芽路子 ヒュプノス

「トコナツラック」ストーリー 前編

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ラプソディ・イン・ブルーオーシャン(前篇)

水平線の向こうに見える青空に真っ白な入道雲が広がり、黄金色の砂浜にギラギラとした太陽が照りつける。

今は真夏、ここは海。

クロエ 「そぉーれぇー!」
玉姫 「って、どこに飛ばしてんのよ!」
クロエ 「あれ? ごめんごめん」
玉姫 「えいっ! トス!」
ヴィーナス 『きゃーボールこっち来ちゃった!』
ヴァルキリー 『自分が捕る! それっ回転レシーブ!』
クロエ 「って、海のほうに行っちゃったじゃん!」

「大丈夫」
クロエ 「え?マナマナ、ウォーターライフルなんか持って……何する気?」
「こうする」
玉姫 「やった! 当たった!」
クロエ 「よっしゃあ! ボールが戻って来たっ!」
クロエ 「! 冷たっ!」
「―油断、してたから」
クロエ 「……やったね……お返しだよっ!」
玉姫 「ちょっと!クロエまでウォーターライフル持って……
ビーチバレーしてるんじゃないの!?」
ヴィーナス 『まあまあ、楽しければどっちでもいいじゃない!』
ヴァルキリー 『そのとーり!!』
玉姫 「ちょっと!! やったわねヴィーナス! クロエ、いっしょに!!」
クロエ 「オッケータマヒメ! そっちは任せた!」

アテナ 『みんな楽しそうですね……』
美親 「あぁ……」

リクライニングチェアに横たわりながら、水色のトロピカルなソーダをストローで啜り、
はしゃぐ4人の様子を、ニコニコしながら見つめている。
美親 「これこそまさに、楽園、だな――
なあ、アルテミス」
アルテミス 「……」
アテナ 「ふふ、アルテミスは眠ってしまったようですね」
美親 「アルテミスは月の女神だからな……」
アテナ 「こんな風にゆっくり過ごすのも、いいですね」
美親 「そうだな」

ネメシス 『みんな子供っぽいわねぇ……こういうところでは、まったりアイスでも食べるのが一番♪』
クロエ 「ネメシス!!隙あり!!!!」
ネメシス 『!!!』
ネメシス 『ちょっと!!!!何すんのよ!!!!
私のバカンスの邪魔をするなんて言い度胸ね!!!!』

ヴェロニカ 「ネメシスも参戦か……まだまだ子供だな」

その見事なプロポーションに思わず見惚れる美親。
と、いつの間にかいたオルガがほくそ笑む。

オルガ 「俺のロジックが聞こえる……
横にアテナがいるにもかかわらず、お前が局長の水着をけしからんと思った確率は、100%だ」

美親 「バカ!! 局長に聞かれたら殺されるぞ!」
焦って口を塞ぐが、幸いにも聞こえていないらしい。

ヴェロニカ 「ところで七星は、アイツらと遊ばないのか?」
「とっても遊びたいんですが、砂の中から出られないんです……」
ヴェロニカ 「……何故、砂の中に埋まってるんだ?」
「そういうわけじゃないです!
寝ていたら、皆にイタズラされてしまって……
皆、私を忘れて遊んでいるみたいですし、お願いです局長、助けてください!!ケッツーも起きそうにないですし!」

その傍では、かき氷を10杯ほど食べ尽したケツァルコアトルが満足そうに眠っている。
ヴェロニカ 「……まぁ、助けてやるか」

「やった(涙)!!」

しかし、その瞬間。

身を起こしたヴェロニカに水流が命中する

一斉にはしゃぐのをやめる玉姫、クロエ、学、ヴィーナス、ヴァルキリー、ネメシス。
美親、アテナ、オルガ、縁も唖然としている。

瞬く間に、ビーチに凍りついたような緊張感が走った。
びしょ濡れのまま固まっているヴェロニカが、やがて口を開いた。

ヴェロニカ「――では、私も混ぜてもらおうか」

その一言に、一同は息を呑み、震えあがった。

(つづく)

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