■ネットで高まる「NOチャイナ」…「武漢肺炎は中国の生物化学兵器」などの噂に不安感増大
インターネットの世界では「NOチャイナ」というポスターがシェアされ、露骨な反中感情が表出している。昨年の半ば、反日運動が拡大した際に作られた「NOジャパン」のポスターをパロディ化したものだ。このポスターには「ボイコット・チャイナ」「コロナウイルス」「死ぬのは嫌です 受け入れるのは嫌です」などの文言が書かれている。中国人の国内への入国禁止措置を求めているわけだ。
その上、国内で確認された3、4人目の感染者がソウル・江南など首都圏一帯を歩き回っていた事実が分かり、政府の防疫管理に対する不信と不安感がインターネットのコミュニティーを通じて爆発している。
「中国不買運動を推進すべき」「中国人の韓国入国を拒否すべき」「中国人留学生の流入を阻止すべき」など具体的な対策を促す声も高まっている。青瓦台(韓国大統領府)ホームページの国民請願掲示板には「中国人の入国禁止要請」に関する書き込みが相次いで寄せられ、子育て中の女性などが集まるネットのコミュニティーでは、関連する請願をシェアする運動が広がっている。
具体的な対応策が出てこない中、フェイクニュースや悪質な噂が次々に生成され、広まっている。この日午前、ユーチューブには「武漢肺炎は中国共産党の生物化学兵器」「中国の生物化学兵器研究施設からコロナウイルスが流出した」という内容の映像が投稿され、1万2000回以上の再生回数を記録した。ツイッターでは「仁川で国内初の武漢肺炎による死亡者が出た」「現在までに肺炎の確定診断を受けた患者は9万人を超えた」「発表されていない患者がもっといる」「感染者が1回咳をすれば周囲の14人が同時に感染する」など、事実と確認されていない内容がリアルタイムで共有されていた。
■「政府に対する不信が外国人嫌悪につながる」
専門家らは「政府の防疫に対する不信から生まれた恐怖と不安が、中国人を対象とした『ゼノフォビア(外国人嫌悪)』の形で表れている」と指摘する。政府が疾病管理に対する信頼を与えられないことから、やみくもに攻撃対象を探してしまうわけだ。
啓明大社会学科のイム・ウンテク教授は「やみくもに攻撃対象を探すゼノフォビアよりも、自分自身の衛生に気を付けるのが疾病管理ではより科学的かつ合理的な行動」だとして「国家間の不必要な嫌悪感情が拡散することは阻止しなければならない」と述べた。全北大社会学科のソル・ドンフン教授は「結局、こうした現象が続く場合、自分自身を除く全ての人を疑う『不信社会』になっていく懸念が大きい」と話した。
梨大木洞病院応急医学科のナム・グンイン臨床助教授は自身のフェイスブックで「中国人の入国禁止は最後の手段にすぎず、密入国時のルートを把握することができないため伝染病が広がる場合はより複雑になる」として「ゼノフォビアは問題解決に何の役にも立たず、『マスク着用』『手洗い』などが最も効率的かつ良い方法」と説明した。