
Litay/iStock
突然鳴り響く音は人の心を慄然とさせる。それが原因不明ならばなおのことだ。
古来よりミステリアスな音は伝説や怪奇談のインスピレーションの源泉であったが、好奇心旺盛な科学者たちの調査対象でもあった。
「
ブループ」と呼ばれた海中の低周波音波は、2005年に南極で生じる氷震が原因であるらしいことが突き止められたが、相変わらず原因不明の音はまだまだある。
ここで紹介するのは、そんなミステリアスな音の数々だ。それは一体どこから鳴り響いてくるのだろう?
謎の爆音、セネカガン(アメリカ、カナダ)
米ニューヨーク州セネカ湖やノースカロライナ州アウターバンクス、カナダなどでは、1世紀以上も謎の爆音が耳にされている。
それは窓を震わせ、衝撃でドアがしまってしまう大砲のような轟音で、地震との関連性が指摘されているが、つながりを示す直接的な証拠は見つかっていない。
また地震起因説以外にも、隕石、軍事行動、水中から弾けるメタンガスなども原因として疑われている。大砲のような音とは言っても、特に危険性はないようで、差し迫った問題というわけではない。
Seneca Guns, or Sonic Booms. You decide. Jan. 09, 2014 Canada
52ヘルツの鯨「世界でもっとも孤独なクジラ」
ソ連の潜水艦を盗聴するため1950年代に作られた水中聴音器に耳を傾けていた米国の科学者は奇妙な歌声を耳にした。1989年のことだ。
その音紋はシロナガスクジラかナガスクジラの鳴き声のものだったが、周波数はそれよりずっと高かった。クジラの鳴き声の周波数は15~25ヘルツ程度だが、問題の声は52ヘルツに達し、チューバのような低音であった。
発見者のウィリアム・ワトキンズはそれから12年も鳴き声を聞き続け、2004年に亡くなった。その後もいくどか聴取され、2014年以降は毎年確認されている。
これを発する音源がたったひとつで、他に類似するものもないことから、「世界でもっとも孤独なクジラ」と呼ばれている。
The 52 Hertz Whale
ロシアの短波放送「UVB-76」
ロシア国内から送信されてくる短波放送の名称で、単純なブザー音が繰り返されることから「
ザ・ブザー」とも呼ばれる。
似たような放送は、盗聴される恐れがある状況での通信手段として有効であるため、スパイのメッセージという説がある。
しかし確認済みのスパイ用放送に比べると単語や桁数が少ないため、イオン圏に電波を反射させ、太陽フレアを検出する科学プロジェクトなのではという説も。
さらにロシアが核攻撃を受けた際の反撃装置であるという面白い説もある。ブザーが鳴らなくなると、報復が自動的に発動するという仕掛けだ。
UVB-76 "PIANO MUSIC" (2012)
金属音、フォレスト・グローブ・シュリーク(アメリカ)
2016年2月、オレゴン州フォレスト・グローブで金属がキィキィと擦れるような音が1ヶ月も鳴り響き、住民を不安がらせた。
宇宙人起因説から電球燃焼説までさまざまな憶測が流れ、地元で暮らす物理学者までが苦情があった地点を地図に書き込み音源の特定を試みている。
警察も故障した屋根裏のファンやポンプが原因ではと捜査に乗り出したが、結局原因の特定にはいたっていない。
Mysterious Forest Grove noise puzzles neighbors
唸るような低音、ザ・ハム
アメリカ、イギリス、カナダ、ニュージーランドといった各地で、原因不明の唸るような低音ノイズが数十年間も報告されている。この怪音は「
ザ・ハム」と呼ばれている。
不思議なのは、中にはこれが聞こえない人もいることだ。ゆえに耳鳴りの一種なのではという説がある。しかしノイズを耳にした人たちで耳鳴りの症状が確認されたことはない。
仮に実際に存在する音なのだとしても、非常に曖昧なノイズで、原因を特定するためにどこから調査を始めればいいのかも分からない。
‘The Hum’: The Unexplained Noise 2% of People Can Hear
楽器のような音、鳴き砂
モンゴルのゴビ砂漠や米コロラド州グレート・サンド・デューンズ国立公園に行けば、不可思議な音が聞こえてくるかもしれない。
どこからともなく響いてくる低く唸るような音は、13世紀にはすでに勇敢な冒険者を恐れ慄かせていたようで、かのマルコ・ポーロが「あらゆる楽器の音」と喩えている。
はっきりはしないが、砂が雪崩のように滑り落ちたときに鳴っている可能性がある。砂丘をお尻で滑り降りて砂を崩落させた2012年の研究では、音に違いが生じるのは砂の粒子のサイズに起因するとの仮説が提唱されている。
Mystery Of Singing Sand Dunes Solved | Video
歌う巨像、メムノン(エジプト)
3500年前、ルクソールを流れるナイル川西岸に、アメンホテプ3世の葬祭殿を守る1対の「メムノンの巨像」が建立された。
奇妙なことに、その1体は夜明けになると歌を歌ったという。この現象を目撃しようと、当時メムノンの巨像は観光スポットにまでなっており、130年に訪問したローマの詩人ユリア・バルビラは、その音を「鐘の音」に喩えて詠い、それを石像の足に彫った。
残念なことにメムノンの声は、200年にセプティミウス・セウェルス帝が命じた修繕以降聞かれなくなってしまった。どうやら石像にできた亀裂に水滴がたまり、気温が上昇するにつれてこれが温められることで生じた振動が原因であると言われている。
悲しいことにこの音声を現在聞くことはできない。
References:popsci./ written by hiroching / edited by parumo
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コメント
1. 匿名処理班
+俺の耳鳴り
2. 匿名処理班
びっくりしたー
ブルートゥースでスマホ繋いでるの忘れてた
4. 匿名処理班
爆音は11秒~
めっちゃビビったわ
5. 匿名処理班
うーん、こういうのはワクワクするね。特にクジラの下りなんて好き。
無駄に世を騒がせる陰謀論とかは好きじゃないけれど、この種の知るべきとも知らざるべきとも迷う話は。
謎は謎のままに、幻想は幻想のままに。
7. 匿名処理班
近所でも轟音が急に発して窓ガラスが割れる被害が出たことあるが
こいつも原因不明でTVでも放映したぜ
8. 匿名処理班
・オバハンの自転車特有のブレーキ音
・マクドのポテト音の作曲者の名前
・ナイトスクープのオチの音の曲名
・プリウスのエンジンを切った後の
謎のトランスフォーム音
・アメコミの擬音の読み方
・緑茶のペットボトルを半端にしめると
謎のカタカタ音にイラつかされる。
・UFOやきそばのために開発された流し台のBGM
9. 匿名処理班
セネカガンとか、本当に大砲(空砲)撃ってて、昔からの住人は知ってるけど新しく越してきた住人が知らないだけ、とかだったら面白そう
10. 匿名処理班
ザ・ブザーは毛色がちがうような。
ソ連の深深度の地下掘削計画で録音された地獄の声はどうなったんだろう?