以前、ご遺族の方にうかがったのですが、実際の美川さんも本当に変わった方だったそう。新しいもの好きで、全国を巡っていたのも本当のこと。ぶっ飛んだエピソードもいくつか教えていただいたのですが、ご遺族の方のお話しぶりがとても温かかったので、すごく愛された人だったんだと感じました。ですから僕自身も、美川がどこか憎めない愛されるキャラクターになればと思いながら演じています。
関東大震災後、安否が明らかにされなかった美川を心配する声を多くの方に寄せていただき、驚きました。宮藤官九郎さんがおもしろおかしく、愛すべきキャラクターとして描いてくださったおかげですね。
久しぶりの登場は、金栗氏、小松 勝くんと3人のシーンでした。個人的なことですが、「いだてん」への出演が決まる以前に仲野太賀くんとNHKのドラマで共演した際、名古屋で一緒に平成中村座を観に行ったことがありました。帰りに「中村勘九郎さんと一緒に仕事がしたい」と2人で話したので、今回のシーンに不思議な縁を感じ、とても感慨深かったです。まさか熊本に戻って金栗氏と再会し、紆余曲折を経た美川の人生のすべてをセリフで説明するとは思いませんでしたけどね(笑)。
カフェー ニューミカワのセットは、金栗氏との思い出の電車をモチーフにしたお店だったので、スタッフさんの愛を感じました。美川が描いた小梅の絵が飾られていたりと、細かいところにもこだわりを感じて、うれしくなりました。セットの隅々まで注目していただけるとおもしろいと思います。
「いだてん」のセットは、そのほとんどが実際の写真や映像資料、史実に基づいて製作されていますが、カフェー ニューミカワは完全オリジナル。美術スタッフの経験と想像力を結集した、遊び心あふれる美川ワールドです。鉄道車両を改造した小さなカフェに詰め込まれたこだわりの数々について、美術デザイン・岩倉暢子さんに聞きました。
四三と小松に次なる夢を語ったストレイシープ美川。故郷・熊本に落ち着くかと思いきや、まだまだ旅の途中!? 果たして次はどんな姿を見せてくれるのか、最後までその動向が気になります。