当方ではメールでも多くの飼育相談を頂いておりますが、実際にあったQ&Aを掲載しますので、ご参考にして頂けたら幸いです。
■相談内容
実はどうしても内田さんに聞いてもらいたい事件(おおげさですが)が起こりました。
私は長年チョウチョウウオを飼育しております。
実は、60センチ水槽で飼育していた2匹の魚、アケボノ、フウライが今朝死にました。
『突然死』←この言葉は私の中ではありえない言葉でした。原因がない死はありえないと確信しています。
しかし・・昨夜いつものように1日の最後の餌(メガバイト)を与えた時は2匹とも元気で、数時間後いつものように就寝の為水槽にバスタオルをかけた際も異常なし・・。
しかし今朝、電気をつけるとアケボノがひっくりかえり状態で呼吸が荒く、フウライも体が黒ずみ元気が無し。
水温、水質異常なし。昨日も特別な事は何もしていない。
水槽の環境は贅沢すぎる程に保っています。殺菌灯はなし。
日常メンテは欠かしていません。
白点病の類もここ10年1度も無く、むしろ飼育魚が死んでしまったのも10年ぶりです。
死ぬまでに気が付いた事は・・
①アケボノの口が薄く赤い※口が赤いと言うよりもいつもより口中の血管が赤い?
②フウライも口が同様に赤い。あとエラの付け根がいつもより赤いような・・。
③死ぬ直前はフウライは目が薄く白濁、
④死んだあと、しばらくして体表に茶色く斑点がいくつか。
⑤最後まで体に白点の類はなし。
もし、内田さん経験で(周りの方も含む)ピーンときましたらアドバイスをお願い致します。
追伸>作成して頂いたオーバーフローは快適に大満足です。※水中モーターの振動で配管が震えるぶーんとする音が気になる程度(笑)
現在、他の水槽から流用した濾材で立ち上げ中です。1月から大食のナンヨウツバメ1匹で水質を作っています。1月から8月までの7ヶ月間でバクテリアを育てます。
■回答
こんにちは!
大分、暖かくなり海が気になる季節になってきました。
採集開始には、まだ数ヶ月先ですが、今年も色々な場所へ出掛けて、海を満喫したいと思っています。
さて、ご質問の内容についてですが、○○さんが仰る通りに原因の無い「突然死」と言うものは存在しません。
飼育管理者毎によって認識の相違がある為、飼育上において不備があれば、その結果、発症という形となって必ず現れます。
今回の症状「口中の血管が赤い」と「エラの付け根がいつもより赤い」という状況は、ビブリオ感染症の典型的な初期症状で、症状が進捗すると実際に起こった症状の通り「目が薄く白濁」「体が黒ずみ元気が無し」となります。
この他、末期の症状となると「体表面が爛れ、傷を帯びた様な状態」となり、処置が遅れれば死に至ってしまいます。
その状況に至るまで、必ず兆候や原因となる部分があったと思います。
ビブリオ感染症の主因は、「システムの確立が不完全」と「メンテナンス内容が不適切」による水質悪化にあります。
今回は当方にて製作のご依頼を頂いたシステムなので、前者の「システムの確立」は問題ありません。当方でも○○さんとほぼ同様な60*30cmのOF水槽を稼動していますが、何年も未発症無投薬を継続しています。
誠に恐縮ですが、「日常メンテは欠かしていません。」と言うことではありますが、原因は此処にあると推測されます。
発症には、色々な原因要素が複合することも多くあります。
①濾材量を確保し、水槽容量に見合った生体数を厳守する。
②物理濾過のウールマットは、平面上隙間が生じないように2重3重にシッカリ敷き込み、生物濾過槽内へ不純物の流出を防ぐ。
③ウールマットのメンテ(交換若しくは、水洗いによる洗浄)は2週間毎
④一回の給餌は1分以内で完食できる分量とし、数回に分けておこなう。
⑤濾過槽に蓄積した不純物は、水温上昇と共に腐敗し水質を悪化させる為、春先の年1回は濾材のメンテを実施する。
先ず、上記⑤に関連する部分についてですが、設営後4ヶ月程度ですので不純物が堆積する期間ではありません。但し、②に不備が生じていれば、早期に水質悪化を牽引してしまいます。(※この水質悪化は、市販の「アンモニア・亜硝酸」テスターくらいでは検知されません。)
次に、①~④の内容は、此方では状況が分かりませんので、思い当たる部分がありましたら改善なさって下さい。
生物濾過の成熟までには最低でも6ヶ月を要し、上記内容に少しでも不備が生じていると発症が起こりやすくなりますので、ご注意なさって下さい。
最後に「現在、他の水槽から流用した濾材で立ち上げ中です。1月から大食のナンヨウツバメ1匹で水質を作っています。1月から8月までの7ヶ月間でバクテリアを育てます。」とは、上記症状が出たのは他の水槽ですか?