無論、男側もジェンダーの抑圧を受けている。女が「他人を気づかって、うまく関係を築くこと」を求められる一方、男は「他人を蹴落として、出世すること(競争に勝つこと)」を求められてきた。そりゃコミュ力に差が出るわいな、という話である。
また、私はかつて男女に恋愛カウンセリングした内容を記事にしていたが、正直、男子の話はつまらなくて記事にならないことが多かった。なぜつまらないかというと、男子は自己開示すること、自分の感情を言葉にすることが苦手だからだろう。
女子はシャイで口下手なタイプでも、「その時にどう思った?」「なぜそう思ったの?」と深掘りしていくと、興味深い本音やエピソードが出てくる。一方の男子は「よくわからないです」「あんまり考えたことないです」とまことに薄っぺらく「おまえの話はつまらん!!」となってしまうのだ。
彼らは(自分の得意分野などの)知識は語れるが、自分の感情は語れない。それは「感情よりも理性を優先すべき」と刷り込まれて、己の感情を深く見つめた経験が少ないからじゃないか。
自分の感情がわからないと、他人の感情もわからない。自分の感情を大切にしないと、他人の感情も大切にできない。感情を言語化できないと、他人と理解・共感しあい、深いつながりを築くことも難しい。
そこにも「男は弱音を吐くな」「弱みを見せるな」「男は黙ってサッポロビール」的なジェンダーの抑圧があるのだろう。そのため男同士でも本音をさらけ出し、語り合う機会が少ないのだと思う。潜在的な競争相手である男に対しては、たとえ仲がよくても弱みを見せられないということなのかもしれない。