鬼界カルデラで超巨大噴火 2つの火砕流地層を確認 神戸大
九州・薩摩半島沖にある「鬼界カルデラ」は、7300年前に超巨大噴火を起こしたことで知られる、世界の火山のなかでも危険度が最も高いカルデラだ。
神戸大学海洋底探査センターなどの共同チームは今月、深部探査船「ちきゅう」を使って、海底下100メートルの地層を掘削し、2回の巨大噴火の痕跡を確認した!
カルデラ火山とは
地球上の活火山の約7%が集中する火山大国である日本では、近年でも、2014年の御嶽山噴火をはじめ、多くの火山被害があいついでいる。
なかでも地下のマグマが一気に噴出するカルデラ噴火は、破局的噴火とも呼ばれていて、縄文時代に九州南部を大規模な火砕流が襲った。火山灰に覆われた九州南部では、シイやクスノキなどの森林が途絶え、その回復には数百年かかったうえ、縄文土器の文化が断絶したとさえ言われている。
鬼界カルデラ
超巨大カルデラ噴火の予測を目指す神戸大学海洋底探査センターの巽好幸教授らの共同チームは今月8日から15日までの1週間、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の深部探査船を使った調査で、薩摩半島南方沖にあるカルデラの周囲を海底下100メートルの深さまで掘削。
サンプルの分析によって、水中に流れ込んで堆積した火砕流の地層が2層あることをつきとめた。火山噴出物の解析の結果、これらの地層は、7300年前と9万5000年前の超巨大噴火で噴出した火砕流の可能性が高いことがわかった。
カルデラ内のマグマ活動
神戸大の研究チームはこれまでにも、鬼界カルデラ内に世界最大級の溶岩ドームが存在することを発見している。この溶岩ドームの成分は7300年前の噴火を起こしたマグマとは異なる一方、6000年前以降に誕生した薩摩硫黄島の溶岩と同じものであることも明らかにされている。
研究チームは、今回発見した火砕流堆積物の詳しい分析を続けることで、マグマの噴出量を推定し、カルデラ内部のマグマ活動について明らかにしていきたいと考えている。