いだてん

IDATEN倶楽部

2019年89

ロサンゼルスオリンピック スペシャルハイライト!vol.1

田畑政治にとって初参加となるオリンピックがスタート! 代役なしでの水泳シーンや、若手とベテランの世代交代など、見せ場満載で描くロサンゼルスオリンピック。出演者やディレクターのインタビューをまじえて大特集します!

大河ドラマ初のミュージカル!?

五・一五事件が描かれた第28回からガラリと雰囲気を一変させた、第29回冒頭のダンスシーン。台本には「オリンピック最高ーぅ!」という田畑のセリフと、「バスを降り、息をのむ田畑ら水泳選手団」という一行が記されていたのみでした。そこからなぜあの華やかなミュージカル表現が生まれたのか? ダンスシーンの誕生秘話を、演出を担当した西村武五郎ディレクターに聞きました。
田畑の一言を華やかに表現するために
演出・西村武五郎 “ロサンゼルスオリンピックに参加して得た見聞は、その後の私の長いスポーツ生活を顧みて最高のものであった”と田畑さん自ら記しています。それを宮藤さんが『オリンピック最高ーぅ!』と表現。到着した瞬間にそのセリフを心から言えるシチュエーションとは何か。さまざまな表現方法を探るなかでミュージカル調の演出にたどり着きました。実はずっと、阿部さんの高い身体能力と舞台で培われてきた表現力を生かした見せ場を作りたかったんです。田畑政治篇が始まって以来そのタイミングをうかがっていましたが、ここしかないなと思いました。さらに、日本選手団131人の大所帯での参加となったロサンゼルスオリンピックと、参加選手がたった2人だったストックホルムオリンピックとの違いも楽しく表現できたと思います。
ダンスシーンで流れている曲は「I Love You, California」というカリフォルニア州の州歌です。最初に曲が決まり、振り付けをダンス指導の木下菜津子さんにお願いしました。木下さんとは「あまちゃん」からの付き合いで気心の知れた仲。国籍問わず誰もが踊りだしてしまうような振りをお願いしました。スポーツ表現として、走るポーズも取り入れているんですよ。
おそろいのユニフォームを着て、みんなで息を合わせてのダンス。「大勢で踊るのはやっぱ楽しいですね!」と、阿部サダヲさんが誰よりもノリノリでした。撮影のカメラが回る直前までみんなで練習を重ねていて、まるで部活のような空気感でしたよ。

世代交代が生み出すドラマ

「俺たちの敵は宮崎、小池で、もはやアメリカじゃない。そこまで見越してまーちゃんは…」
田畑のメダル至上主義が引き起こした“世代交代”というドラマ。「一種目モ失フナ」を掲げる田畑に翻弄された高石勝男と鶴田義行、そして、松澤一鶴を演じた3人に、それぞれ思いを伺いました。
次世代へバトンを渡せる人物でありたい
斎藤 工 アムステルダムオリンピックでは銅メダルという功績を残すも、ロサンゼルスオリンピックでは試合にすら出られません。“上ってきた”ということは、“その分、下ることもある”ということ。上り続けることは並大抵のことではなく、高石が置かれたような状況はどんな職業にもありえます。スポーツ選手としての花道がないまま、フェードアウトしていく選手も多いでしょう。俳優業だって、表舞台に立ち続けることは難しい。高石としては自分の限界を突きつけられ、当然葛藤はありました。でも、敗北の感情を一番に表現するよりも、言葉にせずに後輩の背中を押す瞬間を大事にしました。僕の想像ですが、一線を退かなければならなかった人ほど、後輩の背中を押していると思うのです。高石はその大きな思いのバトンをちゃんと渡すことのできる人物でありたい、そう思いながら演じました。
敗北の先に進むロマン
大東駿介 若手選手がどんどん好記録を出すなか、伸び悩むベテランの高石、鶴田。この2人には、“失敗しても得ることのほうが多い”ということを改めて教えてもらった気がします。若手育成のため利用されているとわかっていながら、ただの練習台じゃ終わらないぞと“なにくそ魂”で2人は奮起するわけです。その姿は後輩の励みにもなりますし、つらくても止まらずに進むという決断にロマンを感じます。僕もそんな生き方を選びたいです。
涙バージンをささげよう
皆川猿時 田畑がメダルにこだわる理由が明かされる場面。実は僕、泣こうとしてたんですよ(笑)。盛り上がるじゃんって。芝居で一回も泣けたことがないんですけど「よし、本物の涙を出してみようか」と意気込みました。「その初めての相手が阿部くんなんて最高じゃないか、涙バージンをささげよう」と撮影に臨んだのですが、結局、全然泣けませんでした…。お互い腹を割って本音を語りあうシーンだったのも、ものすごく照れくさかったですね。撮り終わったあと、阿部くんに「実は泣こうとしてたんだよ」と伝えたところ、「うそだろ。気持ち悪い」と言われてしまいました(笑)。

メダルガバガバ大作戦の鍵を握るのは、この2人!

オリンピック初出場となる、大横田 勉、前畑秀子。メダル獲得に向け期待を背負う2人を演じた林 遣都さん、上白石萌歌さんにお話を伺いました。
足がおかしくなりそうなほど泳ぎました
林 遣都 大横田 勉は、400メートル自由形の金メダル候補とされている選手です。彼を演じるにあたり、水泳指導の細川大輔さんから指導を受け、初めて本格的に泳ぎました。今まで競技用のプールで泳いだことがなかったので、オリンピックのレースシーンの撮影は緊張しました。練習をしてきたプールとは環境も違うし、気温が一桁台で水温も低いなか何テイクも重ねたので、足がおかしくなりそうになりながら必死に泳ぎました。そんななかで集中力を保つのは、精神的にも大変なものがありました。だからこそ、レースシーンは大河ドラマでしか撮れないんじゃないかと思うような迫力のある映像になっていると期待しています。また、大横田だけでなく、チームメイトの泳ぎも鬼気迫っていて思わず声を出して応援してしまうほど。ぜひ、まーちゃん軍団の活躍を見ていただきたいです。
水しぶきに至るまで思いを込めました
上白石萌歌 前畑秀子は、平泳ぎの200メートルに出場します。オリンピックのレースシーンに登場する外国人選手は、実は現役のアスリートもいらっしゃったので、私自身みなさんとの体格差に驚き、気持ちが弱くなってしまいました。前畑さんは実際にそんな状況に挑まれたのかと、覚悟を体感できたような気がしています。
前畑さんの泳ぎは現代とは違い、あまり“伸び”をせずにどんどん前に進んでいきます。そんな前畑さんのフォームを体にしみ込ませ、さらに手のかきで出る水しぶきの臨場感にもこだわりました。前畑に起こるドラマとともに、練習を重ねてきた泳ぎにも注目していただけたらと思います。

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