヤ4世の碑文に出てくる「アスワ Assuwa」の方が相対的には可能性が高そう、と考えられています:
Trevor Bryce, The Kingdom of the HIttites, Oxford University Press, 1998, p.136.A number of scholars believe that Assuwa is the origin of Graeco-Roman name Asia, drawing attention to the fact that the Roman province of Asia was originally centred in this region.
もちろんヒッタイトの時代とギリシア・ローマ史料との間にはかなりのギャップがあり、確実とまでは言えません。
ともかく、このような広い意味を持ち、かつ頻繁に更新されている項目でも、でたらめに近い記述が残っているのがWikipediaとくに日本語版の現状です。
(アジア - Wikipedia:なお、これが一般的なリンクです。)
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