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(マツ)あ~ 疲れたやろ。もう いっつもありがとう。
穴窯は 4か月に一度火の番をするアルバイトさんを雇ってたいています。
2週間たき終え 今日は 解散の日です。
(喜美子)ありがとうございました。ご苦労さんです。 また お願いしますぅ。
また お願いします。ありがとうございました。
ほな 失礼します。失礼します。
(マツ)いつも ありがとう。
(武志)こんにちは。こんにちは。いつも ありがとうございます。
ただいま。お帰り。
お帰り。穴窯 終わったん?終わりました。
そっちも試験…。終わった。 腹減った。
おだんご 買うてきた。 食べよ?
お~ うまそう。
せ~の。(3人)頂きます。
う~ん。う~ん。
♪~
♪「涙が降れば きっと消えてしまう」
♪「揺らぐ残り火 どうかここにいて」
♪「私を創る 出会いもサヨナラも」
♪~
♪「日々 恋をして 胸を焦がしたい」
♪「いたずらな空にも悔やんでいられない」
♪「ほら 笑うのよ 赤い太陽のように」
♪「いつの日も雨に負けるもんか」
♪「今日の日も 涙に負けるもんか」
なあ。うん?
「めでたし めでたし」の話 してくれる?
分かった。 ほな 今 持ってくるわな?
俺 行ったる。あっ ありがとう。うん。
(戸の開閉音)武志 また背ぇ伸びたな。
そう?
大学 どうすんのやろ…。
聞いてる?聞いてる。ほんま?
な~んちゃって。聞いてへんの。
聞いたらええやん。聞いても答えてくれへん。
そんなことないやろ。おしゃべり ようしてるやん。
どうでもええ おしゃべりは ようするけど将来のことは 答えてくれへん。
そうなん?(戸が開く音)
(マツ)ありがとう。うん。
はい。ありがとう。
ほな 「めでたし めでたし」の話な。うん。
もう 7年になるかなあ…お母ちゃんと窯たき交代した夜のことです。
うん。穴窯の崩れた所から火が ぶわ~っと噴き出てお母ちゃんが「火事やぁ!」言うて。
うちが「消したらあかん! もっと燃やす」言うて。
ほんで ようやっと 成功しました。
ちや子さんに記事を書いてもらいました。
「自然の色 自然釉を生み出した陶芸家 川原喜美子」。
婦人雑誌が取り上げてくれてそれ見て 新聞も取り上げてくれて…。
ちや子さんの記事のおかげやなあ。
テレビ局の取材も やって来ました。びっくりしたなあ?
そこ 人だかりになったん 覚えてんで。そっから早かったなあ。
何や 注目浴びて。 うちの作品があっという間に売れるようになって。
順調に注文も頂けて。ありがたいこっちゃ。
借金も おかげさんできれいに返すことができました。
テレビジョンも買うことができました。
めでたし めでたし。ちゃうやん まだあるやん!
夢枕に立ってたんやろ。せや。 お父ちゃんが夢枕に立った。
で うちの手ぇ取って言うてくれたんよ。
「ようやった。喜美子のこと よう支えてくれたなあ」。
ほんで言うたんやろ?「お父ちゃん。 喜美子の作品5万 10万で売れてるで」。ほんで お父ちゃん…。
(喜美子 マツ)「でかした! 喜美子~!」。
(喜美子 武志)めでたし めでたし。
ええ話やあ…。
さっ。なあ。
うん?「めでたし めでたし」の話 してくれる?
なあ。うん?
おばあちゃん 大丈夫か? 何や 最近…。年取ったからなあ。
うん…。
あっ そういえばあの サイン欲しい言うてきたあの~ ピンクフィーバーズの…。
ああ 大輔と学?うん そう。 2人 大学行くらしいで。
お母さんら 言うてたで。
うん。 何か決めてるみたいやな。
あんた 考えてへんの?俺!?
大学 行かへんの?行って 何するん。
勉強やん。何を。
(マツ)あんなあ。(2人)うん?
はあ…。何?
忘れた。 その辺まで覚えてたんやけど。うん。
あっ 温泉や。うちが企画してん 温泉ツアー。
加賀温泉行くいうやつな。バスで行くことになったんけ。
せや 信楽老人会のみんなとな。
バスん中で歌う 歌のしおりもうちが作ったんやで。
♪「まわる」
楽しみやなあ。うん。(武志)いつやったっけ。
(2人)今日や!
これ 気ぃ付けて。
走らんでええけど 早歩きでな?(2人)うん。
ほらほら。足元 気ぃ付けてや。
うん。 手ぇつなぐか?行ってきます。
行ってらっしゃい。(武志)ほら 行くよ。
楽しんできてなあ。(マツ)は~い。
(武志)気ぃ付けて。
合ってる? これ。
うん 合ってる。
(百合子)そうかあ 加賀温泉か…。
うん。 ほな お願いしますぅ。はい。
合格~!ありがとうございます。
百合子に 料理 教わるやなんてなあ。
専業主婦になって料理の腕は上達したでえ 何でも聞いて。
あっ 食べる時なチーズかけると おいしいで。
チーズ。 あったかなあ…。
うん?いや~ かわいく描いてもろたなあ。
これ チーズって どうやってかけるん?のっけるん?
ちゃう ちゃう ちゃう。 粉チーズや。
ああ。使てええよ。こんな しゃれたもん よう使てんなあ。
うちは 喫茶店やし。あっ 信作 課長になったんやろ?
課長補佐や。(桃)お母さん 見て~。
(百合子)うん?
(百合子)かわいいなあ。
武志にいちゃん 絵ぇ上手やなあ。うん。
美術部なんやろ?うん。
(子どもたちの話し声)
(百合子)お姉ちゃんもああやって よう描いてくれたなあ。
黒とかもあったらかわいいかもしれないよ。(桜)赤の…。
何か やりたいことあんの?うん?
ちゃんと話そうや。あんた 春には3年生やで。
お金のことやったら 心配いらんで?
成績かて 悪ないやん。国立狙えるんちゃう?
あっ! チーズかけへんかったんやん!あっ! ほんまや 忘れてた。
かけよか?いや どう見ても遅いやろもう食べ終わってしもた。
もう おなかん中 入ったら一緒やん。いや もう ええ ええ ええ。 ええて。
ごちそうさまでした。
いつもの飯でよかったのに。うん?
しゃれたもん作らんでも。口に合わんかった?
いや うまかったけど…。
ごちそうさん。
武志。うん?あんなあ…。
(戸が開く音)(信作)あっ どうも~。おう 信楽の ブルース・リーが来たでえ!ワア~!
年々 ひどなってんな。ええ?
こんばんは。おう 武志。
持ってきたで。誰にも見られんように こっそりとな。
あ…。何なん?
何でもないわ。 俺と武志の秘密や 秘密。
男にはな 17~18にもなると母親には言えん秘密の1つや2つあんねん。 なあ?
おじさんなんて武志ぐらいの頃 100個ぐらいあったで。
なあ?知らんわ。
すいません。ほんま 何なん?
ええ? ピンクフィーバーズの水着写真…あっ 言うてしもた!
あ…。すまん! すまん! すまんな!
ほな。終わりか?おっ お前ミートソーススパゲッティ作ったんやてなどやった?
ああ… あっ これ 使わんかった。持って帰ってくれる?
粉チーズ。ほな 頭に振りかけながら帰るわ。
捕まんで。
♪~
信楽老人会 ご一行様が無事に帰ってきました。
昔と変わってたなあ。
加賀温泉?うん 行ったことあんねん。
おじいちゃんとやろ。あっ 言うた?
うん 聞いたで。病気で亡くなる前に2人で行ったんやろ。
ず~っと笑かしてくれてたて。真面目な話もしたんよ。
あら そら初耳や。
家訓があってな 川原家の家訓。「女に学問は必要ない」。
そうなん?
せやけど 言うてたわ。「学問は必要やったなあ…。高校も大学も行かしたりたかったなあ」って…。
(武志)お母ちゃんも行きたかったんかなあ…。
(マツ)武志に大学行かしたいんはそういう気持ちがあるからやろ。大学行ってほしいんよ。
自分ができんかったこと子どもにはしてほしい思うねん。
おばあちゃんも?武志は 武志の好きにしたらええ。
ちゃんと話 しぃ。
思てること 聞いてもらいなさい。
喜美子は 穴窯で作品を作るかたわら大量の注文品作りも続けてきました。
(戸が開く音)
これ お土産。
おばあちゃんの。
コーヒーいれてくれたん。ああ。
簡単や。 さっと入れて お湯入れて終わりや。
混ぜた?混ぜた。ありがとう。
やる?いや…。
やる。
♪~