ヤクルトの元セーブ王、トニー・バーネットさん(36)が6日、球団の編成部アドバイザーとなって沖縄・浦添キャンプに合流した。やせて肩に届く長髪を下ろし、現役時代にトレードマークだったヒゲもそって別人のようだったが、5年ぶりのチーム復帰に「みんなにまた会えてうれしい。皆があまり変わっていないので、そんなに長い時間会っていなかった感じはしなかったよ」という笑顔は、昔と変わっていなかった。
メジャー経験なく2010年に初来日したが、先発として結果を残せず、一度は自由契約になった。だが、獲得予定の新外国人がメディカルチェックに引っ掛かったことで再契約。2年目以降は救援に転向して成功。12、15年の2度セーブ王に輝き、6年間で通算11勝19敗、97セーブ、49ホールドを挙げた。
15年のリーグ優勝に貢献した自信を元に、子どもの頃の夢を叶えるため、メジャー再挑戦を決断した。その際「入札金でヤクルトに恩返ししたい」と、外国人選手には異例の、ポスティングシステムを利用してのメジャー移籍を模索。結局、入札がなく自由契約での移籍となったが、去り際に見せたヤクルト愛が、ツバメ党の心をがっちりつかんだ。
レンジャーズで125試合に登板。カブスではメジャー登板なく、今年1月29日に現役引退を発表した。19日まで浦添に滞在するが、今後は米国で主に3Aを回って助っ人発掘の力になったり、外国人選手たちのケアを担当する。「メジャー挑戦はホントに大きなチャレンジで無我夢中だった。振り返れば、言葉にできないほどいい経験だった。まだ始まったばかりで何ができるか分からないが、ヤクルトの助けになることがあれば、何でもやりたい。外国人選手たちとも話し合って、彼らのことをもっとよく知りたいね」。ヤクルト愛も、5年前と変わっていなかった。