商品やサービスへのクレームは消費者の権利ではある。だが、せっかく「人生100年時代」に、それを老後の柱とするのはさみしい、と思う人もいるに違いない。
決して間違ったことをしているわけではないが、それを老後の生きがいとするのはどうしたものか……。全国的に増えるシニア“正義マン”に対しても、そんな思いを抱く人がいるかもしれない。
2019年秋の消費増税後、「持ち帰ると申告して商品を買った客が、イートインスペースで食べている」と、店員に密告する正義マンの存在が話題になった。彼らの中にはシニア層が多く含まれる。同じ19年には、街のクリーン化を訴え、商店街の慣習として歩道に置かれていた看板やのぼりの排除に精を出す90歳近い男性も話題になった。
客が店内にいても怒鳴り声をあげるなど、運動の方法には過激な面もあったが、この男性の主張や行動は法律を逸脱したものではない。商店街側は効果的な対策を打ち出せず、ある雑貨店はクレーム対応に耐えかねて、一時的に店舗の営業休止を決断することになった。
重ねて言うが、高齢の正義マンも高齢のクレーマーも違法・脱法行為をしているわけではない。高齢化が進む中、仮にこうした人々が増えていった場合、社会は受け入れていくしかないのかもしれない。が、見過ごせない問題もある。一部の高齢者による犯罪だ。
「何もしない老人」がキレる脳科学的理由
数字の上では日本の治安は改善しており、刑法犯の認知件数は10年以上減り続けている。しかし、検挙人数に占める65歳以上の比率は1998年(4.2%)から2017年には21.5%と、大幅に増えた。これは、同じ期間の人口の高齢化率(1.7倍)を上回る(18年版の犯罪白書)。
こうした高齢者による犯罪の6~7割は、経済的要因による窃盗だが、他方、「何もやることがないこと」が原因となって発生した疑いがある犯罪も少なくはない。
脳科学に詳しい加藤プラチナクリニック院長・脳の学校代表の加藤俊徳氏はこう解説する。
「趣味を持たず、働きもせず、体や頭を使わずにいると、『相手の立場に立って人の話を正確に最後まで理解する力』を脳が失っていく。理解できないことがあると、人間の脳は血流を増やし、血圧を上げて無理やり働かせようとするため興奮状態に陥る。これが、『キレる』ということ」
「キレた高齢者」によるトラブルが起きやすい場所の1つが駅。全国にある35の鉄道会社が駅係員に対する暴力行為の件数・発生状況を調べたところ、18年度の加害者の60代以上は24.6%で、全年代中最も高い比率だった。
コメント42件
昔の日経が好き
言外に我々のことを言われてる気がするが。何でもかんでもじじいが悪い、最近この手の記事が多いね。
昔から偏屈・頑固じじいは居たけれども今ほどの情報拡散スピードはなく表に出る手段も限られていて、人間関係の許容力・対応力も豊かだったのでそこの地域
でとどまってた、だけの話では?。「あそこのじいさんまたやらかしてるよ」「ああ、俺が後で碁の相手して話聞いてやるよ」...続きを読む何でもすぐに「拡散します!」「展開します!」がいいことなのかね。そもそも全国ネタでもないことを掘り起こしてきてこうやって”あげへつらう”記事も、正義マン、なんじゃないの? まあそれ止めたらおまんま食い上げだろうが。そもそも”暇すぎる老後”の題名に記者本人のある種の嫌悪感を感じる。日頃のじじいの悪辣コメントに怒りを覚えてますか。
sian44
IT部門管理者
長生きしたら、色々世の中へ迷惑かけるってこと?。それは納得。俺も老害になるのだろうな。
優良可
役に立つクレームを入れる方法と、役に立たないクレームの入れ方がある。多分、それを知らずに、感情的発露のまま発言をするんだろうねぇ。
失うものがない「無敵の人」の筆頭でもあるからね、無職の老人って。
でも老人でも学ぶ力のある人は、その無敵を
、社会の役に立たせるために使うんだけどなぁ…。まあ、日本の教育に帰結する問題だと思うよ。60代以前が過ごしてきた教育を調べると、考え方が悲惨だからね。あれは優秀な考えれる人材は限られる。...続きを読むこの先も、コレ、しばらく続くよ。
ぺ
クレーマー対応を任されるAIが早く開発されることを願います……。
雨あがりの風
時間があって元気なら、地域ボランティアに参加してはいかがでしょう。以前、近所にナイフをもった不審者が出現し、対策を考えていました。ママたちの見守りも回数が多く限界に来ていたのを自治会にお願いしたところ、地域のお年寄りたちが協力してくれました
。当番制にして、下校時刻に合わせて夏も冬も街角に立ち、子供達を見守ってくれます。お蔭で不審者もつかまりました。...続きを読むあれから6年ほどたちますが、今も街角に立って子供達を見守り続けてくれています。そして、子供たちは安心して登下校することができます。
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