NEWS / HEADLINE - 2020.2.1

国際美術館会議(CIMAM)があいトリについて声明を発表。「展示再開は国際的な好例」

国際博物館会議(ICOM)の提携組織である国際美術館会議(CIMAM)が、「あいちトリエンナーレ2019」における展示再開の一連の動きについて声明を発表した。

 

再開後の「表現の不自由展・その後」

 世界85ヶ国の近現代美術館に関わる専門家560名以上によって構成されている国際美術館会議(CIMAM)は1月31日、「あいちトリエンナーレ2019」における「表現の不自由展・その後」を含む展示再開について声明を発表。参加アーティストと学芸員を称賛するとともに、補助金不交付問題についても言及した。

 CIMAMは、「Aichi Triennale re-opened thanks to the artists’ and curators’ efforts」と題した声明の中で、「政治的圧力からトリエンナーレの自治権を回復するため、そして展示再開のために動いたアーティスト、学芸員は称賛に値する」と表明。

 あいちトリエンナーレ2019をめぐっては、開幕から3日で「表現の不自由展・その後」が展示中止となり、その後、海外からの参加作家を中心に展示中止や内容変更が行われるも、10月8日午後にすべてが再開。多くの人々が詰めかけた。

「表現の不自由展・その後」展示再開初日の様子

 展示再開の期間はわずかだったが(10月8日〜14日)、CIMAMは「短い期間であっても、この再開を確保しようとする彼らの努力は、政治的圧力に反対する声明としての展示再開の重要性を反映している。展示再開は、政治的圧力と検閲に抵抗する国際的なアートコミュニティにとっての好例」と称賛する。

 いっぽう、あいトリでは文化庁による補助金約7800万円が全額不交付となっている。これについてCIMAMは「深く懸念する」としつつ、次のようにコメントしている。

 「CIMAMは2019年10月10日の声明の中で、文化庁が助成金を保留した理由に疑問を呈し、補助金を再交付するよう文化庁に要請した。CIMAMはこの要請を、緊急の問題として再度表明する」。

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NEWS / HEADLINE - 2020.2.1

新ムンク美術館が開館を秋に延期。こけら落とし展覧会はムンクとトレイシー・エミンの2人展

今年6月の開館を予定していた新ムンク美術館が、開館を今秋に延期すると発表した。延期の理由は、防火扉や防犯扉の設置の遅延や、空調システムの検査だという。こけら落とし展覧会は、ムンクとイギリスのアーティスト、トレイシー・エミンの2人展になる。

新ムンク美術館 Courtesy of Munch Museet. Photo by Ivar Kvaal/Hest Agentur

 今年6月の開館を予定していた美術館「新ムンク美術館」が、開館時期を秋に延期する。

 ノルウェーを代表する画家、エドヴァルド・ムンクの名を冠した同館は、ひとりのアーティストに捧げられた美術館としては世界最大級。スペインの建築事務所フアン・ヘレロスが設計した新館は、ムンクが《叫び》や《絶望》のインスピレーションを受けたとされるスポット・エーケベルグの丘から見た景色の中心に位置しており、13階の建物には、7層にわたって11の展示室が設けられる。

新ムンク美術館の内部 Courtesy of Munch Museet. Photo by Ivar Kvaal/Hest Agentur

 同館は現在、1150点の絵画や7500点のドローイング、1万8000点の素描など、約2万8000点のムンクの作品を所蔵している。開館後は、4つのムンク常設展に加え、ノルウェー出身のアーティストや国際的なアーティストの企画展も行われるという。

 気になる開館延期の理由については、「The Art Newspaper」の報道によると、防火扉や防犯扉の設置が遅れていることや、建物の空調システムが必要な基準に満たしていないことが挙げられている。

新ムンク美術館 Courtesy of Munch Museet. Photo by Ivar Kvaal/Hest Agentur

 こけら落としとなる展覧会は、ムンクの作品とイギリスのアーティスト、トレイシー・エミンの作品が一堂に会するもの。エミンによる高7メートルの彫刻作品《Mother》も10月に美術館外に設置される予定だという。

 なお同展は、11月にロンドンのロイヤル・アカデミー・オブ・アーツへと巡回する予定。しかし今回の延期で、オスロでの展示が短縮されるか、もしくはロンドンでの開催が延期されるかのかはまだ明らかになっていない。