ニーナ ミカエル

2016年8月号掲載 「学」ショートストーリー

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星と七夕

『ねぇ、来週の七夕、一緒に天の川を見ようよ!』
星は、明るい笑顔で学を誘った。
「うん……」と学は思わず頷く。

しかし、すぐにあることが気にかかった。

学は、七夕の夜空に輝く天の川を一度も見たことがない。

七夕の頃は、梅雨時で毎年雨か曇った日ばかりだ。

ジスフィアから来たばかりの星はそれを知らない。
天気予報をチェックしたが、一週間後の予報はやはり『曇り』だった。
そのことを星に伝えようと思う学だったが、その後も結局言えずじまいだった。
心から楽しみしている星を見ていると、学はどうしても気が引けてしまう。

星には、子どもの頃、幼馴染と過ごした年に一度の星を見ながら願う日の思い出があった。
ジスフィアの天の川を眺め、短冊に願いを書いた。

学と同じことをしたいのだと、星は手作りの短冊を無邪気な笑顔で渡した。

『七夕までにお願い考えててね』
それから七夕の日まで、学は事あるごとに天気予報をチェックした。
しかし、予報が晴れに変わることはなかった。

七夕の夜。
空は分厚い雲に覆われ、天の川どころか月も見えなかった。

星のガッカリする姿は見たくない――
と、憂鬱に思いながら学は、街外れの小高い丘へと向かった。
そこで天の川を見る約束をしていたのだ。
丘につくと、ポツンと小さな背中が見えた。

星がすでに待っていた。

学は恐る恐る星の顔を覗き込む。そこには目を輝かせている星の笑顔があった。
『すっごいキレイ!』
星が興奮しているのは、ナイエン区の煌びやかな夜景だった。
初めて見る都会の夜景は、星には天の川のように見えていた。
満足そうにしている星に、学はホッと胸を撫で下ろし、手に持っていた短冊を見つめた。
星と天の川が見られますように――

短冊にはそう書かれていた。

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