いだてん

IDATEN倶楽部

2019年526

日本女子体育の先駆け!
二階堂トクヨとシマを演じて

日本女子体育の発展に力を尽くした二階堂トクヨと教え子のシマ。英国留学を経て、女子体育に新風を吹き込むトクヨを演じる寺島しのぶさん、そして、東京女子高等師範学校で学びながら、女子“スポーツ”への前進を夢見るシマ役の杉咲 花さんに、役について、女子体育にかけるトクヨとシマの思いについてうかがいました。

《Theme1》役柄について

トクヨ先生はもともと文学少女で体が弱かったそうです。国語の教師を目指していましたが、体育を教えることになり、体操が健康につながると身をもって感じたんですね。そこからガラッと思考を変え「子どもを産み育てるために女性も体を動かすことが大切だ」という考えに至ったようです。ですから、主張がきちんとしているんです。

とても男勝りな方ですが、当時、男性と肩を並べて自分の考えを主張しようとすると、どうしても強さが必要だったのではないかと思います。資料を読んでもとてもおもしろい方で、そこに宮藤官九郎さんのセリフがハマって、登場シーンはインパクトのあるものになったと思います。前半戦はどなってばかりでしたが、演じていて爽快でした(笑)。
シマをどう演じていくかのイメージをつかめたのは、三島家での初登場シーンです。私自身の撮影初日でもありました。長回しでの撮影で、どこを撮られているのかわからなかったのですが、天狗倶楽部の「TNG」の動きをマネしたカットが採用されていて、結構わんぱくな人なんだなって(笑)。そこから少しずつシマの人物像をつかみ取ってきた感じです。 ちゃんと人の気持ちを考えられる人なので、相手を思いやるあまり自分のことをおろそかにしてしまうような不器用さがある一方、いい意味でも悪い意味でも、のめり込むとそればっかりになってしまうところもあって…。歯止めが効かなくなるので、急に声を張り上げる場面も(笑)。感情の起伏が激しく、好奇心旺盛な人だなと感じています。

《Theme2》影響を受けた人物

永井道明役の杉本哲太さんとは共演率が非常に高くて、今回もやりやすかったです。「永井先生はトクヨのことを好きだったんじゃないかな。そういう部分も出せたらいいね」と話したりしました。それなのに留学させたトクヨから「あなたはもう古い!」と言われてしまうんです。

時代の流れとともに何を取り入れていくのか、皆が試行錯誤している時代なので、トクヨも最初は肋木ろくぼくをやっていたのに、ダンスを踊り始めたりと変化がめまぐるしかったですね。この辺りの撮影はかなり楽しませていただきました。しかも、帰国後のトクヨのセリフには接続詞がなかったりと設定が細かくて、さすが宮藤官九郎さんの脚本だなと演じていて得した気分でした。
シマがスポーツに目覚めるきっかけを作ったのは弥彦さんと四三さんの2人。もともと興味はあったけれど、2人がエネルギッシュに過ごしている姿を間近で見るうちに、単なる憧れが行動につながったのだと思います。ですから、2人はシマの夢を開花させてくれた存在です。 東京女子高等師範での恩師・トクヨ先生については、当初、シマ以上にパワフルで頑固な人が現れたなという印象でした。それまで女性があまり出てこなかったので、すごく楽しみに現場に行ったら想像以上の迫力で圧倒されてしまって! 私自身も必死に演じさせていただきました。

《Theme3》女子体育への思い

トクヨさんはのちに二階堂体操塾(現・日本女子体育大学)を創設し、女子のオリンピック選手を世に送り出した方です。きっとこの時代にはめずらしく男女平等をうたい、女子体育を推進していったのではないでしょうか。自分の人生をおざなりにしてまでも、その目標に向かって生きた強い意志と使命感を持った女性。女子スポーツのパイオニアとして、一時代を築いたことからも、すごく勇気のある方だったのだと思っています。
シマのなかには「ただただスポーツがやりたい」というまっすぐな思いがあって、ブレることがないんです。ですから、私自身も演じるうえで迷いがないですね。 女子スポーツに関しては、シマを演じるようになってから発見だらけです。女子スポーツが日本で認知されていない時代に、スポーツに情熱を傾けたシマのような人たちの思いが今につながっているんだなと感じます。

《Theme4》ここが見どころ!

男勝りな物言いの裏側はとってもウブで乙女なトクヨ。恋愛に疎く妄想が激しいのかなと思います(笑)。野口先生に勝手にほの字になって盛り上がっちゃって、失神するシーンもあります。でも本人の前では「言語道断!」と罵倒してしまうんですよね。

実はトクヨの恋には全く伏線がなくて困りました(苦笑)。ちょいちょい野口先生役の永山絢斗さんに視線を送ってみたのですが、その表情が編集の段階で選ばれているかどうかわかりません。いつもどなりつけているのだけど、きっとこのシーンで一目ぼれしたんだろうと、自分なりに解釈して演じていました。
走るシーンは事前にトレーニングをしましたが、難しかったですね。四三さんのように、手を後ろに振るのが当時のスタイルだそうですが、ふだんの私は足首を動かしてバネのように走っている状態。昔の人の走り方を教えていただきながら再現したら、すごい筋肉痛になってしまいました(苦笑)。「スッスッハッハッ」という呼吸法にもチャレンジしたものの、慣れていないからかこれも難しくて…。 これからはシマやトクヨ先生のほかにもスポーツにまい進する女子が登場します。そしてシマも新たなステージへ。私も皆さんとリラックスして楽しく演じていますので、ぜひご覧ください!

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