もしも傾城傾国がうまく決まった場合のお話。
丁寧語だと勢いが鈍るので隊長の言葉遣いをやや荒っぽくしてあります。
勝負事において直接顔を突き合わせていなくても、相手の打つ手からお互いの意思を感じて(口調はともかく)擬似的な会話が成立するときがある。この時、それが起こった。
漆黒聖典隊長
「どういうことだ、ケイ・セケ・コゥク(ワールドアイテム)まで使ったのに1人しか相打ちにできないなんて!!」
アインズ(※口調は隊長のイメージです)
「ウチのギルドは物持ちだからねえ。
これ以上ワールドアイテムで不意打ちされたらたまらないからな、他の守護者にお守り代わりにワールドアイテムを持たせることにしたのさ。
ま、頑張ったようだがお前らの実力じゃ守護者1人どまりってところだな、ケケケケケ。
どうしても相手がして欲しいならそこらへんで活動している守護者を見つけて挑んでみるんだな」
漆黒隊長
「くそー、なんとしても探し出してやる!
そもそもあんなに強い奴が何人もいるわけがない!
きっと最強戦力だからこそ油断して1人でブラブラしてたに決まってる!!
他の配下といっても魔神と同程度だろう。なんとしても探し出すんだ!!」
アインズ(※口調は隊長のイメージです)
「踊れ踊れ、愚かな愚民共よ」
タタタタタ
ミンナモサガセー
漆黒隊員
「隊長! 最近リザードマンの集落で謎の青い影が出没するそうです。しかもすごい強いそうです」
コキュートス
「ウーム、見ツカッテシマウトハ」
漆黒隊長
「リザードマンなんてトブの大森林の向こう側じゃないか。
アインズの配下か怪しいぞ。他はないのか」
隊員
「手前の大森林の中に謎のログハウスが!」
漆黒隊長
「森の主クラスのナーガが小屋の近くで目撃されたりトロールが小屋造りの真似事をした形跡があるしそこらへんだろう。
外部勢力の可能性?
騒ぎが起きなかったということは、伝説クラスのモンスター共に勢力抗争すら許さずに一瞬で黙らせたことになるんだぞ。ありえん」
アウラ
「ところが残念、ありえるんだなー」
隊員
「隊長! 王国首都で大量の悪魔が出現したらしいです!」
漆黒隊長
「それは漆黒の英雄モモンとやらが倒しただろう。もう終わった出来事だ。
むしろ同時期に王国の裏組織の活動が切り替わっているのを注目するべきだ。
あの騒動を機に王国上層部が動いたか? 半端に立ち直ると潰して人類のリソース確保するのが遅れるんだよなー。どの道内偵は他の部隊の担当か」
デミウルゴス
「王国裏社会も既に我々の手の内。
人類の築き上げた物流が異形種ギルドたるナザリックの補給線になっているとは、なかなか滑稽でいい気分ですよ」
アインズ
「やれやれプレイヤーの影がある国からやって来たにしては情けない。まだ気づいていないとは」
漆黒隊長
「は、まさか」
アインズ
「そう、そのまさかさ。守護者達の何人かはすでにもう地理的どころか社会的にお前ら人類の勢力圏内で暗躍しているのさ。そして暗躍する守護者は深奥守護者であるほど知能が増してゆくのさ」
隊員
「隊長! 破滅の竜王復活やビーストマンの大攻勢、評議国情勢と同時期にすごい数の事件です!」
漆黒隊長
「くそー情報が錯綜してすごいことになってるぞこれ。いったいどれが奴の配下の仕業なんだ……
暗躍する音が聞こえるぞチクショウ(シュタタタタ)」
隊員
「隊長! 隠密性能が高いとはいってもアインズの忠臣という共通点があります。そこを突けば……!」
漆黒隊長
「そうか!! この状況でアインズ勢力の暗躍者を判別する方法がわかったぞ。
どうせ強大なモンスターといってもあの吸血鬼ほど強い奴なんて複数いるわけないし、ましてやモンスターが上等な装備を持ってるはずがないんだからパーッとやっちまうか。
『アインズ・ウール・ゴウンのバーカ!!』」
守護者一堂
「あ゛あ゛ん!?」
漆黒隊長
「あれえぇぇ!? あの時の吸血鬼なんで!? 装備なんで!?」
ギャアアア……
モモン
「ふう、守護者一堂釣り出されるとは法国の連中もなかなかやるな。
まあ、私がアインズ・ウール・ゴウン本人だとは気づかなかったみたいだがな」
デミウルゴス
「忠誠心を逆手に釣りだされるとは守護者一堂、お恥ずかしい限りでございます。しかし流石はアインズ様、情報が集まっていない初期に打った手が、こうも有機的に実を結ぶとは。混迷なる情勢下におけるご賢察、まことに恐れ入ります」
モモン
「さして考えて打った手ではないのだ。そこまで褒めるほどのものでもないぞデミウルゴス?
お前達の忠誠は嬉しく思うが抑えが効かずに傷つくのは見たくないのだ。ここは今後の課題だな」
現在暗躍中の守護者の知能レベル
シャルティア :指示があっても血の狂乱でミスる
コキュートス :言われた事しかしなかった→最近ちょっと考え始めた
アウラ・マーレ:指示だけで仕事ができる
デミウルゴス :指示にないことまでできる、主人の考えの補佐を自覚無しにできる