On the road~青山繁晴の道すがらエッセイ~

2020-02-01 03:00:55
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大紛糾 その4 事実のなかに生きる

▼1月31日金曜に開かれた、自由民主党の「新型コロナウイルス関連肺炎対策本部」の詳報を、みなさんに広くお伝えしようとしているのですが、なかなか時間が取れません。
 しかし2月3日月曜の虎ノ門ニュースはぼくは不参加だし、細切れにでもアップしようとしています。
 いま午前3時ですが、ひとつ前のエントリーで「では、また、あとで」と書きましたから、その約束は果たしたく思います。

▼この対策本部の内容について「大紛糾」というタイトルを冠しているのは、会の冒頭から、「なぜ検査、検疫や、必要な隔離がきちんとできないんだ」と口々に烈しく迫る議員の側と、言を左右にする官僚 ( ぼくは行政官と呼びたく思っています ) の側が、ぶつかり合って、怒号が飛び交うような会のスタートになったからです。

▼非常に沢山の議員が発言を求めて挙手するので、司会を務める議員 ( 平口洋・党対策本部事務局長 ) に、ぼくが「恣意的に当てないで、順に当ててください」とあえて求めたことは、前のエントリーに記しました。
 司会ぶりがおかしかったわけではありません。有効な会になるよう誠実に努力されていました。ただ、このままでは大紛糾、大混乱が収まらないと考えたのです。
 
 そして平等に、順に当たり始めて、不肖ぼくの順番も来ました。
 ぼくの発言については、前のエントリーでいくらか紹介しています。
 このエントリーでは、おのれの発言内容のうち、ふたつのことを記しておきます。

▼まず「多くの議員が疑問を呈した、必要な検疫、検査、隔離ができていない問題については、現在、2類の指定感染症になっていることを改め、1類に引き上げることが最善の解決方法です。1類の病気は、厚労省がいま強調なさったように、法で指定されています。逆に言えば、われわれ立法府がさっさと法改正をして、現在、1種に指定されているエボラ出血熱などとあわせ、ぼくが武漢熱と呼んでいる新型肺炎も加えればいいだけの話です。1類にすれば、ほとんどの必要な事柄が強制力を持って実施できるようになりますから」と述べました。

 これに対し、多くの議員から「そうだ」という声が上がりました。
 ぼくは厚労省の行政官たちの眼を見ながら話していましたが、頷くひとも複数、いました。
 そうです、これは立法府の重い責任です。

 2時間に及んだ会の最後に、党対策本部の田村憲久本部長 ( 元厚労大臣。いつもほぼ完璧な国会答弁をなさっていました。厚労行政の本物の専門家と言えると思います ) が「1類に引き上げるという法改正に、できるだけ早く取り組もう」と議員に呼びかけました。

▼もうひとつ。
 ワクチンの問題について詳しく書いておきます。

 ぼくが代表幹事を務める護る会 ( 日本の尊厳と国益を護る会 / JDI ) が1月24日金曜、加藤勝信厚労大臣にワクチン作成を急ぐことなどを求めた要請文を手交したとき、厚労省から「ワクチンをつくるための株を既に持っている」と明かされました。
 そこで、この対策本部の会合では、このたいせつな情報をすべての出席議員に伝えると同時に、局長がずらりと出席していた厚労省に「その後、ワクチンの作成は進んでいるのですか」という趣旨を尋ねたわけです。

▼厚労省の回答ぶりは明確でした。
 ぼくが取ったメモによって、正確に再現します。

「最初はワクチンの株が取れませんでした。しかし、まもなく、国内の発症例から、二、三の株を取り出すことに成功しました。青山さん ( 原発言は青山先生 ) の仰ったとおりです。日本はMERS ( 中東呼吸器症候群 ) のワクチンを作っている国際機関に拠出もしているので、そことの連携も含めて、このワクチン株を活かして、一日でも早く新型肺炎に対するワクチンを作成するよう努力しています」

 これに対して、別の議員から「国際機関などと言っていないで、さっさと自力でワクチンを作れ」という厳しい指摘もありました。
 それも理解しつつ、ぼくは、厚労省が既にワクチン株を持っていることを、こうした平場でもきちんと認めたことは評価します。
 そして、この奇怪な武漢熱のウイルスは変異が非常に早いらしいという懸念を考えると、現在の弱毒性が強毒性に一変することにも備えねばなりません。
 現在はワクチンも治療薬もありません。
 入院と言っても、点滴などの対処療法が中心です。

 武漢熱の初期の頃、ぼくの見解は、ありのままに言って、ほかの議員やお医者さまらの一般的な見解とは違いました。
 大袈裟な・・・と面と向かっては言われないまでも、そのように受け取られていました。
 現状はどうでしょう。
 世界中が重大なクライシスとして、捉えています。

 WHOについても、ぼくは非力ながら、ずっと以下のように警告を致していました。
「中国が陳馮富珍 ( マーガレット・チャン ) という香港衛生局長だった女性医師を西暦2007年1月から2017年6月の10年半にわたり、WHO事務局長に送り込んでから、実質的にWHOは中国支配が続いている。中国国内でヒトからヒトへ感染し死者も出た鳥インフルエンザの情報もろくに出なくなった。WHOは、もはや当てにならない。WHO緊急事態宣言を見送っている(当時)のは、武漢熱が深刻ではないためではない。中国の圧力だ」と述べていました。
 これを部会などで、ぼくから聴いた自由民主党の衆参両院議員は「えっ」と愕然となさる表情になりました。
 そしてぼくは、「やがて武漢熱の深刻さが世界に伝わるようになり、WHOは遅ればせに緊急事態宣言を出すようになるだろう。日本政府は、厚労省をはじめ、WHOを基準にしちゃいけない。WHOを当てにするな」と、不肖ながらずっと警告していました。
 現状は、そのようになっています。

 だから別の議員が指摘なさったように、WHOに限らず、国際機関はさほど当てにしない方がいいです。
 一方で、国際連携は有効です。
 厚労大臣に、護る会がいち早く申し入れたとき、厚労省はノルウェーの研究機関との連携も強調していました。
 アメリカとの連携を含め、国際連携を活用しつつ、自力での開発も急ぐという姿勢で行くべきです。
 アメリカは、この異様なウイルスの正体を、いちばん知っていると思われます。
 アメリカを当てにせよという意味ではありません。
 日本国民も常に大きく負担している日米同盟を、きちんと活かせということです。

 武漢熱クライシスは最初から、まごうことなき安全保障問題でもあるのです。

▼東京コンフィデンシャル・レポート ( TCR / ここです ) はあえて今、武漢熱クライシス以外の懸案事項を整理し、(1)日本経済と世界経済、(2)中国、(3)政局/安倍政権の行方、(4)北朝鮮をめぐる最新の機密情報をレポート第1048号、1049号として連続配信しました。
 世は、武漢熱クライシスだけではないからです。
 もちろん武漢熱についても、オフ・ザ・レコードの情報は、TCRで配信します。

 すべてを包括的に、かつ細部に至るまで、冷静に見ている眼が不可欠です。
 オフ・ザ・レコードの情報をめぐる、みなさんの質問には、独立講演会@東京で答えます。募集はここです。講演主宰者の独立総合研究所の事務局は人手が足りないので、募集期間はすぐ終わります。

 そして広く、オン・ザ・レコードにて公開できる情報は、2月10日月曜の虎ノ門ニュースと、この地味ブログにて、何を犠牲にしても、みなさんに真っ直ぐ伝えていきます。

 このブログを記すうち、午前3時50分が近づいています。残余の仕事をするうち、午前4時になるでしょう。
 夜の深い部分は眠るという約束も忘れてはいません。
 ただ、見えざる戦場にあっては、夜を踏み越えねばならないときもあります。

 みなさんが目覚めて、黒い不安から、一条の光へとすこしでも解放されますように。
 まさしく「不安ノ解体」が、ここにありますように。

 
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