SPHCとSPCCの製造方法や特性の違い|機械設計メモ

機械設計メモ

機械設計士のブログです。このブログは業務で行なう設計のために利用する各要素のまとめ的な内容になります。特に機械設計初心者の方が設計へ活用して頂ける様にノウハウを噛み砕いて説明していきます。記事内には要素説明に適した各メーカー様の画像をお借りしている場合がございます。問題があるようでしたら右下意見欄よりご連絡いただければ幸いです。

SPHCとSPCCの製造方法や特性の違い



今日は「SPHCとSPCCの製造方法や特性の違い」についてのメモです。

機械設計において「圧延鋼板」を使うことがよくありますが、圧延鋼板のうち「SPHC」と「SPCC」の違いについて、はっきり説明が出来ない自分でしたので、ここでSPHCとSPCCの違いについてまとめようと思います。
尚、今回はSPHCとSPCCの違いにだけに特化していますのでその他用語は各自お調べください。
どうぞご利用ください。  

SPHCとSPCCの根本的な違い
SPHC:熱間圧延の「一般用」鋼板、JIS_G3131
SPCC:冷間圧延の「一般用」鋼板、JIS_G3141

SPHCとSPCCの違い_1

SPHCとSPCCの違い_2

冷間圧延鋼板と熱間圧延鋼板の違い
熱間圧延鋼板:金属の再結晶温度以上で加工する方法
スラブを引き延ばして帯状の鋼を作ること。熱間圧延は金属の強度が高くならない状態で加工する。
圧延を行うと、鋳造組織の中にあった晶出物が均一な組織に生まれ変わるために、次の冷間圧延も加工も可能となる。

SPHCとSPCCの違い_熱間圧延
画像:信頼の日新製鋼株式会社様よりお借りしました

※スラブとは
鉄スクラップの溶鋼を水冷して固めた後の鋼板になる前の半製品

冷間圧延鋼板:再結晶温度以下で加工する方法
熱間圧延後、常温で製品の厚さにまで圧延すること

SPHCとSPCCの違い_冷間圧延
画像:信頼の日新製鋼株式会社様よりお借りしました

SPHCとSPCCは売られている板厚の違い

SPHCの板厚(単位:mm)
1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.3、2.5、2.6、2.8、2.9、3.2、3.6、4.0、4.5、5.0、5.6、6.0、7.0
8.0、9.0、10.0、11.0、12.0、12.7、13.0、14.0

SPCCの板厚(単位:mm)
0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.3、2.5、2.6、2.8、2.9、3.2

SPHCとSPCCの違い(その他)
値段の違い
SPHCはSPCCと違い冷間圧延工程を通らない分安い

加工性の違い
同じ板厚であるならSPCC(冷間圧延鋼板)の方が加工性に優れている。

寸法精度の違い
SPHCはSPCCに比べて精度が悪い
SPCCはSPHCに比べて精度が良い

表面の違い
SPHC:黒皮(高温加工のため酸化皮膜が出来ている)
SPCC:表面が綺麗

磁界における磁束密度・透磁率・ヒステリシスの違い
SPHC:使用方法において測定する必要があります。
SPCC:使用方法において測定する必要があります。

※傾向として一般的に売られている材料においては、SPCCのほうが透磁率がよく、磁界における磁束密度は高い傾向にあります。
※SPCCは加工硬化してしまうので焼鈍が必要であり、焼鈍しているためだと考えます。

<参考>
SS400とは
SS400:一般構造用圧延鋼材、JIS_G3101

SPHCとSPCCの違い_3

以上です。


※お探しのメモは「SPHCとSPCCの製造方法や特性の違い」に有りましたでしょうか?このカテゴリに関する記事はこのページ「下部のカテゴリ最新記事」でもお探しいただけます。
2016年05月26日| |Edit

その他「材料関係」関連記事ページへ


Copyright © 機械設計メモ All Rights Reserved.
機械設計メモのテキストや画像等すべての転載転用・商用販売を固く禁じます

ライブドアブログでは広告のパーソナライズや効果測定のためクッキー(cookie)を使用しています。
このバナーを閉じるか閲覧を継続することでクッキーの使用を承認いただいたものとさせていただきます。
また、お客様は当社パートナー企業における所定の手続きにより、クッキーの使用を管理することもできます。
詳細はライブドア利用規約をご確認ください。