もう数年前、学生だったときに自分が通っていた大学がドラマのロケ地に選ばれて、撮影のエキストラを学内で募集していた。
興味本位から自分もエキストラに応募した。当日は一般学生の使用を禁止し、いつものキャンバスに撮影スタッフが大勢来ていて、なんだかドキドキした。
エキストラはキャンバスの中の通行人役で、シーンに合わせて何度も同じことをやる必要があり、思った以上に大変だった。撮影が4時間ほどすぎ、小休止の時間がとられた。自分は喫煙者だったので、近くの喫煙所に行った。喫煙所にはすでに1人の男性がタバコを吸っていた。
「いやー、撮影って大変ですね」
「よくエキストラには参加するんですか?」
「いえ、エキストラではないのですが、ドラマの仕事をしています」
「へー、そうなんですね」
そんなたわいもない話をし、休憩時間が終わったので撮影の場所に戻った。
すると、撮影を遠くの方から見ていた女性たちが、さっきの男性に向かって「旬くーん!」と黄色い声援を送っているではないか。男性もそれに手を振って応えている。
あとからわかったのだが、その男性は小栗旬という当時からして大人気の俳優だった。自分は日本のドラマを全く見ないので知らなかったのだ。
それを知ってから、なんて失礼なことを話しかけたのだろうと恥ずかしくなった。けれども、同時にとても好感度が上がった。失礼なことを言う自分に対し、何のおごりも見せずに丁寧に対応していた小栗旬さん。今ではとても好きな俳優の一人です。
小栗旬、喫煙者かよ。ファンやめたわ。