④漁港採集での網のコントロール~その1

採集では網等の道具の善し悪しも重要ですが、折角良い道具を持っていても網捌き方法が不充分であれば宝の持ち腐れになってしまいます。本章では漁港採集において結果を大きく左右する網捌きについて記します。

(1)基本動作
漁港採集は岸壁を覘きチョウが泳いでいるのを見つけることから始まりますが、8月までの時期は新着と言って、港内の岸壁に漂着して間もない10円玉程度の固体が多く見られます。この新着魚は、ボーっとしている固体が多いので結構簡単に採集することが出来ます。
イメージ 1

先ず漁港採集の基本動作を記しますが、画像の様にチョウより1m程度以上沖き側にそっとタモを沈め、徐々にタモを岸壁側に引き寄せます。引き寄せている途中でチョウはタモの存在に気付き、左右どちらかの方向へ逃げようとするので、逃げる方向に先回りしてチョウの頭側にタモを動かします。すると今度は逆方向へ逃げようとするので、タモを引き寄せながらチョウの逃げる方向へまたタモを動かし、岸壁に近づいた時点で一気に岸壁に封鎖すると、網にチョウが飛び込んでいきます。
新着魚は逃げ足がそんなに速くないので、この要領で簡単に採集できますが、秋季にみられる固体の多くは採集家の攻撃を交わしてきた兵が多く、ひと気を察知した段階で底の方へ逃げてしまう個体も少なくありません。
漁港採集のテクニックは、この秋季の固体を如何にキャッチ出来るか否かで差が出てしまいます。

(2)的確な網捌きの習得
シーズン到来直後から、90cm以上の通称巨大網振り回して採集しても、網の捌き方よりも網の大きさに頼ってしまい、採集の腕前が中々身に付かなくなってしまいます。
私が漁港採集で同行依頼者に指導する際は、巨大網は使わず60cmのタモで的を絞り的確に網をコントロールできる網捌きを身につける為のアドバイスをおこなっています。
チョウを封鎖する際は、網枠の中心にチョウの位置を合わせ勝ちですが、封鎖したつもりでも採れていない経験のある方が多いのではないでしょうか?
これについては、上から水中を覘き目検討で網を沈めても、水中内では屈折の影響も受けて、実際はチョウの居るポイントは採集者の認識よりもっと底側であることが多くまた、チョウは上から来る網を避けて下へ逃げるので、網の下端をすり抜けてしまう場合が多くあります。
従いまして漁港採集におけるストライクポイントは、網枠と柄の接合部分をイメージすると網枠の下から逃げられ難くなり、ゲット出来る確率が上がります。