いだてん

IDATEN倶楽部

2019年91

美川ワールドさく裂! カフェー ニューミカワ

関東大震災後、行方がわからなくなっていた美川が熊本でカフェのマスターに! 久々の登場を祝して(!?)第33回で登場した「カフェー ニューミカワ」のセットを、勝地 涼さんのコメントをまじえてご紹介します。

生きてて良かった! 勝地 涼

以前、ご遺族の方にうかがったのですが、実際の美川さんも本当に変わった方だったそう。新しいもの好きで、全国を巡っていたのも本当のこと。ぶっ飛んだエピソードもいくつか教えていただいたのですが、ご遺族の方のお話しぶりがとても温かかったので、すごく愛された人だったんだと感じました。ですから僕自身も、美川がどこか憎めない愛されるキャラクターになればと思いながら演じています。

関東大震災後、安否が明らかにされなかった美川を心配する声を多くの方に寄せていただき、驚きました。宮藤官九郎さんがおもしろおかしく、愛すべきキャラクターとして描いてくださったおかげですね。
久しぶりの登場は、金栗氏、小松 勝くんと3人のシーンでした。個人的なことですが、「いだてん」への出演が決まる以前に仲野太賀くんとNHKのドラマで共演した際、名古屋で一緒に平成中村座をに行ったことがありました。帰りに「中村勘九郎さんと一緒に仕事がしたい」と2人で話したので、今回のシーンに不思議な縁を感じ、とても感慨深かったです。まさか熊本に戻って金栗氏と再会し、紆余うよ曲折を経た美川の人生のすべてをセリフで説明するとは思いませんでしたけどね(笑)。

カフェー ニューミカワのセットは、金栗氏との思い出の電車をモチーフにしたお店だったので、スタッフさんの愛を感じました。美川が描いた小梅の絵が飾られていたりと、細かいところにもこだわりを感じて、うれしくなりました。セットの隅々まで注目していただけるとおもしろいと思います。

セット紹介
カフェー ニューミカワ

「いだてん」のセットは、そのほとんどが実際の写真や映像資料、史実に基づいて製作されていますが、カフェー ニューミカワは完全オリジナル。美術スタッフの経験と想像力を結集した、遊び心あふれる美川ワールドです。鉄道車両を改造した小さなカフェに詰め込まれたこだわりの数々について、美術デザイン・岩倉暢子さんに聞きました。

岩倉暢子さん

岩倉
久しぶりに再会した四三に、全国各地を転々としていたと話す美川。そんなエピソードから想像を膨らませ、鉄道の廃車を利用してカフェのセットを作ることを思いつきました。カフェに改造された車両は、実は四三と美川が上京する際に乗っていた汽車のセットをアレンジしたもの。2人の再会の場として同じ車両のセットを使うことになるとは、おもしろい巡り合わせだと感じました。

岩倉暢子さん

岩倉
立て看板は、新橋駅のセットなどで使用していた駅名標を再利用しています。流行に敏感な美川の店らしく、店名をモダンなイメージのオリジナル書体で表記し、筆記体も加えました。木に掛けられている「M-OPEN」の札は、汽車のナンバープレートを意識してデザインしたもの。ちなみにMは美川の頭文字です(笑)。また、店の外観には熊本の植生を再現するなど、造園スタッフが庭木にも力を入れています。

岩倉暢子さん

岩倉
汽車を改装したカフェということで、店内もまた汽車にまつわる装飾が多く見られます。店内を照らす明かりは、かつての駅で使われていたカンテラを思わせるデザイン。網棚はそのまま生かして荷物置きにしています。また、正面ドアの上には路線図が額に入れられており、セリフでも語られた美川の旅のルートが記されています。

岩倉暢子さん

岩倉
店内にはほかにも、所狭しと美川セレクトの小物が並びます。壁には浅草でブロマイドを売っていたころの売れ残りなのか、これまでお付き合いしてきた女性の写真なのか、美しい女性のポートレートが多数。画家を志していたころ、小梅を描いた竹久夢二調(!?)の絵は窓に飾ってステンドグラス風に。ほかにも東京時代の思い出の品・浅草十二階の置物や、地方を巡っていたときに買った各地の民芸品なども美川のこれまでを表しています。

岩倉暢子さん

岩倉
カフェのメニュー表は駅の時刻表を模したデザイン。文学青年だった美川らしい、一風変わったネーミングセンスにもご注目ください! ちなみに注文は手書きの食券を購入してもらうシステム。よく見ると店の奥には“ハイカラ東京プリン”を蒸しているセイロも置かれているんですよ。
四三と小松に次なる夢を語ったストレイシープ美川。故郷・熊本に落ち着くかと思いきや、まだまだ旅の途中!? 果たして次はどんな姿を見せてくれるのか、最後までその動向が気になります。

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