NEWS / HEADLINE - 2020.1.30

東博など国立3博物館、入館料を値上げへ。「ランニング・コストも賄えない」

東京国立博物館、京都国立博物館、奈良国立博物館の3館は、今年4月1日より常設展(平常展・名品展)の料金を値上げすると発表した。

東京国立博物館

 日本を代表する博物館である東京国立博物館(以下、東博)、京都国立博物館奈良国立博物館の3館が、4月1日より常設展(平常展)の料金を値上げすることを発表した。

 東博は一般620円を1000円に、大学生410円を500円に値上げ。値上げ幅は最大380円となる。また京都国立博物館と奈良国立博物館は、現行の一般520円を700円に、大学生260円を350円に改定。これまで存在していた団体料金は、3館すべてで一般・大学生ともに廃止される。

 気になるのはその理由だ。東博は、総合文化展(常設展)の来館者数が急増しているいっぽう、現在の観覧料では来館者一人当たりの直接的なランニング・コストも賄えていないという。「今回の改定は、東博がこの重大な使命を将来にわたって持続的人果たすことができるよう、国による支援に加えて、来館者の皆様にも一層のご支援をお願いするものです」としており、値上げによって文化財の修復や展示室リニュアルを含む鑑賞環境の整備など、これまで実現できなかった事業を推進したい考えだ。

 また京都国立博物館も「近年の人件費や物価の上昇もあり、光熱水費、館内案内、環境整備、設備維持などの来館者の皆様に直接関わるランニング・コストが、文化財の収集保管、保存環境維持など博物館の本来業務である経費を圧迫しております」とており、国立博物館を取り巻く厳しい状況を訴える。

 入館料をめぐっては、2017年に東京国立近代美術館など5つの国立美術館を運営する独立行政法人国立美術館が所蔵作品展(常設展)の観覧料を値上げしている。

 なお、博物館法第23条(入館料等)では、次のように定められている。「公立博物館は、入館料その他博物館資料の利用に対する対価を徴収してはならない。但し、博物館の維持運営のためにやむを得ない事情のある場合は、必要な対価を徴収することができる」。

EDITOR'S PICK

前へ
次へ
NEWS / HEADLINE - 2020.1.30

新型コロナウイルスの蔓延で中国・香港全土の文化機関が休館。アート・バーゼル香港はどうなる?

新型コロナウイルスによる肺炎が世界に拡大するなか、中国本土路線の運航便数が激減し、中国全国の文化機関が休館している。このような状況のなか、3月に予定されているアジア最大級のアートフェア「アート・バーゼル香港」は無事開催されるのか?

北京故宮博物院 出典=ウィキメディア・コモンズ

 中国本土で7700人以上(1月30日時点)の感染者が確認され、世界中に蔓延している新型コロナウイルスによる肺炎。その影響で、香港とマカオを含め、中国国内の美術館や文化機関の休館も続々と拡大している。

 北京故宮博物院(紫禁城)や中国国家博物館をはじめ、中国の国立博物館と美術館は無期限に休館すると発表。中国の春節連休に入っている公立や私設美術館の多くも、再開の延期を発表した。加えて、ピエール・ド・ムーロンや艾未未らが設計した北京国家体育場や、万里の長城、そして上海ディズニーランドなど、大勢の人が訪れる観光地も一時的に閉鎖されている。

 いっぽう、香港では今週から、博物館、美術館、競技場など公共の集まる場所は無期限に閉鎖。また、香港政府は鉄道や航路による中国湖北省からの入境を禁止し、中国人の個人や団体観光ビザの発行も停止している。香港の航空最大手キャセイパシフィック航空は、傘下のキャセイドラゴン航空とともに中国本土路線の運航便数を50%以上削減し、武漢空港の発着便を3月末まで欠航にしている。

アート・バーゼル香港2019の様子 © Art Basel

 これらの状況は、中国本土をはじめとする海外からの顧客に大きく依存しているアート・バーゼル香港にもさらなる影を落とすだろう。

 昨年6月以来、香港では大規模デモが多発し、政治的緊張が高まっている。「artnet」の報道によると、本月、SCAI THE BATHHOUSEやルクセンブルク&ダヤン、タイラー・ローリンズ・ファイン・アートはアート・バーゼル香港に出展のキャンセルを申し出たという。また、リッソン・ギャラリーやレビー・ゴルビー・ギャラリー、Blum & Poeなど24のギャラリーは、来場者の減少と表現の自由への懸念が高まるなか、同フェアに出展料の50パーセントディスカウントを要求した。

 アート・バーゼルは先週、美術手帖の取材に対し、新型肺炎が「3月のフェアに影響がおよぶとは思わない」とコメントを寄せている。同フェアは無事開催されるのか、状況を注視したい。