新型コロナウイルスの感染拡大を受け、神戸市西区で飼育するダチョウの卵で作る抗体を染み込ませたマスクが注目されている。開発者の塚本康浩・京都府立大教授(50)によると、新型コロナウイルスの遺伝子配列が感染症「重症急性呼吸器症候群(SARS)」と似ているといい、中国の政府機関や全国のドラッグストアからSARS抗体マスクに大量の注文が舞い込んでいる。
抗体は、体内に侵入した細菌やウイルスに結合し、体内から除去する分子。医療用は通常、マウスやニワトリの体内で作られるが、塚本教授は他の動物よりも早く抗体が形成されるダチョウの卵を使い、約4千分の1のコストで精製することに成功。2008年にインフルエンザなどの抗体をコーティングした「ダチョウ抗体マスク」を商品化すると、これまでに約8千万枚が売れたという。
塚本教授によると、中国の研究者によって1月10日ごろに明らかにされた新型コロナの遺伝子配列がSARSと似ているという。SARS用の抗体でも効果が期待できるとし、備蓄していたSARS用抗体を3日から工場に出荷し、マスク生産を開始。中国の政府機関からは早くも30万枚の注文が舞い込んでいる。全国のドラッグストアにも2週間後には発送する見通しで、25枚入り税込み5千円程度で販売予定という。
また塚本教授は、新型コロナの一部を模した抗原をダチョウに注射し、新型コロナ用に新たな抗体作りにも取り組んでいる。口や鼻からの感染を防ぐキャンディーや、ドアノブなどに使えるスプレーも開発予定。「ワクチンを作ろうとすると、早くても夏ごろまではかかる。それまでに感染拡大を防ぐ一助になれば」としている。(伊田雄馬)