2020年01月30日
【会議HACKS!?】『SUPER MTG スーパー・ミーティング』スティーヴン・G・ロゲルバーグ
SUPER MTG スーパー・ミーティング
【本の概要】
◆今日ご紹介するのは、先日の「未読本・気になる本」の記事の中でも人気だったミーティング本。「ビジネスインサイダー『誰もが読むべき14のビジネス書』」や「ワシントンポスト『誰もが読むべき10のリーダーシップ本』」に選出されているそうですから、そのクオリティはかなりのものだと思います。
アマゾンの内容紹介から一部引用。
どうすれば「必要悪」とされる会議が生産性の高いミーティングに変わるのか―世界で最もミーティングを研究した学者が会議に科学的メスを入れた快著!
なお、中古がやや値下がりしていますから、1割引きのKindle版がオススメです!
Bored Meeting / Myk Martinez
【ポイント】
■1.適正時間から5~10%短くするあるミーティングに最適と思われる時間を割り出し、さらにそこから5~10%短くすると、ほどよい緊張感を生むストレスを与えることができると考えられる。出席者は集中力が高まり、より真剣に取り組むようになるだろう。
もし可能であれば、通常は60分のミーティングを、試しに50分まで短くしてみよう。通常が30分であるなら、25分にしてみる。(中略)
(Googleの)創業者のラリー・ペイジは、2011年にCEOに就任すると、真っ先にした仕事の1つが、社員にあてて「ミーティングとミーティングの間にトイレ休憩を入れるべきだ」というメモを出したことだという。
そのメモをきっかけに、グーグルでは「50/25ルール」が導入された。これは、1時間のミーティングを50分に、30分のミーティングを25分にそれぞれ短縮するという意味だ。
■2.リーダーを「複数の人間」で回す
ミーティングの議題ごとに責任者を割り当てるという手法は、多くの組織で活用されている。なかでも有名なのはアップルだろう。アップルでは、この手法を「DRI」(directly responsible individualの頭文字。直接的な責任がある個人という意味)と呼び、ミーティングの標準的な手法として採用している。それぞれの議題ごとにDRIが決まっていて、誰がどの議題のDRIであるかはメンバーの全員が知っている。
また、DRIの制度には、責任者を明確にすること以外にも様々な効果がある。たとえば、(1)出席者の「当事者意識」が高まる、(2)個々のメンバーが「ミーティングを率いるスキル」を磨くことができる、(3)様々な人がリーダーを務めることでミーティングの内容が「刺激的」になる、といったことだ。
■3.必要最低限の人数を呼ぶ
ミーティングに関する研究も、この種のルールをいくつか提案している。
たとえば、「8─18─1800ルール」。これは、問題解決や意思決定が目的のミーティングは8人まで、ブレインストーミングは18人まで、そして単なる情報伝達や連帯感を高めるための集まりなら1800人かそれ以上出席できるという意味になる。
それに加えて、凄腕のフリーコンサルタントで、ミーティングの問題にも詳しいジョン・ケロは、少人数グループの有効性に関する社会学の研究を参考に「7人ルール」を提唱している。
私も「7人」という数字に賛成だ。意思決定と問題解決が目的であるなら、適正人数は7人かそれ以下だと考えている。リーダーの仕切り能力が高いなら、8人から12人まで増やすことは可能だろう。「アイデアを生む」「アジェンダを構築する」「ハドルを行う」という目的なら、15人以下が適正人数だ。
いずれにせよ、リーダーの心得として覚えておきたいのは、ミーティングの目的に照らし合わせて「必要最小限の人を呼ぶ」ということだ。
■4.座ると会議が「34%」長くなる
ミズーリ大学教授のアレン・ブルードーンは、同僚たちと共同で、立つミーティングと座るミーティングを比較するという実験を行った。 被験者を集め、5人グループのミーティングを100回行い、その結果を検証する。ミーティングの質に変化はなかったが、座るミーティングは、立つミーティングに比べ、時間が34%長くなったという。
つまり、ただ立ち上がるだけで、ミーティングの質を維持しながら、時間を大幅に短縮できるということだ。それに、出席者の満足度も高かった。
セントルイス・ワシントン大学で教える2人の研究者、アンドリュー・ナイトとマーカス・ベアは、3人から5人の小さなグループを対象にした調査を行った。(中略)
比較すると、立つグループは、全体的にお互いにより協力的で、自分のアイデアを惜しみなく提供し、他人のアイデアにもオープンで、かなり熱心に取り組んでいた。
これらの結果から、立つミーティングにはたしかに効果があり、ミーティングのリーダーなら積極的に取り入れていきたいことがわかる。
■5.ブレストより「ブレインライティング」
「ブレインライティング」とは、沈黙を活用してアイデアを生むことを目指す一連のテクニックの総称だ。
基本的には、ミーティングの出席者が、ある議題について自分の意見やアイデアを黙って紙に書くという形をとる。発言と違って全員が一斉にできるので、自分の順番を待つ必要がない。また、無記名にすれば、ある一定の匿名性も担保される。
ブレインライティングにも仕切る人は必要だが、必ずしもリーダーがその役をする必要はない。仕切り役の仕事はシンプルで、何を書くかという指示を出すことと、書いている間に誰も話さないように気をつけていることだけだ。(中略)
ある調査によると、ブレインライティングを行ったミーティングは、普通のブレインストーミングを行ったミーティングに比べ、アイデアの総量が20%多く、独創的なアイデアに限れば42%も多かったという。
【感想】
◆今回はハイライトを引きまくっただけに、どの部分をポイントとして抜き出すか非常に迷いました。普段なら、各章から1つ「ここぞ!」と思う部分をまず選ぶことが多いのですが、本書は章も全部で11もあり、半分以上カットせざるを得ず。
さっそく見ていくと、まず第1部の「科学が暴くミーティングの真実」に属する最初の2つの章は、現在のミーティングにおける問題点を、エビデンスベースで解説しています。
ここを読む限り、とにかくお金も時間も膨大にロスしているらしいのですが、ある程度は実感している方も多いでしょうから、とりあえずこちらは本書にてご確認いただければ、と。
一方、第2部に属する第3章以降では、各テーマごとに具体的な改善策が提示されていますから、上記ポイントもすべて第3章以降から選ぶことにしました。
◆まずポイントの1番目の「時間」については、第4章からのもの。
「50/25ルール」は、私は知りませんでしたが、Googleが採用しているだけに、実際に生産性が高まり、また次の会議がある場合にも遅れないで済むのだそうです。
この第4章ではさらに10~15分で行われる「ハドル」というミニマムな会議も登場。
具体的な特徴については本書を見ていただくとして、基本的には「毎日」「同じ出席者で」行われるようですから、「顔合わせ」が主たる目的のようです。
続く第5章からは、上記ポイントの2番目を抜き出しました。
なるほど、複数の人間がリーダーになれば、確かに「自分ごと」として考えられそうな。
◆さらに第6章では、「適正人数」について言及。
上記ポイントの3番目にあるように、「適正人数は7人かそれ以下」なのですが、逆に呼ばれなかった人の中には、疎外感を持つ人も当然出てくるでしょう。
そこでオススメなのが、「ミーティングには出席しなかったが、それでも議題になったことに何らかの形で関わっているすべての人に議事録を配る」というTIPS。
他にも本書では、こういう人に「会議に出なくてもいいよ」と伝える際のメールの例文があるのですが、これがまた気遣いしまくりで、「目からウロコ」でした。
また、第7章からは、上記ポイントの4番目の「立つ会議」のメリットをセレクト。
本書では立つどころか「歩くミーティング」も推奨されており、これはジョブズを筆頭に、Facebookのザッカーバーグやオバマ元大統領でもおなじみかもしれません。
もっとも「どんなに多くても4人まで」という制約がありますから、テーマやメンバー次第でしょうね。
◆さらに第9章からは、上記ポイントの5番目の「ブレインライティング」を。
確かに別の本でも、ブレストが意外と生産性が高くないことは指摘されていましたが、特に日本人ならこの「ブレインライティング」の方が効果は高そうです。
本書では「ブレインライティング」のさまざまな方法が紹介されていますので、ぜひこちらもご覧ください。
ちなみにこの9章では、会議の資料を事前に読まずに、当日時間を取って読むことが推奨されていました。
出席者は、事前に資料を読む必要はない。読むこともミーティングの一部だからだ。会議で集まって、皆で黙って資料を読む、という手法は考えたことがありませんでしたが、こちらも検討する価値がありそうな。
ベゾスをはじめアマゾンの幹部は、社員はみな忙しく、ミーティングの準備に時間を取れないことをよく知っている。資料を読むこともミーティングの一部にすれば、出席者の全員が同じ体験を共有することができる。
そして何よりも重要なのは、すべての人が資料をきちんと読んだ状態で話し合いを始められることだ。こうすれば、ミーティングの準備をしない人への批判や不満もなくなるだろう。
◆一方第10章は電話会議のノウハウなので、これは日本ではまだ早いかな、と。
強調されていたのが、音声だけだと非常に難しいということで、いずれはテレビ会議が主流となっていくのでしょう。
そして最後の第11章は「補論」という位置づけなのですが、実はここを通して読むと、本書の大まかな流れや主張が読み取れるので、もし書店でチラ読みされるなら、こちらがオススメです。
加えて巻末には「ツール」と題した、さまざまなリストやサンプルを収録。
こちらも本文と合わせてご確認いただき、必要に応じて活用してください。
会議を行うすべての人が読むべき1冊!
SUPER MTG スーパー・ミーティング
◇第1部 科学が暴くミーティングの真実
1章 「ミーティングが多すぎる」
2章 ないと「ない」で問題
◇第2部 ミーティングをアップグレードする
3章 仕切り役に起きる「妄想」
4章 48分間のミーティング
5章 アジェンダ神話
6章 「人数」の科学
7章 「マンネリ化」は不可避?
8章 「感情」が空気感染する
9章 話し合いパラドックス
10章 電話会議狂騒曲
11章 スーパー・ミーティングの補論
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【論理的?】『会議&打ち合わせの時間を半分にする 論理的な伝え方』太田芳徳(2015年03月21日)
【会議術】『次の会議までに読んでおくように! ~モダンミーティング7つの原則』アル・ピタンパリ(2013年02月26日)
【編集後記】
◆本日の「Kindle日替わりセール」から。問題解決に効く 「行為のデザイン」思考法
当ブログでもご紹介済みのデザイン思考本は、中古が値崩れしていますが、「70%OFF」という激安設定のおかげでKindle版がお得に。
参考記事:【デザイン思考】『問題解決に効く 「行為のデザイン」思考法』村田智明(2017年07月29日)
教養としてのロック名盤ベスト100 (光文社新書)
お好きな方なら食指が動きそうな新書は、送料を考えると中古よりもKindle版がお得な計算です。
【編集後記2】
◆昨日の「自己啓発書フェア」の追加分の記事にて人気だったのは、この辺の作品でした!学び続ける理由 99の金言と考えるベンガク論。
[禅的]持たない生き方
すべては見方次第 小林正観さんから教わったこと (扶桑社BOOKS)
地域をまわって考えたこと
宜しければご参考まで!
ご声援ありがとうございました!
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