ほぼ日刊イトイ新聞

2020-01-30

糸井重里が毎日書くエッセイのようなもの今日のダーリン

・ときどき、けっこう長い時間、
 インターネットにつながってないことがあります。
 テレビも見ないし、もちろん雑誌も読んでない。
 新聞だけ、さらっと読んでいるくらいかな。
 それで、なにか特別に困ったことにはなりません。
 いわゆる芸能ネタだとか、貶め合いだとかのことは、
 ネットを見てないと「そうだったの」というくらい
 知らないままに一日が過ぎます。

 どれくらいの時間、ネットにつながっているか。
 ほんとうは、それもじぶんで選べるはずです。
 だけど、なんとなくのイメージですが、
 ふだんのぼくは、ひっきりなしにつながっているみたい。

 ちょっとね、あれに似ていると思ったのです、
 チェーン・スモーキングってやつ。 
 ひっきりなしにタバコを吸っている状態。
 ぼくはけっこう長いことそうでしたから、
 いまでもよく覚えているのですが、
 タバコを吸ってないと落ち着かないのでした。
 ニコチン中毒です、つまりタバコ依存症。
 タバコを吸うことをやめたら、
 もともと吸っていた時間は、どうしていればいいのか? 
 ほんとうにわからなかったのです。
 そして、いざ喫煙をやめてみたら、
 「どうしていればいいのか」考えることもなかった。
 ただ、吸ってないというだけのことでした。

 タバコの中毒の話だと、ちょっと苦い思い出ですが、
 インターネットについても、実はそっくりですよね。
 たえずネットにつながっていて、知り合いの人が、
 世の中のだれかが、世界のなにかが、
 動いている状態を見たり知ったりしようとしている。
 「あんたが見てなきゃ、世界かあんたが滅びるのかい」
 と質問したくなるような真剣さで見ていたりもする。
 ぼく自身については、中毒の一歩手前くらいかな。
 でも、かなりの依存症になっていると自覚してます。
 今日をきっかけにして、
 「ぼくが知ってなくても、世の中は動いている」と、
 じぶんに、言い聞かせてやろうと思います。 

今日も、「ほぼ日」に来てくれてありがとうございます。
それより、ぼくらの仕事が世界を1ミリうれしくしたか?


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