
東京新宿にある寄席。志ん生は晩年まで、高座に上がり続けました。創業者のお孫さんである林 美也子さんは、今でも志ん生のことを覚えています。
林さん
志ん生さんは、柱を背にして、寄りかかるようにして、必ずここにお座りになっていました。ここに座る方は特別な方で、お弟子さんたちはもう、できるだけ遠くにという感じで。今ここは、永久欠番みたいになっているんじゃないでしょうか。
志ん生の代表作のひとつ「富久」。富くじと火事をテーマに、太鼓持ちである久蔵が芝と浅草を駆け巡ります。
「火事だ火事だ火事だ! 誰も駆け出してねえ、俺ひとりだけ駆け出してやがる。おーい、火事はどこだあ」(5代目古今亭志ん生「富久」より)
戦後、74歳で紫綬褒章を受賞した志ん生は、富久などの古典落語について語っています。
志ん生
私はちょうど日露戦争の時に噺家になって、何年も何年もたったので、下手ながらもこういう噺がやれるんですがね。それがつまり噺の、その人間の値打ちですね。
破天荒な噺家の名は、今も落語の世界に刻まれています。
演出 山崎エマ/西口友人プロデュース 橋本佳子