県産初のバニラビーンズ発売へ 石垣島バニラが栽培・加工
【那覇】「石垣島バニラ」=本社・石垣市新川=の金城美沙江代表(39)が21日午後、県庁で会見を開き、栽培から加工までを同社で行った県産初のバニラビーンズ「ChulaSya ishigakijima vanilla(チュラシャ イシガキジマ バニラ)」を、25日午前10時にJAファーマーズマーケットゆらてぃく市場で販売を開始することを発表した。2011年から約8年にわたる研究で商品化を実現した。今後は本島内のファーマーズや土産店での販売、オイルやエッセンスの開発も視野に入れている。
11年に聞いた講演会でバニラの可能性を感じた金城代表は同年、八重山農林高校から苗を100鉢購入。試験栽培を開始し、12年に同社を設立した。栽培方法について八重山農林水産振興センター農業改良普及課や同校から指導を受け、14年に「キュアリング」と呼ばれるバニラ特有の香りを出す加工技術に着手。食品加工分野で技術指導を行う県工業技術センターの協力を得て、ハワイやマダガスカルなどの手法を参考にしながら試行錯誤を重ねた。18年までの4年間は失敗続きだったが、19年9月に技術を確立。同月下旬から石垣市内の大手リゾートホテルや宮古島市のジェラート店などへの先行販売も行っている。
金城代表によると、沖縄の気候はバニラ栽培に適しており、マダガスカルなど外国産に比べて同社産は爽やかで優しい香りが特徴。ゆらてぃく市場では1本入り税込み1800円と2本入り同3000円、香りづけをした砂糖「バニラシュガー」同800円(100㌘)を販売する。ブランド名の「ChulaSya」は「美しい砂浜」の意味で、紅型を背景にバニラの花をモチーフにした沖縄らしさをイメージさせるパッケージになっている。
現在農園約200平方㍍でハウス栽培し、加工所でキュアリングを行っており、年間約10㌔のバニラビーンズを製造。今後は農園を400平方㍍まで拡大し、ハウス増設も考えている。金城代表は「挫折もたくさんあったが、誰も成功していなかった加工・販売までを成功させたいという思いがあった。県産品バニラのよさを発信していきたい」と意欲を語った。
県工業技術センターの望月智代主任研究員は「作った人の顔が見えるのが県産品の強み。観光業にも貢献できると考えている。生産を拡大していってほしい」と期待している。
同社は業務用として100㌘単位で注文を受け付けている。問い合わせは金城代表(090-7920-9545)。
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