熟年離婚のデメリット(男性編)
憧れだった熟年離婚について勇気を持って前向きに進まれている男性の皆さま、せっかくの決意に水を差すわけではありませんが、いま一度、熟年離婚のデメリットについてもここで考えてみましょう。あなたが見落としていたことがあるかもしれません。
男性にとっての熟年離婚のデメリットとしては、次のようなことが考えられます。
1. 職場によっては、「家庭生活管理不適格者」の烙印を押される。
2. 日常の家事の重みがのしかかってくる。特にお料理の苦手な男性は大変です。
3. 最低限の近所づき合いを妻にかわってこなすのも大変なら、近所の好奇の眼差しとも戦わなければならない。
4. 妻に財産や年金を分けてしまったため、結構節約しなければ暮らしていけない。
5. 子どもが妻の味方で、自分は一人ぼっちになってしまった。
6. 病気のときが心細い。孤独死を恐れる。
熟年離婚を決断すれば、「一人でいることの自由」と引き替えに「孤独」も必ずついて回ります。デメリットを考えて不安になるのなら、一度夫婦で別々に旅行に出かけるなどしてみて、お互いの存在感価値を改めて確かめ合ってみるのもよいことではないでしょうか。
特に、この6番については注意が必要です。成人した子どもたちは大人の事情もわかってくれるだろうとのんきに構えていると、思わぬところで足をすくわれます。相談の段階ではあなたの立場に好意的と見えた子どもが、実際に熟年離婚を決断すると完全に妻の側に立ってしまったという話もよく耳にするのが現実なのです。
こんなことにならないためには、自身で離婚問題専門の弁護士に相談することはもちろん、弁護士経由で子どもの意見を収集してみるのもよいことでしょう。子どもの立場からすると、両親にそれぞれ幸せになってほしい、けれども両親の熟年離婚によって自分に介護の負担がのしかかってくるのではないか、その上、残してもらえる財産は大幅に減ってしまうのではないかと複雑な気持ちを持つものです。財産問題は、多くても少なくても平均的な額であっても起こるのが常です。つまり、上手に持っていかなければ必ず火種となります。
ある程度協議が進んでからは、妻はもちろん子どもも同席して、弁護士の主導で話し合いの場を設けてみるのもよいことです。
2018年3月6日
熟年離婚のメリット(男性編)
長寿命化が進むにつれて、熟年離婚について検討をされる男性も増えているようです。それでは、老後の人生をより実り多いものにするための1つの手段として、男性側から見た熟年離婚のメリットについて一緒に考えてみましょう。女性にとっても、夫がどんなことを考えているかについて参考になることもあると思います。
男性にとっての熟年離婚のメリットは、主として次のようなことではないでしょうか。
1. 口うるさい妻の小言を聞かなくて済む。
2. おしゃべりな妻の話を毎日聞かされなくて済む。
3. 食事や入浴の時間など、生活上の細々した妻の指示に従わなくて済む。
4. 趣味や自分の楽しみのためにいくらお金を使おうが、妻に文句を言われなくて済む。
5. 妻に遠慮せず友人と家飲みなどができるようになる。
6. 妻が嫌がったために飼えなかったペットを新たに飼えるようになる。
7. 妻の親戚との面倒なつき合いから解放される。
こうして並べてみると、あなたはまさに「自由」を欲していたのだということがわかります。
しかし、この自由を手に入れるためには、1つの通過点があります。それは妻への財産分与、場合によっては慰謝料の支払いです。仮に妻に経済力があったとしても、もしもあなたが有責配偶者の立場なら、いくばくかの支払いは免れません。協議の中には年金の分割というテーマも含まれてくるでしょう。
こういったお金のことについては、専門家である弁護士に相談するのが一番です。ただ自分で大ざっぱな計算をしていても、現実は前へは進みません。熟慮の結果、熟年離婚はしないという結論になるなら、それもそれでいいのです。まずは、「お金」というもっとも現実的なことについて弁護士を交えていろいろと話し合ってみましょう。
離婚問題を専門に扱う弁護士は、実にさまざまなケースを見てきています。あなたとよく似たケースを扱った経験もあることでしょう。自分が見落としていた盲点について注意喚起をしてくれることもあるでしょうし、妻の視点から見たこの問題についての解説もしてくれるでしょう。弁護士はそういう仕事なのですから、何も恥ずかしがる必要はありません。思い切って一度でも相談してみることをぜひおすすめします。
2018年3月6日
熟年離婚のデメリット(女性編)
今、熟年離婚についてお考えの女性の皆さまは、もちろん熟年離婚のデメリットについてもよくお考えのことと思います。けれども見落としがあるといけませんので、もう一度ここで改めてお考えになってみませんか?
熟年離婚のデメリットには、おおむね以下のようなものがあります。
1. 自分に経済力がなければ、遅かれ早かれ金銭面の不安を抱えることになる。
十分な財産分与や、場合によっては慰謝料を受け取ったつもりでいて、後になってそれが十分ではなかったと気づいても遅いのです。
2. 健康を害したときに看病してくれる人もいなくなる。
この点については、もともとそんなことを期待できなかった相手と別れる場合は関係ないでしょう。
3. 近所から詮索されたりして、今までのところに住みづらくなる。
4. 友人から詮索されたりして、友人づきあいが楽しくなくなる。
5. 自分の親戚から詮索されたりして、親戚づきあいがうっとうしくなる。
詮索や批判をうまくかわせる場合はいいですが、そうでない方の場合は、結婚生活には存在しなかった別のストレスが新たに生まれる結果となってしまいます。熟年離婚を決心するためには、強い心を持つことが必要ですね。
親戚といえば、逆のこういうパターンもあります。
6. 夫方の親戚で仲のよかった人とつきあいにくくなってしまう。
これも悲しいことです。いずにせよ、熟年離婚によってあなたの生活は激変します。まずは信頼できる弁護士に相談し、特に金銭面についてはさまざまなシミュレーションをしてみることが必要です。
なお、当然のことですが弁護士に相談するときには、一切の見栄を捨てることです。依頼者が正しい情報を伝えなければ、当然のことながら弁護士のアドバイスも不適当なものとなってしまうからです。後になって真実を伝えるのでは、お互いにとって二度手間になります。速やかに問題を整理し、一日も早い解決を目指すならば、弁護士に対する適切な相談の仕方もぜひ身につける必要があります。
2018年3月6日
熟年離婚のメリット(女性編)
今回は、熟年離婚をお考えの女性の皆さまと一緒に、「熟年離婚にメリットはあるのか?」「あるとすれば、それはどういうことか?」について考えてみたいと思います。
熟年離婚のメリットは、ぱっと思いつくだけでも以下のとおりたくさんあります。
1. 夫のために毎日食事をつくらなくて済む。
2. 夫のつまらない話を毎日聞かされなくて済む。
3. 夫の夕食の時間を気にせず出かけられるようになる。
4. 夫に気兼ねせず友達を家に招けるようになる。
5. 夫が渋ったために飼えなかったペットを新たに飼えるようになる。
6. 夫の親戚と面倒なつき合いをせずに済む。
7. 夫の家の墓に入らなくて済む。
要はひとことで言って、長かった結婚生活の間には得られなかった「自由」が得られるということに尽きるでしょう。一つ一つの事柄は些細なことかもしれませんが、些細なことの積み重ねが「生活」であり、毎日の「生活」の積み重ねが「人生」です。先の見えてきた自分自身の「人生」と真摯に向き合うためにも、熟年離婚という可能性について前向きに考えてみるのはよいことです。
ただし、上に挙げたようなメリットを享受するには大きな関門があります。それは当然お金のことです。自由を求めて熟年離婚を決行したのに、その途端お金に困るようでは何もなりません。計画的に確実に幸せを手に入れるためには、弁護士への相談が不可欠です。
夫の側に浮気やDVなどの確実に不利な条件がある場合も、そうでない場合も、熟年離婚後の第二の人生をより安定的なものにするためには、法の専門家である弁護士の味方ほど大きな存在はありません。
弁護士費用は大変高額だというイメージを持たれている方も多く、離婚の場合、案件によっては実際に100万単位になることも珍しくありません。けれども、仮に弁護士費用を300万支払ったとして、それによってあなたが受け取れる慰謝料や財産分与の金額が1,000万多くなったとしたらどうでしょう? 差引700万円のプラスになるわけです。
なお、弁護士へ相談する場合は交通事故や企業訴訟専門の弁護士ではなく、離婚問題、中でも熟年離婚を得意分野とする弁護士を選ぶことが大切なポイントです。
2018年3月6日
熟年離婚が増加している理由とは
熟年離婚が増加している理由とは!?
最近、「熟年離婚」という言葉もすっかり定着してきました。
一昔前までは、長年連れ添ってきた夫婦が離婚をすることなどほとんどありませんでしたが、今は熟年離婚する人もとても増えてきていますし、社会内でも普通なこととして認められるようになっています。
このように、熟年離婚が増えているのは、どういった理由によるものなのでしょうか?
今回は、熟年離婚が増えている理由を考えてみましょう。
1.女性の社会進出が進んだ
熟年離婚が増えている理由はさまざまですが、中でも一般的に言われているのは「女性の社会進出」です。
近年、結婚をしても仕事を続ける女性や、管理職に就く女性、キャリアを積む女性が増えています。このことにより、社会全体の意識が変わり、女性が家の中で一生を終えるべきだという考え方が薄らぎました。そこで、これまで家事と育児に邁進してきた女性も、こうした自由な考え方に影響を受けて、離婚に踏み切るようになったのです。
2.年金分割制度が始まった
次に、熟年離婚に影響を与えたと考えられているのは、「年金分割制度」です。
年金分割制度とは、夫婦の婚姻期間中に支払った年金保険料に応じて、夫婦の年金受給額を按分する制度です。このことにより、離婚後も、妻は夫の年金の一部をもらえるようになりました。
年金分割制度が実施されるまでは、会社員の妻の場合、夫と離婚をしたら、自分の年金は月額6万円程度の基礎年金しかありませんでした。これに対し、夫は月額15万円~20万円程度の年金をもらいます。妻としては、月額6万円では生活ができませんし、夫と結婚していたら生活には困らないので、多少我慢をしてでも夫と婚姻生活を続けていた方が良い、と考えることが多かったのです。
ところが、年金分割制度によって、離婚後も相手の年金を一部もらえるようになったため、無理に我慢して相手と婚姻を続けるメリットが減りました。このことも、熟年離婚を促進している一因です。
3.離婚に対する社会の考え方の変化
熟年離婚を後押ししている要因として、離婚に対する社会全体の考え方の変化もあります。
これまで日本では、「離婚は悪いこと」「人生の失敗」「いい年して離婚するなんてみっともない」という考えが大勢でした。そこで、相手が嫌でも、社会に適合するために離婚を我慢していた人も多かったのです。
ところが、近年では若い人からシニアの人まで、離婚する夫婦も増えて、離婚はすっかり一般的なこととしてなじんでいます。バツイチ、バツニなどという言葉も定着しました。
こうした社会意識の変革によっても、熟年夫婦が離婚に踏み切りやすくなっています。
離婚に対する抵抗感の低下は夫よりも妻の方に強く、妻が夫に離婚請求をすると、夫が強硬に反対するという例も散見されます。
4.自分の人生を生き直したいと希望する
熟年離婚が増えている原因として、妻側が「自分の人生を生き直したい」と考えることも大きいです。
今の熟年世代の女性は、若い頃に結婚をして仕事を辞め、家事と育児に邁進し、「自分らしく」生きることができなかった人が非常に多いです。どこへいっても「〇〇さんの奥さん」「〇〇君のお母さん」などといわれて、「自分がやりたかったこと」など1つもできなかったと思っている人もいます。
そこで、夫の定年退職や子供の独立などを機に、自分の人生を生き直したいと考えるのです。熟年離婚を考える妻の多くは、こういった希望を持っていますし、こうした思いをわかってくれない夫への不満を抱いていることもあります。
5.子供が独立したタイミング
先ほども少し触れましたが、子供が独立したタイミングで離婚を希望する人もとても多いです。これまでは、「子供が一人前になるまでは」という思いでいろいろと我慢をして自分を抑えてきたけれども、子供が独立したのだから、解放してもらいたい、と考えるのです。
そこで、子供が就職をして独立をすると、相手に対して離婚を切り出すことがよくありますが、相手からしてみると晴天の霹靂ということになるので、スムーズに離婚できないことが多いです。
6.退職を機に、相手と顔を合わせる機会が増えた
熟年離婚のきっかけとしては、相手の退職も大きな要因となります。
夫が会社員の場合、退職前は、毎日朝から夜まで相手は仕事をしていて、家に帰ってきません。妻は、その間自分の好きに時間を使い、自分なりの生活リズムができあがっています。趣味の教室に通っていることもありますし、友人と会ってお茶やランチをすることもあるでしょう。家でゆっくり一人でくつろぐ時間が好きだという人もいます。
ところが、夫が退職すると、夫は一日中家にいます。すると、妻は一日中夫の世話をしなければなりません。
これまではのんびり過ごしていたのに、夫の3食を用意し、呼ばれたらすぐに対応しなければなりませんし、自分の好きな教室に行こうとしたら「どこへ行くのか?」などといちいち聞かれたり「くだらない」などと言われたりします。夫自身に趣味がないため、夫が1日家で何もせずに「ぼんやり」過ごしている様子を見て、嫌気がさすこともあります。このように、夫の定年退職を機に、夫との生活が耐えられなくなって離婚を考える人が多く、このような夫と一生をともにするのは考えられないので、自分の人生を生きるために熟年離婚に踏み切ります。
自分のために人生を生き直したいという考えはすばらしいものです。ただ、熟年離婚には障害も多く、上手に乗り切っていくためには弁護士の助けが必要です。
自分ではスムーズにすすめられないことも多いので、まずは一度、弁護士に相談をすることをお勧めします。
2017年7月31日