お米で花を咲かせましょう
今日は、煮えたお米がほろほろと開くようにほどけた、やさしい中華がゆを作ります。米と、米の成分が溶け出してとろっとした重湯とが一体化した状態で、「米の花を咲かせる」なんていう言い方をします。
鶏のだしでお米から炊くおかゆは、口に運ぶと米の味わいとぬくもりが体にしみわたり、ほっと肩の力が抜けていくよう。水分多めのお米ポタージュのような仕上がりですから、胃腸への負担もすくなく、家族の誰かが風邪をひいてしまったときなどに作ってあげれば回復の助けにもなるのではないかと思います。
だしといっても鶏肉をそのまま鍋に入れ、だしにすると同時に具としても食べる、簡素なレシピです。時間は少しかかりますが、仕込んでしまえば弱火で放っておくだけ。特別なことはなにもありません。寒い日のメニューのひとつに加えてみてください。
中華風鶏がゆ
材料(2人分) 所要時間 45分
米 1/2カップ(75g)
鶏もも肉 150g
長ねぎ 4~5㎝
たまご 2個
しょうが 1かけ(20g)
塩 ひとつまみ
醤油 大さじ1程度
ごま油 小さじ2
水 1000mL
作り方
1 米を炒める
米はサッと洗ってザルに上げる。鍋を中火にかけ、ごま油小さじ1をひいて米を入れる。1~2分ほど、焦げ付かないよう米を炒める。★1
2 鶏を加えて煮る
鍋に塊のままの鶏もも肉と、水1000mL、塩ひとつまみを加え、沸騰しかけたら火を弱火にして底から一度混ぜ、そのまま40分ほどふたをあけたまま炊く。炊いている間はあまり混ぜないこと。
火を止める5分ほど前に鶏肉を取りだしておき、少し冷まして薄切りにするか、手で割く。★2
3 卵とねぎ、しょうがを添える
しょうがと長ねぎを千切りにする。卵を黄身と白身に分ける。出来上がったかゆをたっぷり注ぎ、卵黄、鶏、長ねぎ、しょうがを盛り付ける。★3
レシピのポイント解説
・中華がゆについて
・おかゆの炊き方
・具について
★1 中華がゆについて
いわゆる「中華がゆ」は、鶏や干し貝柱など、たっぷりのだしで炊くおかゆです。しょうがやねぎ、鶏肉、油條(ゆじょう=揚げパンのような点心)など、具が入ることが多いですね。日本式のような、お米と水だけのおかゆもあります。
今日のレシピの特長は、最初にお米をごま油で少しだけ炒めておくこと。こうすることで米が割れやすくなり、とろみのあるおかゆになります。
お米は、気になる人はサッと洗っておきましょう。浸水はしなくても炊き上がります。厚手の鍋にごま油をひき、米を入れて焦げつかせないよう炒めます。1分から2分ぐらいでしょうか。
米を少量のごま油で炒める
★2 おかゆの炊き方
米を炒めたら、そこに鶏のもも肉と、水1000mLを加えます。米が1/2カップ(75g)なので薄めの配合ですが、蒸発分を考えてこのぐらいの水を入れます。
鶏肉のアクが出るので、沸騰直後に大きく出たアクを一度すくいとって、弱火にします。その後も煮ているとお米からも細かいアクが出ますが、気になる方はすくってください。
沸騰したら、火を弱める
最初のうち、鍋底にお米がくっついていることがあるので、沸騰したあたりで底から鍋をさらい、あとはあまり触らないようにしましょう。ふたはしないで、弱火で炊いていきます。
ふたはあけたまま、コトコトと
本来は、鶏のガラや肉でとったスープで炊くのが中華がゆ。今回はもも肉から出るだしを使いながら、さらにこれを具にしようという考えです。切るときに扱いやすいよう、骨なしのもも肉を使っています。手羽先や手羽元など、骨のついた部分を使ってもだしが出ていいでしょう。
40分炊くと、お米もくずれ、十分やわらかくなります。ちょっと食べてみてください。
米がすっかりやわらかくなって、水が重湯のように白濁していればよい
鶏肉は一歩早めに出して、軽く冷まして置くと扱いやすいです。食べやすく切るか、手でさいておきます。
★3 具について
中華がゆは、具材を入れるのが楽しみのひとつです。今回は、お米と一緒に煮た鶏、しょうがとねぎ、それに卵の黄身を具として使います。
ねぎとしょうがは、好みの切り方でOK
できたおかゆをたっぷりどんぶりに注いだら、卵黄を入れ、鶏やねぎ、しょうがをトッピングします。お好みでしょうゆやごま油を加えながら召し上がってください。
しょうゆとごま油をテーブルに置いて、好みの味に
卵白が残ってしまうのですが、これはまたスープや味噌汁に使えます。
日々の食事におかゆをとりいれよう
おかゆの話をしていると「炊いたごはんでやってもいいですか?」という質問をいただきます。私もよくそうしますが、今回は米から炊くおかゆのおいしさを感じていただきたいなと思ってレシピをお出ししてみました。
お腹の底に火の灯るようなあたたかさが嬉しいおかゆ。消化もよいから、寒い朝や夜遅い食事、小さなお子さんや風邪をひいたときの食事など、わたしたちの暮らしに寄り添ってくれるメニューです。日常の中に取り入れると、便利さを感じると思います。
作りやすさを優先して、実際には中華がゆと日本式のおかゆの中間ぐらいで仕立てています。とくに濃さなどはそれぞれの好みもあると思いますので、まずはこの分量で作ってみて、作り慣れたら少しずつ水の量を増やしたり減らしたりして「自分の家のおかゆ」を作ってみてください。
【アレンジ】トッピングで自由に遊ぶ!
中華がゆは「だし」と「具材」で幅広いバリエーションが作れます。今回は、具材のバリエーションをいくつかご紹介しましょう。本格的に作るのもいいですし、家にあるありあわせの野菜を刻んで入れてもいいですね。
干し貝柱と揚げワンタン
本格的な中華がゆの場合、干し貝柱のもどし汁をだしとして使うことも多いです。もどした貝柱を、もどし汁と一緒におかゆに炊き込んでおくと、鶏だけのときとは違う、ぐっと深みのあるおいしさになります。トッピングに使ってみたのは、ワンタンの皮を素揚げしたもの。本来は油條(ゆじょう)という中華の揚げパン的な点心を使うのですが、ちょっとコクをつけるという意味ではこれも良いと思います。
クレソンと鶏肉
クレソンを混ぜたちょっとおしゃれなおかゆ。洋風に見えますが、ごま油で炊いているので味は中華風です。たまごやねぎは省き、味付けは塩で。しょうがはおろして混ぜると良いと思います。
クレソンの代わりに、春菊、水菜、スプラウトなどもいいのではないでしょうか。いずれも、洗って水を切ったものを火を止めてからサッと混ぜます。