バーチャルシンガー・初音ミクの2度目の欧州ツアー「MIKU EXPO 2020 EUROPE」が、現地時間28日(日本時間29日)のスペイン・バルセロナ公演でフィナーレを迎えた。
待望のスペイン初公演を待ちきれないファンが開場2時間前に600人を超える行列を作るなど、スタート前から会場の熱気は最高潮。ミクがオープング曲「テオ」をノリノリで熱唱すると、イメージカラーの青緑色のペンライトを一斉に振って“電子の歌姫”に歓声を浴びせた。ミクはスペイン語のMCで「Hola Barcelona.Bienvenidos a MIKU EXPO.Listos para la fiesta ?(こんにちはバルセロナ。ようこそ『MIKU EXPO』へ。楽しむ準備は出来ているかな?)」とあいさつすると、初期の代表曲「ODDS&ENDS」(ryo〈supercell〉)、「Tell Your World」(livetune)から、2017年発売の初音ミク10周年記念コンピレーションアルバムに収録された「ヒバナ」(DECO*27)、昨年10周年を迎えたバーチャルシンガー「巡音ルカ」とのデュエット曲「Jump for Joy」(EasyPop)、「MIKU EXPO 5周年楽曲コンテスト」グランプリ曲でスペイン語楽曲の「Miku Fiesta」(AlexTrip Sands)など、仲間のバーチャルシンガーの鏡音リン・レン、MEIKO、KAITOらとともにアンコールを含め、全25曲を歌い上げた。
昨年4月に急逝したロックバンド「ヒカリエ」のボーカル・wowaka(ヲワカ)さんが手掛けた「ローリンガール」では、会場内から「wowaka!」コールがわき上がる場面も。「日本の漫画が大好き」という、バルセロナのイラストレーター・カーラさん(25)は「ミクは声やスタイル、パーソナリティー、すべてがアメイジング!」と満面の笑みを見せていた。
初音ミクを企画、開発したクリプトン・フューチャー・メディア社の伊藤博之代表取締役(54)は「手応えは感じています。まったく(観客の)反応が分からない状態でツアーを始めるのはハードルが高いですが、実績を重ねていくことが大切。2回、ヨーロッパツアーを開催して、徐々に初音ミクという“アーティスト”の存在に気がついてもらえたかとは思います」と、今回の欧州ツアーを振り返った。
世界の人々に初音ミクの創作文化を紹介し、実際に見て体験してもらうためのイベント「MIKU EXPO」は、2014年のインドネシア・ジャカルタでの開催を皮切りに、これまでアメリカ、中国、日本、カナダ、メキシコ、台湾、マレーシア、フランス、ドイツ、イギリス、オランダ、スペインの13か国で行われ、のべ17万人以上を動員。往年のヒットナンバーから最新ナンバーまで、ミクの楽曲を幅広く網羅したセットリストや、開催地の言語による楽曲やMCを取り入れるなど、多彩なライブ演出が人気を呼んでいる。次回の「―EXPO」は4~5月にアメリカ、カナダで北米ツアーとして行われる。