世界ハンド女子大会・炎上垂れ幕の真実 製作担当者の半数は女性だった

2019年03月06日 11時00分

 これも女性蔑視なのか――。今年11月30日に開幕する「女子ハンドボール世界選手権」(熊本県)をPRする垂れ幕(街灯バナー)のキャッチコピーの一部に卑猥な表現があったとし、波紋が広がっている。製作した熊本国際スポーツ大会推進事務局に「低俗」「卑猥」といった批判が相次ぎ、バナー2種類を撤去、差し替えを行ったと発表したが、本紙取材で“意外な事実”が浮かび上がった。

 熊本県内の5会場で開催されるビッグイベントをPRする垂れ幕は、昨年12月下旬から熊本市役所周辺に掲示。競技の豆知識をユニークに表現したフレーズは広告代理店が原案を作り「ディフェンス練習が、ほぼ、ぶつかり稽古」「選手より、戦士です」「時速100キロを、6mからぶん投げます」など、計35枚の垂れ幕に書かれ、好評だったという。

 ただ、掲出されている垂れ幕の中で問題視されたのが「ハードプレイがお好きなあなたに」「手クニシャン、そろってます」の2枚。この写真がツイッターで拡散されると批判が殺到。ネット上では「信じられないほどひどい」「このキャッチコピーはダメでしょう」「マジでキモい。選手に申し訳ないと思わないのか」などと厳しい意見が書き込まれた。

 このため事務局は4日までに熊本市役所前の街灯に掲げていた問題の垂れ幕を差し替え、撤去したと発表。同世界選手権のホームページには「お詫びとお知らせ」として「街灯バナーの一部に配慮に欠ける表現があるとのご指摘がありました」とし「大変ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ございませんでした」と謝罪文を掲載する事態となった。

 その一方で、4日放送の「5時に夢中!」(TOKYO MX)でも、この問題が取り上げられると、出演するマツコ・デラックス(46)は「厳重注意ぐらいで済ませてあげないと今後、怖くて何もできなくなる」とコメント。これには「これくらい許せる社会であってほしい」と同調する声も多い。

 そこで日本ハンドボール協会を直撃すると「指摘されたことを素直に受け入れて」と反省しつつ意外な事実も判明した。問題のフレーズは「男性の下品な発想」と思われがちだが、製作に携わった同事務局広報課の課長は女性。さらに担当者の約半数が女性で、日本協会側でチェックした担当者にも女性が含まれていた。会議の際にも「女性蔑視や卑猥という意見は特に出なかった。アンテナに引っかからなかった」(広報)という。

 また「ハードプレイ」という単語は「バスケと違って身体的な接触があるスポーツ。体を使って相手を阻むことが許されるので体当たりもある。それをハードプレイと表現するんです」。さらに「手クニック」についても「ハンドと引っ掛けたダジャレ。ハンドボールには逆スピンシュートなどたくさんのテクニックがあり…」と説明する。

 確かに2つともハンドボールと密接な言葉。とはいえ、並べて掲示すると不快に思う人がいてもおかしくない。女性蔑視か、過剰反応か――。今も意見は真っ二つに割れている。