東京2020 祝祭の風景
アスリートや市井の人々の思いに耳を傾けながら、この国の風景を見直す
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【社会】「無国籍男性は難民」 東京高裁判決 国不認定、取り消し一九九一年の旧ソ連崩壊に伴い、無国籍になったジョージア(グルジア)生まれの男性(52)が、難民と認めるよう求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は二十九日、難民認定しなかった国の処分を「違法」として取り消した。 野山宏裁判長は「男性が過去にジョージアで受けた民族差別による迫害の恐怖は、現在も継続している」と指摘。男性はジョージアに帰ることを望んでおらず、難民に該当すると判断した。国の退去強制命令についても、男性が無国籍者であり、受け入れを見込める国がないことを考慮し「発令すれば、地球上で行き場を失うことは明白だ」とし、無効とした。一審東京地裁は請求を全面的に退けていた。 判決によると、男性はアルメニア民族で、旧ソ連崩壊後、ジョージア政府の政策により、生活基盤を破壊され、生存の危機に追いやられる迫害を受けた。ジョージアを出国して欧州各国を転々としたが、新たな国籍は取得できず、二〇一〇年五月、日本に入国。難民申請をしたが、認められなかった。 男性は判決後、記者会見で「長い苦しみが終わった。これでようやく自分の将来について考えられる。働いたり、医療を受けたりしたい」と話した。出入国在留管理庁は「判決内容を十分に精査し、適切に対応したい」とコメントした。 PR情報
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