Deep Learning for ENGINEER(E資格)とは
この記事は2020年1月時点の情報であることをご了承ください。
現在、この日本においてAIのスキルを証明する公的資格として下記が挙げられます。
- JDLA Deep Learning for GENERAL(以下、G検定)
- JDLA Deep Learning for ENGINEER(以下、E資格)
です。
位置付けとしては、G検定がAI関連技術に関する一般教養を問う試験。
E資格がAI関連技術に関する理論を理解し、AIを実装できるスキルを問う試験。
という理解です。
詳細というか、正確な定義については、日本ディープラーニング協会(JDLA)のサイトをご参照ください。
E資格の受験方法とJDLA認定プログラム
とういうわけで、ここからはE資格のことを中心に話を進めていきたいと思います。
E資格を受験するチャンスは年に2回あり、2月と8月に実施されています。
ただ、E資格を受験するためには、JDLA認定プログラムを受講して受験資格を得る必要があり、これがスキル的にも金銭的にもハードルが高いです。
本試験自体は全て選択式なので、それほど実務能力が問われるという試験ではありません。
ですので、認定プログラムにお金を支払う勇気があり、認定プログラムを修了させる努力ができれば、E資格取得への道のりは8割くらい達せられるのではないかと思います。
E資格は試験を受けるための資格が必要となりますので、受験に至るまでのプロセスを紹介します。
- 認定プログラムの説明会に参加する。(既に決まっているなら不要)
- どの認定プログラムを受講するか決める。
- 認定プログラムに申し込む。(お金を払う勇気が必要)
- 認定プログラムの講座を受講する。
- 認定プログラムの講座内で出される課題に合格する。(Pythonでのコーディング)
- 認定プログラム内の基礎力確認テストに合格する。
- 認定プログラム内の自作プロダクト課題を提出する。
- 認定プログラム内の修了試験に合格する。
- 本試験に申し込む。
- 本試験を受ける。(出題形式は選択式、試験時間は120分)
ケーススタディ
私の場合、AVILENの認定プログラムを受講しましたので、それを例に説明していきます。
ここではAVILENを例に挙げていますが、自分に合う認定プログラムを是非探してください。
1. 認定プログラムの説明会に参加する。
繰り返しになりますが、E資格を受験するためには、JDLAの認定プログラムを受講し、修了証をゲットしなければなりません。
現在、JDLAから認定プログラムとして認可されているものは12種あるようです。
(2019年6月の時点では6種でした。)
TECH PLAYからの案内でAVILENの説明会のことを知りました。
説明会自体は無料でした。
説明会に関する案内の中で、何々に10数万円、何々に数万円みたいな記述があったので、説明会にも参加費が必要なのかなと思ってしまいましたが、そんなことはありませんでした。
2. どの認定プログラムを受講するか決める。
説明会に参加し、以下を見極めます。
- 金額は?
- 教室通いとオンライン講座のどちらが合っているか?
- 講座の頻度に無理がないか?
- 学習サポートのスタイルは即時対応してもらえそうか?
- 全講座終了後、修了試験までのスケジュールに無理がないか?
金額
AVILENは、必須受講の部分がオンライン受講であれば136,000円です。
任意受講の基礎講座が100,000円です。
基礎講座は過去の教室授業の動画のリンクが送られてきて、それで自習するというスタイルでした。
教室通い?オンライン?
通える距離であれば多少の差額を支払ってでも教室通いの方が良いと思います。
私は地方暮らしでしたので、オンライン講座しか選択肢がありませんでした。
講座の頻度
私は8月末の本試験でした。
認定プログラムの講座は6月開講と7月開講があり、私は7月開講を受講しました。
7月7日(日)の日曜日から毎週授業があり、その授業に対する課題提出が必要でした。
さらに、最後の授業が8月11日(日)で、全課題の期限が実質的に8月13日(火)という過密スケジュールでした。
6月開講であれば1ヶ月スケジュールに余裕があるので、そちらの方が良かったと思います。
学習サポート
Slack ワークスペースでのQ&A対応というスタイルでした。
質問に対しては的確に答えて頂けましたが、即時性という点では若干不満はありました。
その点でも教室通いにアドバンテージがあるかなと思います。
修了試験までのスケジュール
8月14日(水)の23時59分が修了試験の完了期限でした。
上記の同様、最後の授業から日がなかったこともありギリギリでの受験でした。
3. 認定プログラムに申し込む。
勇気を出してお金を払うのみです。
私は236,000円払いました。
- 任意の基礎講座:100,000円
- 必須講座をオンライン受講:136,000円
4. 認定プログラムの講座を受講する。
週1回程度の頻度で講座を受けることになると思います。
5. 認定プログラムの講座内で出される課題に合格する。
毎回の講座の中で、プログラミング課題が課せられます。
正しい動きをするようになるまで再提出を求められます。
AVILENの場合は全6講座分の6個の課題が課せられました。
プログラミング言語は全てPythonでした。
6. 認定プログラム内の基礎力確認テストに合格する。
基礎力確認テストの出題範囲は、
- Python基礎
- 機械学習基礎
- 情報理論
- 線形代数
- 統計学
です。
それぞれ過去の講座の動画リンクが送られてきますので、それを見て自習します。
自習後、修了試験の受講前までに各科目のテストに合格する必要があります。
講座の中で説明されている内容以上のことは出題されなかったので、ここは案外すんなりとクリアできました。
ただ、情報理論はエントロピーとかそんな話が出てきて、前提知識がほぼ無かったので苦戦しました。
線形代数と統計学は、高校〜大学1年2年くらいのレベル感ですが、入試のようなトリッキーな問題は出題されません。
あくまでも基礎の確認という感じなので、講座をちゃんと見れば何とかなります。
7. 認定プログラム内の自作プロダクト課題を提出する。
ニューラルネットワークを使用した何らかのソフトウェアを作成します。
私は「ゼロから作るDeep Learning」の手書き文字認識を改造し、アルファベット26文字の手書き文字認識プログラムを作成しました。
他の受講生では、LSTMを使用して株価予測をするといった別次元の方もいらっしゃいました。
8. 認定プログラム内の修了試験に合格する。
- 毎週の講座で課される課題
- 自作プロダクト課題
- 基礎力確認テスト
これら全てに合格すると修了試験が受けられるようになります。
修了試験は1回のみ再受験が認められていますので、可能であれば修了試験期限の1週間前に1回目を受けるくらいの余裕があると良いです。
9. E資格試験に申し込む。
修了試験に合格すると認定プログラムの主催者(私の場合はAVILEN)から申込コードが送られてきます。
そのコードを本試験の申し込みの際のどこかのタイミングで入力します。
また、受験費用として30,000円(税抜き)が必要です。
10. E資格試験を受ける。
あとは本試験に向けて試験対策をし、本試験を受けるのみです。
本試験の試験問題では、機械学習関係が結構出題されたなあという印象です。
プログラミングでは、im2colとかcol2im、勾配降下法の最適化アルゴリズムが出題された感じです。
案外、強化学習関係も出題されていたように思います。
参考書籍
深層学習
正直、この本はあまり身になっていないのですが、認定プログラムで教科書的な位置づけで扱われてますので、必要なところを適宜参照するという使い方ですね。ゼロから作るDeep Learning
この本は絶対買った方が良いです。
相当読みましたし、各種課題の対策としても大いに活用しました。
誤差逆伝播の理解にもスーパー役立ちました。
全勉強時間の50%はこの本に費やした気がします。ゼロから作るDeep Learning 2 自然言語処理編
この本も絶対買った方が良いです。
LSTM、GRUの順伝播、逆伝播は押さえておいた方が良いですし、それらの理解に役立ちます。
自然言語処理はほぼこの本のみ勉強しました。
認定プログラム受講前のスペック
- C言語で組込み系のソフトウェア開発をしていた。
- ゼロから作るDeep Learningを発売直後(2016年10月頃)に購入するが、順伝播のところまでで挫折する。
- 物体認識関係のセミナーにいくつか参加していたので、物体認識の何となくの仕組みは知っていた。
- 機械学習の知識はほぼゼロ。
- Pythonは基本的な文法が分かっている程度でnumpyやpandasはかじった程度。
- 情報理論は何のこっちゃ。
- 線形代数の行列の掛け算が分かるくらい。固有値とか固有ベクトルは何のこっちゃ。
- 統計学は高校レベルの確率の計算ができていたのと、分散と標準偏差の計算式は知っていた。
E資格受験後の感想
"E資格を取った直後にGAFAからスカウトが!"とは当然なりません。(笑)
ただ、結構な試験範囲と結構な課題提出をクリアしたという自信には繋がりました。
少なからずAIに関する知見があるという証明にもなりますし。
認定プログラムの授業は楽しかったですね。新しいことを頭の良い人たちから教わっているということに非常にワクワクしました。
認定プログラムの受講開始が遅くてスケジュール的にはギリギリでしたが、2019年は運良くお盆休みが9連休でした。
その9連休の間、1日10時間以上勉強時間を確保することができたので、それも合格できた要因と思います。
自分でもがんばったなと思えるし、それが結果に繋がったという経験が何よりの宝になりました。
受験しようかどうか迷っているという方は、まずは認定プログラムの説明会に参加してみてください。