「金栗さんは走ることしか考えてない、本当に“とつけむにゃあ”人」(中村)
「田畑さんは、ずっとしゃべってる。こんなキャラクターなかなかいないでしょ(笑)」(阿部)
中村勘九郎(以下:中村):金栗さんは本当に人間くさい人なんです。誰もが思い描くような偉人ではないかもしれないですけど、熊本弁でいえば、本当に“とつけむにゃあ”(※1)人だと思います。走ることしか頭になくて、とにかく一途なんですよね。周囲のみんなから支えられて、本人はマラソンの事しか考えていないという人です。
阿部サダヲ(以下:阿部):逆に、田畑さんは言葉で攻めていくタイプで、すごく頭の回転が速い! でも、ちょっと常識外れなところもあるんですよね。
中村:まずセリフ量が違いますからね! 僕はほとんど走ってるばっかりですけど、僕の3倍ぐらいしゃべってる感じですよね。
阿部:金栗さんは独特の呼吸法があるけど、僕は呼吸を忘れてしゃべり続けてる。それで息切れしてしまうっていうシーンもあるぐらいですから。こんなキャラ、なかなかいないでしょ!
中村:でも、お二人とも不思議とみんなから愛されてますよね。
阿部:そうそう。迷惑ばっかりかけてるのに(笑)。
※1 とつけむにゃあ=熊本弁で:とんでもないなどの意味を指す言葉
「いつの時代もオリンピックに出場するアスリートはすごい」(中村)
「何がすごいかって、職業とか役職だとかの境界線がない」(阿部)
中村:撮影のときにいつも感じるのは、明治から大正時代にかけての衣装や髪型にすごくこだわってるんですよね。ごく一般的な庶民の服装なんかを見られるのも「いだてん」の魅力だと思います。
阿部:そういう点で言えば、田畑さんは大正から昭和をメインに活躍している。このころってまだ都会的な東京ができていない時代。劇中では、今の東京がどうやってできていくかを描くシーンがあるんですけど、再現された当時の首都高などを目の当たりにするとドキドキするんですよね。次の2020年に向けても、東京はどんどん変わっているし、視聴者の皆さんにも、ドキドキする感覚を共有していただけるのではないでしょうか。
中村:僕は、いつの時代でもオリンピックに出場するアスリートはすごいなって思うんですよ。こんなプレッシャーのなかで戦って、勝ち負けを競うんですから。僕は金栗さんを演じてみて、初めて“負けるのが悔しい”って感じました。
阿部:当時の人の何がすごいかって、職業とか役職だとかの境界線がない。田畑さんは記者なのに水泳の監督をやっていたりとか、政治家に直談判しに行ったりとかもしていて。目標や好きな事のために突き進んでいるんですよね。
「いい意味で視聴者の期待を裏切っていきたい」(中村)
「大河でもこんなに笑えるんだって思ってもらえたらいいですね」(阿部)
阿部:今回も、宮藤さんらしい脚本ですよね。当時のドラマと落語をリンクさせるっていう発想はさすがだなって思いました。最終回の、落語でいう“サゲ(いわゆるオチのこと)”がどうなるのか今から期待しているんですよ。
中村:それは僕も思います。脚本を読んでいて、最後の“サゲ”がどういう展開になるのか気になってます。明治から昭和にかけての物語を、時空も飛び越えて描いてますし、普通の人が書いたらごちゃごちゃになっちゃうのにしっかりと筋が通っていて。自分が出演している、していないに関係なく、これは本当におもしろい作品だと思います。前後半で主役のキャラがまったく違いますしね。
阿部:そうそう。全然違いますよね! それにしても、お二人とも行動力がすごい。周囲が思わず“ウソでしょ?”ってツッコんでしまうぐらい。
中村:金栗さんも一途で情熱を持ってるんですけど、とにかく何でもやってみるタイプ。今では絶対にNGな練習法でも一度は試す。いや、本当に今までの大河とは何もかも違うんじゃないですか? いい意味で視聴者の期待を裏切っていきたいですね。
阿部:うん、変えたいっていうのはありますね。僕は日曜の8時に笑いを届けたいと思っています。ボケやツッコミではなく、登場する人々は必死になって頑張ってるんだけど、その真剣な姿には笑えるおかしさもあって。
中村:でも、歴史はしっかり追っているし、ちゃんと大河ではあるんですよね。
阿部:ストックホルムオリンピックも64年の東京オリンピックもそうですけど、みんなに希望を持ってもらいたいっていう思いがすごく強い。「いだてん」を見て、当時の人たちと同じ感覚を共有していただけたらいいなって思います。
まったく違う役どころながら、お互いに共通点も見いだしている“二人の主役”。いったいどのようにオリンピックに魅せられ、熱中するのでしょうか!? 二人の勇姿にご期待ください!!