帯がしわでダブダブ。家庭用アイロンで何とか出来ますか?
出来る事もありますが、かなり危険。
帯には様々な素材が使われています。着物とは比較になりません。
それらが、熱や蒸気によってどのように変化するのか、作った帯メーカーにも正確には分かりません。帯は基本的に家庭用アイロンでメンテナンス出来るようには作られてないからです。
例えば、帯を構成する要素の99%が大丈夫でも
柄と柄の間にわたっている金糸一本でトラブルになる時もあります。( 金糸は熱と蒸気で縮みやすい)
「 当て布すれば大丈夫 」というのは迷信
加工や箔がベロンと取れる時があります。
つまり、帯はアイロンしないでください。
「 業者に頼むと高いし 」
プレス加工で解決できる場合は安い。仕立て直しとなると高い。
しかし、プレスでシワが伸びきるかという判断は経験に頼るしかなく、日々、プレス加工に携わっているベテランでも100%正解とはいきません。
直らない場合もあります。
正確に言いますと、大抵のシワは「一時的」には解消できます。しかし、納品後、さした時間も立ってないのに元に戻ってしまうものを「直した」とは言えません。
帯の仕立て屋を長年やっていますと、大抵の帯はすでに「知っている」ので直るか直らないか即断出来るのですが、これも100%ではありません。見慣れた定番商品も、見た目はあまり変わらずとも、作り手側の都合で糸の数が減っていたり、素材が変わってたりする事があるからです。
つまり、やってみないと分かりません。
しわの種類と対策
たたみシワ
上図の青い線が表地、赤い線が裏地部分です。
帯は たたんだ時に表地が外側をカーブし、裏地が内側をカーブします。この状態で時間が経過し生地が収縮すると相対的に「表地が長く、裏地が短く」なります。
そして、この状態で帯を広げると
長くなった表地の方がダブります。特に生地のブ厚い帯がなりやすいです。このような通称「たたみジワ」は、プレス加工や再縫製で直しても、たたむと元の状態に戻る事が多いので、着用に支障がなければ「こういう帯」という事で そのまま使ってあげてください。
表地と裏地の性質が大きく異なる事によるシワ
表地と裏地のどちらかだけが、ちりめんなどの縮みやすい素材の場合、縮まない方の素材がシワになります。このような場合、プレスも仕立て直しも一時的効果しか見込めません。帯そのものの設計ミスと言えます。
表地、または裏地単体でのシワ
しわを見るや、すぐ再縫製するしかないと結論づける方が多いのですが、帯地が、縫製前の一枚の状態でシワになる帯には、プレスも再縫製も何の意味もありません。素材の質が原因のシワは、素材の質を変える事でしか直せません。特に最近の裏しわは、このパターンが多いです。
縫製が悪くて出来るシワ
例えば、ミシンに流し込む時に「表地は1㎝」しか流れていないのに、「裏地は2㎝」流れてしまうと生地と生地の対比が悪くなりシワとなります。このような縫いが悪くて発生するシワは、仕立て直す事で解決できます。
複数回の使用や長い時間経過により出来たシワ 。
プレスもしくは、再縫製で解決できます。
伸びた、伸びないの二元論でシワは語れない
何が何でもシワを伸ばせと仰られるのであれば、プレス機で帯の両端に強い張りをかけて最大パワーでプレスすれば、大抵の帯は伸びます。さらに、帯を一度解いて、樹脂加工をしてから再縫製すれば尚更です。しかしー