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【ラグビー】

元オールブラックス指揮官が語ったラグビー・トップリーグとトヨタ自動車 ハンセン改革は「カイゼンの真っただ中」

2020年2月7日 0時31分

選手が人としてよりよくなる環境整備に取り組むハンセンDOR(中)

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 ラグビー・トップリーグ(TL)のトヨタ自動車は第4節を終え、2勝2敗で6位につける。今季はニュージーランド(NZ)出身のサイモン・クロン新監督(43)のもとに、W杯日本大会でNZを率いたスティーブ・ハンセン前監督(60)を「ディレクター・オブ・ラグビー(DOR=相談役)」として迎え、パスを使ってボールを動かす王国スタイルのラグビーを目指している。昨年12月初旬に来日し、このたび一時帰国したハンセンDORにチームに何を伝え、これから理想とするチームの姿を聞いた。

 ―トヨタで指導して2カ月弱。何を考え、どう取り組んできたか

 ハンセンDOR「まず初めにクラブがどう運営されているのか、全体を見ることから始めた。コーチ陣には指導法や一日の練習メニュー、練習計画の作り方を伝えてきた。選手がうまくなる、人としてよりよくなる環境づくりを目指している。もし達成できれば、自分たちに誇りを持てるようになる」

 ―どのくらい達成できたか

 「そういうことは指をパチンとはじくようにすぐに変化が見られるものではない。時間がかかるものだ。懸命に賢く、頑張っていかないといけない。我慢が必要なときもある」

 ―クロン監督はFW、バックスに関係なく、パスの練習に長い時間を割いている。どんなラグビーを目指していくのか

 「全員がボールに関わるラグビーをしたい。トヨタのトライを見て、エキサイトした人は多かったのではないか。スクラムやラインアウト、密集戦、防御に課題はあるが、自分たちが理想とするスタイルを作り上げていけば、見ている人が喜ぶエキサイティングなラグビーができるし、試合や練習を見に来るファンも増えるだろう」

 ―これまでの経験で、今の指導に役立っていることはあるか

 「これが一つというものはない。いろいろなものが混ざり合っている。人はそれぞれ違うという理解が必要だ。ニーズも違うし、スキルの改善点も異なる。選手の個性に合わせて、教え方も違う。ただ言えることは、全員がチームファースト(最優先)を意識し、一丸となることが大切だ」

 ―これまでの改善点を具体的に

 「それを言ったら、他のチームに秘密を教えてしまうことなるので、ちょっとポケットにしまっておこう(笑)。ただ、これからのトヨタに期待してほしい。すごいエキサイティングなチームになる」

 ―昨年W杯でNZ主将を務めたナンバー8のリードが加入。膝のけがで戦線離脱しているが、グラウンドの練習に立ち会っている。どんな存在か

 「彼がこのチームにいることはとても意味がある。偉大な選手は、ほかの選手にいい影響を与える。みんなの学ぶ意欲が急激に高まっている。まさにカイゼン(改善)の真っただ中にいる」

 ―TLの印象は

 「上位チームはいいラグビーをしている。日本代表選手、経験豊富な海外選手がたくさんいるし、世界で指折りの優秀なコーチが指導している。このまま続けていけば、日本のスタンダードがより高くなる」

 ―日本を離れている間、チームにどう関わるのか

 「パソコンで練習や試合の映像をコーチと共有できるシステムがあるので、コーチとのやりとりは続けていく」

▼スティーブ・ハンセン 1959年5月7日生まれ、NZ出身。バックスの選手として州代表経験はあるが、国代表(オールブラックス)に選ばれたことはない。前職は警察官。2004年に国代表アシスタントコーチに就任し、11年W杯優勝に貢献。15年W杯は監督として2連覇に導いたが、昨年のW杯は3位に終わり退任した。

 

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